自動車新時代、TESLA Model3がEV普及を加速させる
自動車というより新しい乗り物を世の中にリリースしたと言っても過言ではない「テスラ(TESLA)」。Model3という大衆車セグメントを登場させ、いよいよその普及が加速し、日本市場でも若者を中心に人気。東日本の納車を手掛けるラゾーナ川崎のテスラでは、毎日10~20台の納車が行われています。
執筆時点でのテスラ Model3の納車時期は12週間~16週間となっていますが、その間どのようなことがあり、どのように注文していくかを完全紹介します。2021年3月にテスラ Model3は大幅値下げされました。エントリーモデルのスタンダードレンジプラス(SR+)では、511万円が429万円と82万円値引きに、ロングレンジ(LR)と呼ばれる航続距離が長いモデルで655万円が499万円と156万円も値引きされました。
大幅値下げの理由として、今まではアメリカのフリーモント工場で作られたものが納車されていたのですが、より日本に近い中国上海工場が稼働し、ここからModel3が運ばれるようになったため、輸入コストが大幅に下がったことが大きな要因です。しかも、車体の品質、航続距離の向上など車体の性能が向上しました。
しかしその後、2021年11月の段階では、SR+が429万円から454万円と25万円値上げ、LRは499万円から534万円と35万円の値上げがおこなわれました。円安も進んでいて、半導体不足などの影響もあり、米国のModel3も毎週のように値上げされているところを見ると、今後も値上げされる事が予想されます。
今回は、当サイトのスタッフの一人がテスラ Model3を購入したため、その購入体験と納車時、納車後に注意したいことなどをまとめてみました。
ネットでポチって購入!気軽に注文できる理由がある!
まずは、テスラショールームに試乗に行きましょう!
テスラは業界初、ネットで自動車を購入します。このスタイルは発売当初から導入されていて、日本のテスラ一号店青山ショールームができた時からこのようなスタイルでした。2021年11月現在、国内のテスラショールームは大阪心斎橋、愛知名古屋、東京南青山、神奈川ラゾーナ川崎プラザの4か所です。ショールームはあくまで試乗を行うだけの場所、「試乗後は自宅に帰ってポチってください!」というスタンスです。青山でModel Sを試乗したときは驚きました。なにせ、試乗後は普通「ではお見積りを」とディーラーの中で商談するのが普通の自動車の買い方ですが、試乗後は「はい、さよなら~」って感じです。
「見積もりとかもらえないんですか?」
なんてきいてみると、「自宅からテスラのホームページに行って購入してください。」って言われました。ショールームにはiMacが1台置かれているだけ。「もしアカウントの作り方とか分からなければ、このMacを使って作り方ご紹介しますが・・・」って感じです。
という事で自宅からテスラの公式サイトへアクセスし、アカウントを作成して見積もりを作ります。「カスタムオーダー」に進むとオプションが選べます。
選択項目はたったの5項目
オプションを選ぶと言っても日本の自動車みたいに細かくいろいろ選びません。選ぶ項目は以下のたったの5項目。
- グレード:スタンダード、ロング、パフォーマンスのどれか。
- ボディーカラー:5色から選択
- ホイール:18インチ、19インチのどちらか
- インテリア:黒か白か
- フルセルフドライブ(FSD):付けるか、付けないか
以上。細かいオプションなどはありません。これでお支払いに進みます。
注文時は15,000円だけ。納車寸前でもキャンセルできる!
自動車をネットで注文するだなんて勇気がいるように思いますが、実は気軽に注文できます。というのも、注文時には15,000円のオーダー費用が掛かるだけです。買おうかどうしようか迷っているならとりあえず注文しちゃいましょう。この15,000円は内金では無くて、あくまで注文する料金。キャンセルすればこのお金は戻ってきませんが、注文から納車まで3~4か月かかります。納車1か月前くらいから手続きがはじまりますが、その時点でキャンセルも可能です。
注文を入れておかないと、納車まで期間がかかりますし、なにより冒頭に述べた通り、価格がどんどん上がっていますが、注文時の価格での購入になるため、オーダーしておけば、値上がりの心配はありません。
さて、クレジットカード支払いで注文すると、注文した人だけが見れる画面が表示されます。もうネットなどでネタバレもされていますが、あえてここでは紹介しません。15,000円でその画面を見てください!
