土曜日 , 5月 10 2025

Jクレジット制度とは?CEV補助金との関係やメリットをわかりやすく解説

近年、「脱炭素」や「地球温暖化対策」といった言葉をよく耳にするようになりました。電気自動車(EV)方なら特に環境への貢献に関心をお持ちのことでしょう。

そんな中で、「Jクレジット制度」という言葉を聞いたことはありますか?なんだか難しそうな仕組みにも感じますが、実は私たちの暮らしや、EVに乗ることとも少なからず関連がある制度なんです。

この記事では、Jクレジット制度の基本から、EVオーナーとどんな関わりがあるのか、よく耳にするCEV補助金との関係なども含めて、分かりやすく解説します。

この記事を読めば、

  • Jクレジット制度の仕組みがわかる
  • EVに乗ることが社会全体でどのように評価されるのかがわかる
  • CEV補助金とJクレジット制度の違いがわかる

といったメリットがあります。ぜひ最後までご覧ください。

Jクレジット制度とは?国の「お墨付き」で環境価値を見える化

まず、Jクレジット制度がどんなものなのか、簡単にご説明します。

Jクレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理などによるCO2などの温室効果ガス排出削減量や吸収量を、「クレジット」として国が認証する制度です。

ELECTRICLIFE エレクトリックライフ 林業 J-クレジット

例えるなら、あなたが頑張ってダイエットして減らした体重を、国が「あなたは〇kg痩せましたね!」と公的に証明してくれるようなイメージです。この「証明」が、温室効果ガスの世界では「クレジット」という形になります。

なぜこのような制度があるの?

この制度がある主な目的は以下の通りです。

  1. 企業の脱炭素目標達成を支援: 自社の努力だけでは温室効果ガスを削減しきれない企業が、他の場所で生まれた「クレジット」を購入することで、目標を達成できるようにする。
  2. 環境への取り組みを後押し: 温室効果ガス削減・吸収に取り組む個人や企業、自治体などに、クレジットという形で「価値」を与え、さらなる取り組みを促す。
  3. 新たな資金の流れを創出: クレジットを売買することで、環境対策のための資金を循環させる。

このように、Jクレジット制度は、日本全体の温室効果ガス削減目標を達成するための重要な仕組みの一つなのです。

Jクレジットはどうやって生まれるのか?

Jクレジットは、どんな取り組みでも生まれるわけではありません。国が定めた方法論に基づき、適切に測定・算定された排出削減量・吸収量だけがクレジットとして認証されます。

具体的な流れは以下のようになります。

  1. プロジェクトの実施: 省エネ設備の導入や再エネ発電など、温室効果ガス削減・吸収に繋がる活動を行う。
  2. 排出削減量・吸収量の測定・算定: 定められた方法で、活動による削減量・吸収量を計算する。
  3. 申請: 国の認証機関に申請を行う。
  4. 認証: 厳正な審査を経て、国がクレジットとして認証する。
  5. 発行: 認証された量がクレジットとして発行され、登録簿に記載される。

こうして生まれたクレジットは、必要な企業や自治体などが購入し、活用することになります。

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Jクレジットと電気自動車(EV)の関係は?

では、あなたのEVがJクレジットを生み出すのでしょうか?JクレジットとEVはどんな関係にあるでしょうか。

EVは製造工程でCO2を大量に排出するからトータルではガソリン車よりもCO2を排出していると言う人がいますが、それは間違いで、EVの製造工場はそれ自体が従来の自動車生産工場と違い、カーボンニュートラルを実現している場合が多く、電池工場についても同様です。EVで使われたバッテリーなどはリサイクルされ、他の用途のバッテリーとして再利用もされています。

つまりEVを乗る事は、環境貢献につながる取り組みであるため、これらを生産している工場やメーカーでは、Jクレジットが活用されています。

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しかし結論から言うと、現状、個人が所有するEVの走行によって直接Jクレジットが発行される仕組みは一般的ではありません。

Jクレジット制度は、ある程度まとまった規模での排出削減・吸収プロジェクトを対象としています。例えば、

  • マンションなどの集合住宅でのEV充電設備の導入
  • 企業の社用車をEVに切り替える(EVフリート化)
  • 地域で再生可能エネルギーを使ったEVシェアリングサービスを展開する

といった取り組みが、Jクレジットの認証対象となり得ます。これらのプロジェクトは、個人の集まりや組織が行うため、削減量をまとめて算定・申請しやすいからです。

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しかし、あなたがEVを選ぶという行動そのものが、社会全体のCO2排出量削減へと進む道に貢献していることは間違いありません。Jクレジット制度は、そうした社会全体の取り組みを「見える化」し、価値を与えている制度なのです。(※EVがCO2削減になぜつながっているかは本記事最後の関連リンクをご覧ください。)

