大量生産に向けて和歌山ラインに7億ドル
日経アジアによると、パナソニックはテスラの開発した新しい電池「4680」の生産のために、和歌山工場(和歌山県紀の川市)の拡張に7億ドル(約807億)を投入する予定です。この工場が稼働すれば、毎年10GWh(ギガワットアワー)もの新しい電池の生産が見込まれます。これはEV車両15万台への供給分に匹敵します。この生産量は、日本だけでなく海外で展開されている工場も合わせ、パナソニック全体の電池生産高の20%を占めることになります。
この4680バッテリーは、これまでのテスラ車両に搭載されているリチウムイオン電池に比べ、生産コストの10~20%削減、電力密度の15%増加が期待できます。密度が増加するという事は、航続距離の延びにつながり、テスラのモデルSで見ると現行650キロが750キロに延びる計算になります。パナソニックによると、早ければ2023年初頭には生産が開始される予定だそうです。
テスラ市場でのシェア回復なるか
長年テスラ用車載バッテリーの生産を担ってきたパナソニックですが、中国のCATLや韓国のLGエナジーソリューションがテスラバッテリーに参入して以来、そのシェアはどんどん削減されてきました。この工場ラインの稼働により、4680バッテリーの主力生産者としてテスラとの取引の回復が期待されます。
パナソニックは先日発表したロイターへの声明で、現時点で発表できるものはないとしつつも、今年度中に設置予定の試作品ラインも含め、大量生産のためのさまざまな方法を検討している段階だと述べています。
しかし、他社も静観している訳ではありません。CATL、LGエナジーソリューションズ、SKイノベーション、その他多くの電池メーカーが、新しい製造施設に数十億ドルを投じています。
鍵を握るのはコスト削減と密度
近い将来、それらのメーカーうちのどれかが、現行の2倍の高密度で、なおかつ製造コストは半分という新しいバッテリー技術を作り出すかもしれません。しかし現段階でも、現行品比で密度15%アップ、コスト20%削減というニュースは注目に値します。私たちは日進月歩で起こっているEV革命の目撃者となるでしょう。
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