注文したメールには「自動車発注契約書」がPDFで添付されて届きます。今回の注文ではフルセルフドライブケイパビリティ(FSD)は付けませんでした。後からも付けられるようでしたし、日本のFSDはできることが相当限られています。他に楽しい機能としては、人が乗っていなくても12m程度は動かせる「サモン(召喚という意味)」機能です。駐車場で幅寄せされた時などに少し前に出してから乗り込めたりするので便利ですが、90万円近くプラスされてしまうので、日本でも今後いろいろな機能が解放されたら後から付けてみようと思います。
注文後2か月は全く音沙汰なし!
注文後は担当者がつきます。私の場合、試乗したときの担当者がそのまま担当としてつきました。
一度設定した色や構成は途中でも変更が可能ですが、ボディやシートカラーなど製造段階での変更にかかわるようなものはなるべく早い段階(注文後1カ月以内?)で変更しないと納期が延びてしまう場合もあるようです。
下取りは、テスラ査定より買い取り業者に
注文から2カ月は特に何も連絡無しです。強いて言えば注文から1カ月が経過したくらいにテスラ査定チームからメールがきて、納車待ちの間に、現在お乗りの車の下取り査定を行いませんか?という連絡が来ました。今回はカスタムした軽自動車を査定してもらいましたが、テスラ査定での下取りは安かったので、一括査定ドットコムにも出してみました。結果は一括査定の方が30万円ほど高く買い取ってもらえました。
購入の意思を固めたので、ウォールコネクター購入
この時点では本人はまだ購入を決めておらず、注文したけどキャンセルすればいいや~程度に考えていたのですが、1カ月待つ間にYouTuberの動画を見たり、テスラのニュースが気になったりして追っているうちに、その素晴らしさが確たるものになったため購入の意思が固まりました。なのでいよいよ本格的に導入の準備をするため、自宅での充電設備であるウォールコネクターを購入しました。
ウォールコネクター設置の注意点
自宅にウォールコネクターをつける場合は注意が必要です。まず自宅の電力契約で200Vが利用できるようになっていることが重要です。許容する電流値によっては、自宅の契約をアップグレードしたりする必要もあります。
ウォールコネクターは最大48Aという電流値を流せるため、できればこの値に近づけた工事をすれば、自宅でもかなり早く充電が可能です。しかしながら、高い電流値の契約は基本料金も上がります。またオール電化などの場合は深夜電力などの利用でかなり格安で充電が可能になりますが、一方でエコキュートなどの他の装置も深夜電力で動くようになっています。その時間帯にテスラの充電とエコキュート、食洗器などが同時に動いても大丈夫なような電流値で設定します。大電流を流す場合には工事費も高くなります。住宅メーカーや電力会社、電気工事の人とよく相談する必要があります。
キーフォブは必要か?
更に売り切れていたキーフォブが入荷したという案内も来ましたので、こちらも購入してみました。テスラはキーカードだけでなくiPhoneやAndroidなどのスマホがキーになるため、キーフォブはよっぽど従来の車のキーのように使いたいと思う人以外は必要ないと思います。実際、納車後も予備キーとして自宅に置きっぱなしという状態です。ちなみにこのキーフォブは元々電池が入っていません。CR2032というボタン電池を用意してください。
2か月後にようやく連絡が来ました!
