金曜日 , 3月 29 2024

電気自動車(EV)へ乗り換える前に知っておきたい事

電気自動車に乗る前に知っておきたい基本知識

電気自動車(EV)はガソリン車とは使い方が大きく変わります。そのため、もしガソリン車のような使い方をしてしまうと、とても不便なものになります。EVへの乗り換えはライフスタイルや運用方法も変わります。

世の中が脱炭素社会を目指す中、電気自動車への取り換えを考えている方が増えています。EV導入を考えている人に最低限知っておいてほしいことをなるべく簡潔にまとめてみました。ディーラーに相談する前の基礎知識として知っておいてください。

Nissan Leaf 日産リーフ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

戸建て住宅の人におすすめ

戸建ての場合殆ど利用しない公共充電スポット

電気自動車の最大のメリットは「自宅で充電できる」という事です。ガソリンスタンドに行かずに、深夜など電力ピーク時を避けて車両や充電器側でタイマーをセットしておいて充電が行えます。戸建ての場合日常的に公共に設置されている充電スポットを利用することはまずありません!戸建ての場合EVへの乗り換えを強くお勧めしたいです。

急速充電 普通充電 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP ウォールコネクター
自宅の充電器はケーブルが常設で充電完了後はプラグを戻すだけのものにする事

充電のためには自宅に普通充電器をつけます。くれぐれもコンセントタイプで毎回ケーブルを出して接続するものでなく、すでにケーブルが接続されているものを利用します。充電は殆ど毎日、朝晩にコネクタの接続を行うため、特に忙しい朝は車から取り外してすぐに出発できるようになっていなければ、ガソリン車より不便な乗り物になってしまいます。

集合住宅の場合は一考が必要

自宅で充電できない場合は、近くに充電スポットがあったり、集合住宅でも駐車場に共用の充電スタンドが設置されていれば運用は可能です。しかし、急速充電は1回30分ほどかかります。充電スタンドがいつも空いていれば良いですが、利用者がいればその間待たされてしまいます。充電のために出かけたら60分かかってしまっていてはかえって不便になってしまいます。

もし、住んでいるマンションなどに充電器があったとしても自分のタイミングで使えないというのはとても不便です。普通充電器などは充電に数時間かかるため、充電していてもその間待っていて、終了したら他の人に譲るために移動させなければなりません。

充電スタンド 駐車場 エレクトリックライフ

この充電待ちはマナーの悪い人が居たりすると、トラブルになっているケースが非常に多いです。充電器を利用している人がいて、30分経過したのに戻ってこない人が居たらどうでしょう?ちょっとイライラしますよね。充電の度にこのような余計な心配をするくらいならハイブリッド車に乗った方がまだいいと思ってしまいます。

当サイトでは再三お伝えしていますが、集合住宅の方にはEVはお勧めしていません。もしそれでもEVにしたいというのであれば、テスラなど日本のCHAdeMoとは全く別で充電インフラを自前で用意している車種をお勧めします。航続距離が長いのと、1か所に多くの充電スタンド4~6基を備えていて、充電速度も速く、充電が終わっているのに戻ってこない場合は罰金もあるため、マナーもある程度守られているからです。

意外と多い充電スポット

日本は充電スポットが全然ないなどと言われていますが、そうでもありません。EV充電スタンド情報のGoGoEVによれば、全国には20,000を超える公共充電スポットがあります。ガソリンスタンドの数はおよそ29,000ヶ所ですので、びっくりするような差はありません。

>>GoGoEV(充電スポット情報サイト)

普通充電と急速充電(CHAdeMo)

公共の急速充電器などでは、急速充電・普通充電の大きく分けて2種類が用意されていて、それぞれコネクタが違います。下の写真は日産リーフの充電ポートですが、2か所ついているのが分かります。2つある口の左側の少し大きい充電ポートが急速充電器用で、日本独自の仕様である「CHAdeMo(チャデモ)」と呼ばれている規格です。右側のオレンジ色の蓋の方が普通充電で、自宅などで利用するものです。

急速充電 普通充電 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

急速充電のCHAdeMo規格のコネクタは充電電力が6kW以上のものに採用されています。自宅に大電力な充放電器を設置した場合は自宅でもCHAdeMo規格を使います。

