ゼロ(0)シリーズから宇宙ロケットまで、「操る喜び」を追求した次世代EV戦略
「ワクワクする未来を探しに行こう」。
本田技研工業は、ジャパンモビリティショーのコンセプトとしてこの言葉を掲げ、陸、海、そして宇宙に至るまで、幅広いモビリティを揃えた展示を行いました。長年にわたり「夢を本気で形にしてきた会社」であるHondaが、電動化時代に向けて打ち出す次世代戦略は、単なる乗り物の電動化に留まらない、未来の移動体験そのものの再定義を目指しています。
特に注目されるのが、2050年のカーボンニュートラル実現を目指す中で発表された次世代EVシリーズ、「Honda 0(ゼロ)シリーズ」です。
原点に立ち返り、ゼロベースで生み出す「Honda 0シリーズ」
「Honda 0シリーズ」は、既存の概念にとらわれず、Hondaが原点に立ち返り「ゼロベース」でお届けする次世代EVです。独自開発アプローチである「Thin, Light and Wise」により、全く新しい価値を生み出すことを目指しています。
【主要モデルの紹介】
1. Honda 0 Saloon(ゼロ サルーン) 0シリーズのフラッグシップモデルです。低全高でスポーティーなスタイルが特徴であり、一目で他との違いを感じさせます。しかし、その外観からは想像できないほど広い室内空間を両立している点も魅力です。

2. Honda 0 SUV(ゼロ SUV) 0シリーズの第1弾として発売が予定されている中型SUVです。解放的な視界と、自由度の高い広々とした室内空間を特徴としています。

3. Honda 0 Alpha(ゼロ アルファ):世界初公開モデル 今回、新たに0シリーズに加わったSUVのプロトタイプが世界初公開されました。「0シリーズならではのスリークで洗練されたデザイン」と「SUVらしい力強さ」という二つの要素を兼ね備えています。このモデルは、都市にも自然にも美しく調和し、あらゆるシーンで人々に寄り添う存在となることを目指しています。

◦ 発売予定: 2027年より、日本やインドを中心にグローバルで販売する予定です。
◦ 日本市場: 日本の顧客には、この0アルファを含めた3つの0シリーズを2027年度中に発売予定です。
【0シリーズの共通技術】
0シリーズのモデルは、独自のビークル OS「ASIMO OS」およびシャシーによって、使えば使うほど車が進化するという特性を持ちます。これにより、一人ひとりに「超個人最適化された移動体験」を提供します。

EV時代の「操る喜び」を追求:2輪から小型車まで
電動化の時代を迎えても、「ドライバーと車の一体感を追求したHondaならではの操る喜びは決して変わらない」と強調されています。Hondaはこの喜びを体感できるモデルを、EV・ハイブリッドを問わず幅広く用意しています。
• スーパーワン(Super-One) プロトタイプ (小型EV): こちらも世界初公開となった、遊び心に満ちたコンパクトな小型EVです。ワイドに張り出したフェンダーを持つこのモデルには、走りを刺激的にする「ブーストモード」が搭載されています。ブーストモードでは、アクセルを踏み込むと出力が一気に上がり、エンジン車のようにギアが切り替わる感覚に合わせてエンジンサウンドが響き渡るという、EVならではの圧倒的な加速と、慣れ親しんだ運転の楽しさを両立させた新時代の車です。

◦ 展開予定: 2026年より、日本を皮切りに、アジアやイギリスなど小型EVニーズの高い地域へ展開されます。
• EV アウトライヤー コンセプト (2輪車): 2030年以降の2輪車のあり方を提案するコンセプトモデルです。電動車ならではのレイアウトの自由度を活かし、前後両輪にインホイールモーターを採用することで、ダイナミックでロープロポーションなスタイルを実現しています。

• プレリュード (Prelude): Hondaが長年磨き上げてきたエンジンやハイブリッド技術を詰め込み、「操る喜び」にこだわったスペシャリティスポーツハイブリッドです。社長自らが乗っている、ホンダを象徴する自信たっぷりの車であると説明がありました。

Acuraブランドの次世代EV「Acura RSX Prototype」を日本発公開
Hondaが独自に開発した次世代EVプラットフォームを採用する北米のみで発売しているブランドですが、日本のユーザーのニーズによっては、日本市場への投入もかんがえているとの事です。
モビリティの「知能化」と宇宙への挑戦
Hondaは、新しい価値を提供し続ける上で鍵となるのが「モビリティの知能化」であるとし、その中核技術として次世代のADAS(先進運転支援システム)の開発を強化しています。
• 次世代ADAS: ナビで目的地を設定するだけで、車がアクセルやハンドル操作を主体的に担い、快適に移動できる機能です。まるでベテランドライバーが運転をリードするような安心感を提供し、運転の負担を軽減します。この技術は、2027年頃よりEVだけでなくハイブリッド車にも搭載され、より多くの顧客への提供を目指しています。現在、アメリカの公道でテスト走行が行われ、開発は順調に進んでいるとのことです。
さらに、Hondaの挑戦は「空」を超え、「宇宙」へと広がっています。
• サステナブル・ロケット: Hondaが目指すのは、再使用可能な機体と再生可能燃料を使った、環境負荷の低いロケットです。今年6月には北海道で離着陸実験を行い、姿勢や速度の正確な制御を達成し、計画通りの動きを実現しました。この成果は、自動車の自動運転や航空機開発で培われた制御技術など、Hondaの総合力と従業員の情熱の賜物であると述べられています。

Hondaは「挑戦の連続こそHondaなんだ」という信念のもと、今後も困難に諦めずに挑み続け、人の可能性を広げるモビリティで驚きと感動を作り出すことを目指しています。ブースでは幅広いモビリティを通じて、Hondaが描く未来を感じてほしいと結ばれています。
ELECTRICLIFE – エレクトリック・ライフ! 電気自動車(EV)・電化・再エネ活用でカーボンニュートラル実現へ!