ジーリーとルノー、アジア電気自動車市場の底上げになるか
中国の大手自動車メーカーで、ボルボ/ポールスターの親会社でもあるジーリーが、フランスのルノーグループと事業提携を結びました。これにより、今後韓国市場に低燃費ハイブリッド電気自動車で参入し、そこからアジア各国に輸出していくことを目的としているようです。
今回の合意は、ルノーにとっても「ルノリューション」プログラムの次なるステップとなり、アジアでの電気自動車市場の底上げと同時に、フランスの老舗メーカーとしてのブランド力の更なる格上げにつながるでしょう。
見た目ルノー、構造ボルボ、パワートレインにジーリーの良いとこ取り
ジーリーとしても、ルノーの構造「モジュラープラットフォーム」を用いた車で、新しい顧客の獲得を狙いたいところです。 アジア市場を飾る新たなルノーは、個人的な予測ではありますが、ルックスはメガーヌeと似ており、構造基盤にボルボの「コンパクトモジュラーアーキテクチャ」または「CMAプラットフォーム」を用いて組み立てられ、ジーリー/ボルボの開発したパワートレインを使用してくるのではないかと予測しています。
そのCMAプラットフォームとドライブトレインの組み合わせは、ボルボのXC40 リチャージPHEVと同EV、C40リチャージ EV、Lynk&Coの全てのPHEV、および受賞歴も持つポールスター2のEVスポーツセダンを支えている構造と同じものなのです。これが、新しいルノーEVが市場に出たときにかなりのインパクトを持つだろうと予測できる最大の理由です。
ルノーグループの最高経営責任者であるルカ・デメオ氏は、この新しいパートナーシップについて「自動車業界においてすばらしい実績のあるジーリー社と協力できることをとてもうれしく思う。この革新的なプロジェクトにより、ジーリー社とルノーグループは、今後韓国産業界を牽引し、その成長に貢献できるだろう。」と興奮気味に語っています。
ジーリーは、誰もが組み立てられるようなプラットフォーム作りを目指し、以前からその計画を公表してきました。その宣伝のためにハイエンドEV車のZeekrを開発し、すでに顧客を獲得しています。その顧客とはフォックスコン(本社台湾)や、ウェイモ(本社アメリカ 現在アルファベット社の支援を受けてロボットカーの開発・運用を行う新進気鋭の会社)、またリーファン(中国でメイプルリーフという名でバッテリースワップベンチャーを立ち上げている二輪車ブランド)など、錚々たるメンバーです。 そして今、更にそれらに加えてルノーグループとそのブランド車(ルノー、ダチア、ラーダ、アルピーヌ)も顧客として加わり、ジーリーの先見の明は正しかったことが証明されはじめています。
実を結ぶ先見の明
ジーリーとルノーが共同開発した車は、韓国・釜山にあるルノーサムスン自動車の工場で生産され、2024年内には生産が開始されると予測されています。
ジーリーが2010年にボルボを買収した際、西洋諸国におけるジーリーの知名度は殆ど皆無で、今後のボルボの安否が心配されました。 しかしそれ以来10年以上が経過した間、ボルボはますます強力になり、ジーリーはさらにパートナーシップを広げ、そのブランド力が最大限に活かされていることを度々証明してみせました。CMAプラットフォームが世界クラスであることは間違いなく、今後韓国においてルノーのブランディングマシンとアルピーヌのレースチームが人々の目に触れるなら、そこでも同時にジーリー製品が信頼を勝ち取っていくことは確実でしょう。