急速充電は基本30分で場所により入る電力量は違う

急速充電器は基本的には30分きざみになっています。中には15分とか60分というものもありますが、ほとんどが30分で終了です。ちなみに充電が殆ど空の状態から30分では満充電にはなりません。そして電費の事を考えると急速充電は80%程度で止めておく必要があります。リチウムイオン電池の場合、残り80%くらいからは充電速度が急激に低下します。電池にも負荷がかかるため、通常急速充電器で100%満充電にすることはあまりしません。

続けて行いたい場合は、他に待っている人が居なければ可能です。

また、設置されている場所によって充電スピードが変わってきます。充電スポットの電力は先ほどのGoGoEVや充電スポット検索アプリなどでも確認できます。日本では50kW級の充電器が主流ですが、中には20kWや90kWの設置もあります。この数値が大きい方が一度にたくさんの電力をバッテリに蓄えることができます。

急速充電スポット EV QUICK エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP
「EV QUICK」と書かれていれば急速充電器を意味します。

日本のCHAdeMoなどはこのような充電スピードになっていますが、テスラが用意しているスーパーチャージャーと呼ばれる充電スタンドについては150kW~250kWのものが設置されているため、単純計算で言えば、3~5倍のスピードがあるといえます。このように海外のメーカーは今後自前の充電インフラを整備していくところが増えていくでしょう。

Tesla Supercharger テスラスーパーチャージャー ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

充電料金は充電カードの契約による

充電料金は特に何も契約していないと、ほとんどの場合30分間で1,500円(税別)となります。イオンなどは30分間で300円と非常に安いため人気です。自宅充電ができる場合は遠出したときしか使わないため、ほとんどの場合充電カードを持ちませんが、集合住宅の場合は充電カードが必須になるでしょう。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

>>充電認証カード

充電スピードとマナーが課題

先ほども触れたように、最近では充電スタンドのマナーの悪さがトラブルに発展するケースを目にするようになりました。充電待ちをしているところに割り込まれたり、待っている人が居るのに「おかわり充電(30分後続けてまた30分やる人)」したり、スーパーで買い物している時に充電していて帰ってこない人などです。待たされている人にとっては非常にストレスがたまります。充電スポットでの明確なルールが無いため、整理番号札により充電待ちが分かるようにしたり、超過した分は罰金として待たされた人分を負担するなど対策は必要です。

今後の充電インフラ整備について

高速道路などについてはSA(サービスエリア)などに設置されています。EVの航続距離からすると、高速道路についていると便利ですが、実は一般道には既に多くの充電器が設置されています。代表的な場所としては日産ディーラーとなりますが、コンビニやスーパーなどにも設置されています。そのため、現在全国で実証実験が行われている「ETCによる高速道路の一時退出」などが最も有効な充電設備利用になると思います。

急速充電 普通充電 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP ウォールコネクター
高崎玉村SIC(スマートインターチェンジ)は道の駅にEV充電とTesla スーパーチャージャーが設置されています。

そもそもガソリン車の時にも高速道路のガソリンスタンドは極力使わないようにしていたわけですから、一時退出はEVだけでなくガソリン車の人たちにとっても有効な手段になります。

ICなどで一度降りて、近くの充電スポットで休憩がてら充電を行い、1つ先のインターから再入場などが出来るようになれば更に良い運用になるでしょう。

導入コストは高く見えるが付加価値も高い

EVはよくハイブリッド(HV)車と比べて高いと言われていますが、電動モーターによる走りの性能や静粛性、居住性、車内エンターテイメントなど付加価値が高い車両が多くなっています。走りの性能も高く、スムーズでパワフルな加速や回生ブレーキが利く「ワンペダルドライブ」、自動運転やドライブアシストなどが快適なドライブを提供していす。インターネットを介してスマホで車の様々な情報が手にはいったり、リモートコントロールできるなど新しい体験も沢山詰まっていることから今までの車になかった付加価値分がしっかりと乗っています。

最近発売された軽EVの日産サクラなどは軽自動車にしては高いなどと言われています。乗り出しで、300万円くらいになりますが、V2H(自宅に電力を戻せる)などの付加価値が付いています。サクラは20kWhのバッテリを搭載しています。20kWhの蓄電池を自宅に設置したら、350万円を超えてきます。

NISSAN SAKURA エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

このようにEVはただの車というわけではありません。しっかり付加価値の部分を見定めて、自分のライフスタイルに合うかどうかを考えてみてください。サクラの例で言えば加速は乗用車並みの走りを実現していて、軽自動車と言うには高い性能をもっているといえます。このように付加価値が沢山ついているので、決して割高というわけではありません。