将来的に、V2G(Vehicle-to-Grid)やV2H(Vehicle-to-Home)といった技術が普及し、EVの充放電を最適に制御することで電力系統全体のCO2排出削減に貢献するような仕組みができれば、個人のEVもJクレジット創出に間接的に関わる可能性は考えられます。

次に紹介するCEV補助金とのかかわりは、まさにEVユーザーがJクレジットに登録する事で、個人がEVを利用する事を推進している次世代自動車振興センターがJクレジットの普及を促し、個人の貢献度に対する評価へと広げていこうという取り組みの1つです。

CEV補助金を利用する際にはJクレジット制度への登録が必要

EV購入時に利用できる「CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)」はクリーンエネルギー自動車(EV、FCVなど)の購入費用の一部を補助することで、普及を促進するための制度で、消費者にとっては新車購入に対する大きなサポートになるものです。

個人が、型式指定を受けた電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、超小型モビリティを購入し、CEV補助金の交付申請を行う場合、CO2排出削減量のクレジット化を推進するJ-クレジット事業を実施する「J-グリーン・リンケージ倶楽部」もしくは他のJクレジット推進団体への入会が必要となります。補助金交付申請時に「J-クレジット事業への参加に関する事項」という項目で確認でき、該当車両の場合は「はい」を選択する必要があります

排出削減量の扱いと年会費など

このJ-クレジット制度では、CEV補助金を受けて導入された対象車両によるCO2排出削減分を、国全体の温室効果ガス排出削減としてクレジット化し、売却されます。しかし、その売却益は車両購入者(入会者)に還元されることはありません。個々の車両購入者が煩雑な入会手続きをすることなく、センターがまとめて対応することで、J-クレジット制度への参加を推進しています。J-グリーン・リンケージ倶楽部の年会費等は無料です。入会すると利用状況のアンケートなどが送られてくるようです。

>>J-グリーンリンケージ倶楽部

Jクレジット制度のメリットは?

ここまで読んで、「結局、自分のEVでJクレジットは得られないのか…」と思われたかもしれません。確かに、現時点で個人EVオーナーがJクレジットの売却益を得ることは難しいです。

しかし、Jクレジット制度を知ることで、以下のようなメリットを感じられるはずです。

  1. 自身の環境貢献をより深く理解できる: あなたがEVを選び、充電スタンドを利用し、クリーンな走行をすること。これらの行動が、Jクレジット制度のような仕組みによって社会的に「価値」として評価されうる貢献であることを理解できます。
  2. エコな社会の仕組みに関心を持つきっかけになる: Jクレジット制度は、環境対策がお金や価値と結びつく仕組みの一例です。こうした制度を知ることで、企業や自治体が行っている環境への取り組みや、カーボンオフセットといった考え方への理解が深まります。
  3. 将来的な可能性に期待できる: 今は個人EVが直接的なJクレジットの対象でなくても、技術の進展や制度の見直しによって、将来的にあなたのEVがJクレジット創出に貢献できる仕組みが登場するかもしれません。(例:V2G/V2Hによる貢献の評価など)
  4. 環境意識の高い企業を応援できる: Jクレジットを購入して脱炭素に取り組んでいる企業は、環境意識が高いと言えます。そうした企業の製品やサービスを選ぶ際の参考になるかもしれません。

Jクレジット制度は、単なる専門的な仕組みではなく、私たちが目指す脱炭素社会を支える基盤の一つです。この制度がどのように機能しているのかを知ることは、自身のライフスタイルが社会全体とどのように繋がっているかを理解する上で非常に有益です。

EVは脱炭素社会の貢献者。Jクレジット制度はその価値を見える化する仕組み

この記事では、Jクレジット制度について、EVやCEV補助金などとからめて解説しました。まとめると以下のようになります。

  • Jクレジット制度は、温室効果ガス削減・吸収量を国が認証する仕組み。
  • 企業や自治体が排出量目標達成のためにクレジットを購入・活用する。
  • 個人のEV走行が直接Jクレジットになることは現状まれだが、EVの普及は社会全体のCO2削減に貢献しており、Jクレジット制度はその価値を見える化する仕組みの一つ。
  • CEV補助金はEV購入支援、Jクレジット制度は排出削減量の認証・取引であり、目的が異なる。
  • Jクレジット制度を知ることで、自身の環境貢献をより深く理解し、社会の脱炭素の取り組みへの関心を深められる。

あなたがEVを選び、日々運転してすることで、間違いなく脱炭素社会の実現に向けた貢献につながります。Jクレジット制度のような仕組みがあることで、その貢献が社会の中で価値として認識されています。

Jクレジットは日本政府が主導して進めているカーボンニュートラルの意識づけを行う施策の1つです。このような「意識づけ」を行う事が脱炭素への一歩で、このような取り組みは今後も様々な新しい名前を付けて展開されていく事でしょう。

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EV導入を、車両だけでなく自宅環境の整備なども併せて、強く推進していきたい思います。

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