6月28日にオンラインで注文し、9月2日にようやく担当者からメールが来ました。「あなたの車両が上海から日本に向かっていると連絡が入りました」と。そして、テスラのオンラインページにログインすると、VIN番号という番号がいつの間にか振られていて、デザインの変更ができないようになっていました。しかしこの段階でまだ「キャンセル」ボタンがアカウントに表示されており、まだキャンセルもできる状態です。テスラは注文時に5項目しか選択肢がないので、すでに納車待ちの誰かにひきあたるか、むしろ在庫車としても出せるので全く問題ないのでしょう。
車庫証明、委任状、ETCなどの書類が届く
メールが来た2,3日後、レターパックにてテスラから車庫証明を取得するための各種書類と、ETCのセットアップに関する委任状などが届きます。これらを9月末くらいまでに送ってくれというのですが、到着した人から順次手続きを始めるという事でしたので、翌日には返送しました。この時点では10月中旬の納車を目指しているとメールには書かれていました。納車日が決まるとアカウント内にその納車日程が表示されます。
注文から3か月後に納車日決定
担当者から9月30日にメールが入り、納車日が決定したのでアカウントを確認してほしいとのこと。10月26日火曜日の夜!!しかし残念ながら都合が悪かったため、土曜日に変更してもらい、10月30日に決定しました。2021年10月の段階では、ラゾーナ川崎での納車は平日は火曜日~金曜日の17:00~19:30で行われ、土曜日は10:00~12:00とのこと。月曜日と日曜日は納車をおこなっていないようです。
補助金申請も同時進行
納車日が決まったので、環境省の補助金についても申請を開始しました。こちらは100%再エネ電力調達を行う事で、経産省の電気自動車購入補助金と合わせて80万円の補助金が用意されています。申請書を記入して、領収書を添付し、手法3を使って再エネ電力証書を購入しました。手法3とは再エネ100%の達成方法として、電力会社はそのままでJクレジットを購入することでCO2排出量を取引する方法です。
>>CEV補助金
納車4日前にタッチレスデリバリーのご案内
納車4日前にテスラよりメールが届き、タッチレスデリバリーについての案内と車検証のコピーが届きました。これには登録日などが書かれているため、補助金申請に必要な書類になります。タッチレスデリバリーはスタッフとの接触を減らすために、テスラストアに行って、車検証などの書類を受け取り、自動運転などの同意書を記入したうえで車両に関する説明をうけて引き渡しになります。
ダイヤモンドキーパーも予約
新車を購入したならやっぱりガラスコートはしておきたいもの。いろいろ調べてキーバーラボにて、ダイヤモンドキーパーにすることにしました。納車後そのまま持ち込めるように、納車日と同じ日の午後にキーパーラボに予約を入れました。キーパーコーティングはオートバックスなどでもやってもらえるようですが、キーパーラボであれば、専用の設備で上級資格を持った人が多くいるそうなので、ラボを予約しました。
いよいよ納車!納車はテスラストアに取りに行く
関東エリアの人、東日本の人については10月末まではラゾーナ川崎が納車場所になります。東北にはテスラストアもないため、青森や北海道の人もラゾーナ川崎での納車になります。ラゾーナは川崎駅直結で、しかも駅の改札を出てすぐのところにテスラがありますので、電車でとりに来る人も多いようです。11月以降は東京の有明にテスラのデリバリーセンターが完成しましたので、そちらで納車されるようになりました。
ラゾーナ川崎のテスラストアは、10時開店です。土曜日は10時より12時まで納車が行われるためこの間に行けばよいという事です。開店後、スタッフの人から納車に関する説明を受けた後、自動運転に関する同意書を記入の上、車検証など資料を一式受け取りました。テスラカードキーを受け取り、テスラアプリの準備なども行いましたが、すでにテスラアプリに車両が表示されていました。後は車両に乗り込んだ後にカードをかざしてテスラアプリをアクティベートすれば、すべての機能がアプリから使えるようになります。
通常は納車場所はラゾーナの駐車場のとある一角にまとまっているのですが、今回私のテスラについては充電中という事でしたので、試乗車が置かれている場所での納車となりました。なのでほかの皆さんとは違う場所でした。納車日を変更したからでしょうか。
納車時のチェック
納車の際によく言われるのが、そのチェックです。テスラスタッフによりチェックがされていますが、心配な方は以下の項目などに注意してチェックしておくとよいと思います。
- 書類やアプリに表示されているVINナンバーが合っているか
- ボディやガラス、ホイールなど外装に傷などがついていないか。
- カードキーでロックが解除されるか。
- 社内でアプリを起動し、テスラで使用できるように登録できるか。
- 4か所のウインドウはきちんと上下するか。
- ヘッドライトは点灯するか
- ウインカーやハザード、リバースランプは点灯するか?