メンテナンス費が大幅に削減

実際にEVに変えてみて思うのがメンテナンスに係る費用がかなり少ないという事です。ガソリン車と比べて部品点数が格段に少ない電気自動車には、定期的にかかるメンテナンス費用などが無いのも魅力です。

エンジン関連の消耗品交換がない

エンジン関連の消耗品として、タイミングベルトやファンベルトなんかは車検の時に交換も多いのではないでしょうか?燃料を燃焼させて爆発を起こしパワーを得るエンジンはメンテナンスも必要で、消耗品も多くあります。

オイル交換・その他部品交換も少ない

エンジンを搭載していないため、オイル交換や関係する部品の交換もありません。足回りで言えば、回生ブレーキを使った「ワンペダルドライブ(アクセルだけで車を制御、ブレーキを使わない)」ができるEVも多く、ブレーキパッドが殆ど減らないという事もあります。

タイヤの摩耗と航続距離

電気自動車は加速が素晴らしい反面、その加速時の強力なトルクの関係でタイヤの摩耗は普通の車よりも多くなるようです。もちろんこれは運転の仕方によって変わりますが、普通の車より車重がはるかに重くなる電気自動車は制動時にもタイヤに負荷がかかるため、大きめのタイヤを履いたり、摩耗による交換時期が早かったりするため、この辺りのコストは少しかかるかもしれません。タイヤサイズが大きくなれば、スタッドレスタイヤなどの価格も上がります。

EVスタッドレスタイヤ

今なら自動車関連税が安い!

今なら自動車関連税が安くなっています。これはクリーンエネルギー車(CEV:電気や水素などの温室効果ガスを排出しない自動車)の普及を推進している今の時期だけという事になるため、将来的に多くの車両がCEVへリプレイスされたら、優遇もなくなるでしょう。排気量が関係ない電気自動車は重量税の免除や自動車税が軽自動車より安くなります。(※詳しくは以下の記事をご覧ください。)

電気自動車(EV)だと税金が圧倒的にお得!【2022年度版】

電力がひっ迫した今、EVでいいのか?

当サイトでは一貫してEVをお勧めしていますが、答えはもちろん「イエス」です。電力がひっ迫した今だからこそ、電力を考える意味でも電気自動車にしてほしいです。EVにすることで何気なく使っていた電気についてkWhという単位ごとの量で電力について考える事になります。コストを抑えて運用するにはピーク時に電力を利用しないようになりますし、電気を蓄えてある電気自動車から自宅へと電気を戻して使う事ができます(※V2H対応車種のみ)。

電力を上手に賢く使うためにもEVにしてほしいのです。

ライフスタイルが変わる!EVのある生活!

自宅でエネルギー充填ができるEVは、ガソリンスタンドに行くことがなくなったり、マフラーのついてない車両は排気ガスが出ないため、どの向きに駐車しても周囲に迷惑をかけることがありません。人を待っていたり、長時間停車中でもアイドリングという状態が無いため、電源をつけた状態で快適に車内に居ることができます。

EVにはマフラーがありません

これにより、自動車が1つの部屋のような空間として利用できるようになったため、音響システムなどを備えたEVはホームシアター状態になったり、キャンプや車中泊を快適に過ごせる「移動式の蓄電池付き空間」としても利用されています。

つまり、生活の中での「車」の役割が大きく変わり、排気ガスを出さない車両だから、リビングとガレージを直結して、1つの部屋が自宅に帰ってくるような新しいライフスタイルになってきます。

また、大容量のバッテリーにより車に電力を蓄えておくことは、災害時の備えにもなります。この電力はV2Hなどの機器が無くても自宅で使える電力が常にあるという事になります。

このようにEVは新しい豊かで災害時に役立つ新しい暮らしを演出するツールになるため、新しいアイデアをもって接する必要があります。

関連リンク

About Electric Manager

Check Also

TESLA CYBERTRUCK サイバートラック テスラ ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

日本上陸したサイバートラックが日本各地で展示ツアー

すでにアメリカでは納車が開始されているテスラ話題のピックアップトラック「Cybertruck:サイバートラック」が日本上陸を果たし、日本展示ツアーが開催されています。まだ日本国内での発売は未定であるものの、いち早くサイバートラックの現物車両を見ることができるチャンスがやってきました。