土曜日 , 4月 27 2024

2022年の日本と中国自動車販売状況

年々少なくなる日本国内の新車販売台数

今年度の日本国内での新車販売状況は、2022年8月末までのデータで約272万5千台で、2021年8月末までの販売台数が約316万台であったことから、ここまで前年比14%減と大幅に販売台数を落としています。

Toyota new crown エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP
2022年発表のトヨタNEWクラウンは受注好調もやはり納期はかかる

 

昨年2021年までの日本国内の新車販売台数は約421万5千台で、2020年と比較して9%減少していて、この数字は1976年の新車販売台数420万台に続く、以来45年ぶりの低水準で、普通車は5年連続のマイナスで、軽自動車は3年連続のマイナスとなりました。

半導体不足の長期化により部品調達が滞っているわけですが、これは昨年より深刻化してきているようにも見えます。

それにより、2022年度はこの数字を更に割り込んでくることが予想されます。

2021年の中国市場は4年ぶり増

2021年度中国国内での自動車販売台数は約2627万5千台と前年比3.8%増となり、4年ぶりに増加しました。この数字は日本市場の6倍以上という事になります。

Wuling Hong 宏光MINI エレクトリックライフ Electriclife.jp
50万円の電気自動車として爆発的に売れたHongGuang Mini EV

中国市場では2017年に約2,888万台の新車販売を行ったのが過去最高値で、近年では世界的な物流の乱れやロックダウンなどによる企業機能の停止、半導体不足などの影響深刻になっています。

日本よりも中国での日本車販売台数が多い

2021年の中国国内の乗用車販売のメーカー国別のシェアを見ていくと、1位はもちろん中国で44.4%であるものの、2位にドイツ系443万1192台(20.6%)、3位に442万9,462台(20.6%)と僅差で日系の自動車がランクされています。

2021年に日本国内で販売された自動車は約421万5千台であることから、中国市場の方が日本車の総販売数でも上回っている事になります。

中国国内の販売メーカー国 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

中国で2021年に最も売れた車は日本車!

では、2021年の中国市場で最も売れた自動車は何かというと、実は日本の日産自動車が発売している「シルフィ:Sylphy」です。日本ではすでに生産終了となっていますが、中国市場では2018年にZero Emission Vehicle(ZEV:排気ガスゼロ車の意味)つまり電気自動車(EV)としてリリースされています。日産リーフ同様にフロント側に急速と普通充電ポートがあります。

Nissan EV Sylphy ELECTRICLIFE エレクトリックライフ
中国市場ではZEVとしても販売されている

2021年の販売台数は約50万台で、これはガソリン車やハイブリッド車(HV)とEV全てを合わせた販売台数ではあるものの、50万円で購入できるEVとして話題をあつめたHongGuang Mini EVが42万台で2位だったことから断トツ1位だったことが分かります。

中国で売れたBEVメーカーは?

2021年の中国市場で最も売れたバッテリー電気自動車(BEV)をメーカー別に見ると以下の通りです。

  • 1位 上汽通用五菱汽車(Wuling) 42万3,171台
  • 2位 テスラ 32万2,020台
  • 3位 BYD 29万6,663台
  • 4位 長城汽車 13万3,510台
  • 5位 広汽アイオン 12万2,681台

1位の上汽通用五菱汽車(Wuling)は50万円EV「宏光MINI EV」の売り上げが殆どで、2位テスラは上海にあるギガファクトリーから供給されるテスラモデル3が人気を集めました。

Tesla Model3 electriclife.jp エレクトリックライフ
Telsa Model3 は一時中国市場で最も売れたEVとなった。

日本上陸を発表したBYDも販売数を伸ばし、今年は更に先端技術を搭載し、日本での発売も予定している「SEAL」を発表し、ラインナップをそろえ中国市場や日本市場でもそのシェア獲得を目指しています。

横浜赤レンガ Redbrick beach BYD エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP
BYD SEAL

中国市場での新エネルギー車普及状況

中国市場の2020年の新エネルギー車の割合は全新車販売台数の中で5.4%でしたが、2021年には13.5%と急激に普及が進み、2022年はこの割合が更に大きくなると言われています。日本でいう内閣にあたる国務院は2025年までには新車販売の20%を新エネルギー車にするとしていて、2035年には販売の大半をEVにするとしています。

この目標値は今の中国市場のEVシフトのスピードを見ているとより早い段階での実現が可能になるかもしれません。

2022年のゴールはどうなるか?

2021年と比べ2022年は当初からかなり自動車生産に影響が出ているため、上海でのロックダウンによる生産への影響や半導体の影響が世界的に販売台数の低下につながる形になるでしょう。

EVのラインナップも増え、消費者への認知度もじわじわと広がってきているようで、ガソリン車やHVの生産量が落ちて、新車に対するEVの割合は大きく飛躍するとも考えられます。

一方で充電インフラ問題や電力問題など、どの国にも残るこの問題ですが、中国の場合これら公共の施設を国策で増強する場合、強行的な処置もとる可能性もあり、短期間で問題を解決できてしまうかもしれません。

部品は無くても完成品なら輸出できる

日本市場とは比べ物にならないほどの車両販売と生産を行い、海外への輸出量も年々増加している中国の自動車業界は、2020年には99.5万台だった輸出量が201万台をこえました。欧米の自動車メーカーが生産工場を中国に作りはじめています。この動きは日本の自動車メーカーにも起こっていて、日本で販売する日本メーカーの自動車も、今後は中国で生産したものを日本に輸入してくる可能性があります。すでにトヨタとBYDが協力してEVの生産を行っている事などから、すでに始まっているといえます。

港 車 輸出 モータープール エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

自動車の部品や半導体が日本で手に入らないのなら、それらが比較的手に入りやすい中国で自動車自体を生産し、完成車として輸入するという動きです。日本メーカーも国内の需要より海外の需要を気にするようになっているわけで、それであれば、売れない日本の工場に投資するよりは海外工場で一括で生産した新エネルギー車両を日本に輸入してくるという動きになるでしょう。

EV先進国の動向は今後も見逃せません。

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