(Model3はリバースランプの際、左側片方しか点灯しません!デザインだそうです。) - グローブボックスが開くか。
- グローブボックス内にUSBメモリは挿さっているか。
- フランクやトランクはきちんと開閉するか。
- フランクに牽引用のフックがセットされているか。
- トランクにチャデモアダプタとトランク底に三角表示板が入っているか。
- アプリでも開閉できるか。
- シート・ステアリングヒーター、空調は動作するか。
- 付属品は全てついているか?(付属品は同モデルでも時期によって別オプションになったりしますので、テスラスタッフに確認し、スタッフから言われた付属品がちゃんとついているかという確認になります。)
などをチェックしておきます。ラゾーナ川崎での納車の場合は問題なければそのままテスラストアに戻らずに運転して帰ります。ゲートを出る際に、駐車券がありませんので、インターホンを推して「テスラ納車です」というと係員が明けてくれます。
納車後暗くなる前にやっておきたい事!
ヘッドライトのキャリブレーションは暗くなる前に絶対やっておくべきです。これやっていないと、ヘッドライトの高さがバラバラになってしまいます。どこか目の前に障害物がない広い場所で、パネルの「自動車のマーク」をタップして「サービス」-「ライト」で自動的に調整されます。その後お好みの高さに左右のヘッドライトの手動調整も可能です。
オートパイロット関連の設定をお忘れなく!
納車された時には、テスラのオートパイロットの設定はきちんと設定されていません。よくYouTuberの人たちが表示させている信号やレーンの認識などはOFFになっているので、これらをONにして、テスラの醍醐味でもあるオートパイロットもいろいろ試していきたいところです。オートパイロットは最初50~70kmくらい走行しないとできないようです。
殆どの操作が音声でできます。
ハンドルの右側のボタンを押せば、音楽の呼び出し、ナビの設定、ワイパーのON,OFFなどほとんどの操作が音声でできます。いろいろ試してみましょう。
テスラでのEVライフの始まり!
テスラはセンターパネルですべての操作を行えます。ステアリングの重さや位置、シートの位置などすべて電動で行いますが、複数のドライバーが1つのテスラを利用する場合はそのセッティングを人ごとに保存しておくことができます。アプリからはリモートで操作を行う事ができ、現在テスラがどこを走行しているかなども見ることができます。
充電スタンドとスーパーチャージャー
自宅に充電スタンドを設置できる場合は200Vのウォールコネクターを設置します。モバイルコネクタでも良いのですが、これは電流値が16A程度しかとれないため、充電に時間がかかってしまいます。モバイルコネクタは緊急用に持っておくと便利ですが、自宅には、やはりしっかりウォールコネクターが良いでしょう。
集合住宅などに住んでいる方は有料の充電スタンドを利用することになりますが、テスラ専用にはスーパーチャージャーと呼ばれる急速充電スタンドが用意されています。
しかし、現在その設置台数が非常に少ないため、スーパーやコンビニ、高速道路などに設置されている日本の標準規格となっているCHAdeMO(チャデモ)急速充電器を使って充電することもできます。この時には写真のようにCHAdeMOアダプタをつけてテスラ用に変換して利用します。
CHAdeMOは一時期世界標準にもなった充電スタンドの規格でしたが、現在では海外のEVメーカーがこぞって急速充電スタンドの開発を進めていて、開発が進んでいないCHAdeMOはひと昔前の規格となってしまっています。北米やヨーロッパでは高性能な充電スタンドが実用化されていて、テスラのスーパーチャージャーなどを筆頭に、充電スタンド戦争からも日本の充電スタンドは置いて行かれてしまっています。
効率の良い充電を行うために
自宅での充電や有料充電スタンドの充電を行う場合には、効率の良い充電を行う事が重要です。これは電費に大きく関わってきます。
通常は80~90%まで充電してフル充電にはしないようにします。これは電池を充電する際に最後の10%は非常に電力をくい、充電にも時間を要するという性質があるからです。また電池の寿命にもかかわることから、長距離運転が無いときはこのように充電することで電費が良くなります。
また、充電するタイミングども重要です。オール電化などの契約であれば、電気料金が安い時間に充電したり、太陽光パネルがあれば、昼間の時間に充電すれば太陽光からの電気となるため、無料で充電できるという事になります。
電気自動車を上手に運用するためには電気の契約や知識が非常に重要になってきます。このあたりは、今後も当サイトで上手なEVライフのための情報提供を行っていこうと思います。
以上、テスラの納車から運用までの一連の流れをご紹介してみました。テスラの活用についても引き続きご紹介していければと思います。