日産の長期ビジョンを内田社長自ら語る
日産は、国内でも電動化に力を入れている自動車メーカーです。その日産が「共に切り開くモビリティとその先へ」というテーマのもと、ワクワクする体験を通して「移動の可能性を広げ」、パートナーとの協業によるスマートなエコシステムの構築を通して「社会の可能性を広げる」事にチャレンジしていく目標を掲げました。
これを日産の長期ビジョンとして2030年までに達成する事を「Nissan Ambition 2030」として発表しました。
具体的にはどういうことか見ていきましょう。
2030年までの電動化戦略
日産はここまで、電気自動車だけでなく、それに使われる電池や充電インフラの開発に1兆円を投資してきています。ここから電動化戦略をさらに加速させるために、今後5年間で更に2兆円を投資すると発表しました。
BEV15車種を含む23車種の電動車を投入
2030年までに日産とインフィニティ、両ブランドを合わせて販売車両の50%以上の電動化率を達成し、グローバルで130GWhの電池生産能力を確保するという事です。この電池容量は日産リーフ40kWhモデルで計算するとおよそ325万台分の電池という事になります。
全個体電池で現在の2倍の電池性能へ
全個体電池を採用することでバッテリー容量を2倍に、充電時間については現在の1/3にすることを目標にしているという事です。全個体電池は現在のリチウムイオン電池よりも安全性が高いことから、11年間リーフで培ってきた安全な電池供給を更に安全なものへと進化させるという事です。量産は2028年より開始します。
生産体制の強化とCO2削減
カーボンフットプリントを最小限に抑え、再生可能エネルギーによる電力供給を行う「日産インテリジェントファクトリー」をグローバルに展開していき、工場からのCO2排出量を2030年までに40%削減することも目標に掲げました。
V2Xを推進
V2XとはVehicle to Xの略で、V2HならVechicle to Homeで車から家に電気を供給し、V2LならVechicle to Loadという事で車から電化製品に直接給電を行うというものです。電気自動車が持つ大容量のバッテリーは、災害時などには人の生活を支えるものになります。自動車が接続されたグリットでの電気の二次利用をより推進していくことでエコシステムを構築していくとのことです。
充電インフラの整備
今まで日産は100万基の充電器の設置に貢献し、ここ10年間では250億円の投資を行ってきましたが、更に今後5年で最大200億円を充電インフラ整備に投資するようです。
テクノロジー
日産が今後電気自動車に搭載する主なテクノロジーは以下の通りです。
e-4ORCE
電気自動車の4輪駆動テクノロジーがe-4orceです。合計2基のモーターにより前後のトルク回転や4輪のブレーキをそれぞれ個々に制御し、減速時の回生量も調整することで、安定したスムーズな乗り心地を提供します。まずは2022年から納車が開始される「アリア」に搭載されてきます。
次世代LiDARによる自動運転
日産が自動車による事故を「0」にすることを目標にして取り組んできた結果、生まれたのが、プロパイロットという運転支援技術です。今後プロパイロットを更に進化させ、より安全な自動運転技術の開発を目指し、光による検知と測距(Light Detection and Ranging:LiDAR)を行い、AIを活用した次世代の自動運転技術を進めていくようです。
リーフで培った11年は伊達じゃない!
日産は11年間リーフで様々なチャレンジを続けてきました。この電動化の技術が現在の日本の電気自動車を牽引しています。日産リーフの電池は11年間大きな事故を一度も起こしておらず、電気自動車の安全性と信頼性を高めてきました。当初は少ない航続距離をガソリン車と比較して「電気自動車は性能が低い」などともいわれてきましたが、その研究を続け、その性能も高めてきています。
今後の電動化戦略がどのように実現されていくかが楽しみです。