木曜日 , 4月 18 2024

2022年EV界の先陣を切って発表された「EQXX」

今後のメルセデスベンツは完全EV化へ

もはやヨーロッパ市場では完全電気自動車化(EV化)の流れが多勢を占め、高級車の代表格であるメルセデスベンツについてもすでに完全EV化を発表しています。そのような中、2022年自動車業界の先陣を切って発表されたのがVISION EQXXです。

Mercedes-Benz VISION EQXX ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

昨年からワールドプレミアを1月3日に行うとして、18か月前からスタートしたこのプロジェクトの方向性としてどのような発表がまっているのか世界中がかたずをのんで待っていたその内容が遂に明らかになりました。

うっすらとフォルムだけが公開されていた車両がいよいよお披露目となり、まずもってそのデザインの先進性、見るからによさそうな空力性能など、ただのコンセプトモデルにとどまらず実現性の高いテクノロジーとして様々な新しいビジョンを発表してきました。

高い空力性能Cd値0.17の衝撃!

メルセデスベンツは従来の車両についてもその高い空力性能が他社に差をつけている部分でもあります。F1で培った空力性能も手伝って、一般に販売されている車両の中では最も高い空力性能を示しています。

流体力学では、自動車の空力性能を表すのに「Cd値」という係数があり、空気抵抗を計算するときに必要な値となりますが、その値は車の形状や構造によって変わってきます。一般的にはこのCd値は低い方が空力性能が高いということになります。

すでにメルセデスベンツが発売しているEVであるEQSについては、これまでの市販車の中で最高クラスのCd 0.2という数値を達成していますが、この値の更に上を行く0.17という空力性能にてリリースするとしています。

Mercedes-Benz VISION EQXX ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

ちなみにCd値は0.25を下回ると非常に空力性能が良いとされていて、現行プリウスはCd0.24となっていてHVの中でも空力が良いといわれています。

様々な部品を独自開発

EVの航続距離を稼ぐためには軽量化や空力性能の最大化が重要であるため、従来の内燃機関車の発想を一度捨てる形でEVという新しいパワートレインを持った車体に対応するため、ホイールやタイヤについても自社で設計することで、その性能の向上を図ろうとしています。

更にそのシャーシについても部品点数を減らすために、すでにEQSなどにも採用されている一体成型技術である「BIONICAST」により、溶接工程も減らして軽量化を行っています。BIONICASTでは構造体の完全制覇維持しながら不要な場所から素材を排除することで大型鋳造品の重量を20%程度軽量化できています。

Mercedes-Benz VISION EQXX ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

少ないバッテリーで長い航続距離

EVの航続距離のカギを握る要素として最も大事になってくるのがバッテリー容量ということになります。しかしこのバッテリーについては当然大量に搭載すればその分車体が重くなり電費が悪くなります。また車体も大きくなったり、居住空間を圧迫したりするため、搭載するバッテリー容量については100kWh以下としているも、満充電での航続距離を1,000km以上達成するとしていて、中国勢のNIOが150kWhのバッテリーを搭載して可能にした1,000kmという航続距離をより小さいバッテリー容量で、かつ小型化されたバッテリーで実現するとしています。

Mercedes-Benz VISION EQXX ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

今後EQXXに搭載されていく現在開発中のバッテリーは、従来のバッテリーよりも、50%もその大きさを小さくし、30%も軽くなるということで、そのエネルギー密度が高いものに仕上がるとしています。

持続可能なマテリアルの活用

メルセデスはインテリアもゴージャスでなければなりません。しかしながら持続可能な循環社会の実現へも貢献していかなければなりません。これらを両立させるために、AMSilk社が開発した植物由来の繊維を利用したファブリック素材や動物の革を利用しないMylo、プラスチック製品の代わりにはリサイクルされた素材や植物由来の素材により従来の素材の代用などもおこなっています。

Mercedes-Benz VISION EQXX ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

ヒトと同じような考える人工知能

メルセデスベンツが近い将来EVに搭載する人工知能はスパイキングニューラルネットワーク(SNN)と呼ばれる人間の神経細胞を模倣して作られた人工知能を搭載し、まるで人間の脳のように考え、動作し、自動運転をサポートしていきます。

Mercedes-Benz VISION EQXX ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

メルセデスベンツがEVの世界をリードするか

2021年、世界中で最も販売台数が多いEVメーカーはテスラとなっています。テスラはフラッグシップセダンであるModel SやModel Xなどの高級車ではなく、Model3、Model Yなどの大衆車セグメントのラインナップを2車種も用意しているためその販売台数を伸ばしています。大衆車セグメントといっても日本国内で見れば価格帯としては高級車にラインナップされます。2021年の11月までのグローバルでの販売台数はModel3が41万6千台、Model’Yが32万6千台となっています。

メルセデスは今回のEQXXシリーズの発表で、実現可能な最高のテクノロジーを電気自動車業界に示したといえます。この数年でEQXXシリーズをリリースすることでEV市場の最先端を走り、かつその付加価値を示すことで高級車セグメントでの絶対王者を目指していくのでしょう。

テスラが切り開いた自動車のEV化を、従来の自動車テクノロジーとフォーミュラーレースから培ったテクノロジーに先進の電化とソフトウェアにより、EVテクノロジーとしてのトップイメージがつけられるか?そして、恐れを知らない中国EVスタートアップが今回の発表を超えてくるのか?今後も注視していきたいと思います。

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