世界でトップ5に入る自動車メーカー
かつて日本市場でも車を販売していたHYUNDAI(ヒュンダイ)は韓国の自動車メーカーで、VW(フォルクスワーゲン)、トヨタ自動車、ルノー・日産、GM(ゼネラルモーターズ)に続く世界第5位の自動車メーカーです。傘下に「KIA」などもあり、米国などではポピュラーな車となっていますが、日本市場では2000年に日本法人を立ち上げたものの、日本車と比較して性能・デザイン性の低さから販売台数は低迷し、一部のファンの間でもその品質やサポート対応の悪さが噂となり、2010年には日本市場の撤退を余儀なくされました。
このような過去の悪評を払しょくするために「ヒュンダイ」という呼び名から「ヒョンデ」と名称を変更し再上陸するとかねてから噂になっていましたが、ついに現実のものとなりました。
公式に日本再上陸をアナウンス、EVを投入
すでに日本語版ウェブサイトも公開され、試乗予約やウェブ注文などが開始されています。公開初日の2月8日は時々アクセスが集中して、正常に表示されなくなるほどの注目を集めています。
まずは高性能でヨーロッパでも評判が良い電気自動車、「IONIQ5:アイオニックファイブ」と燃料電池自動車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)である「NEXO:ネッソ」を日本市場に投入します。納車は5月ごろから開始されるようです。
次世代自動車でイメージを刷新
今回ヒュンダイが日本市場に投入する車両をEV、FCEVなど次世代自動車のみに絞り込む事で、そのイメージを最先端でクリーンな自動車メーカーとしてブランド力を高めていく狙いがあるのでしょう。
外部給電を備えた高性能EV「IONIQ5」
IONIQ5はすでに欧米での販売がスタートしていて、人気を集めているステーションワゴンタイプのEVです。とにかく高性能EVでありながら価格が抑えられていることからTESLAのモデル3やVWのID.4などに割って入るSUVになるといわれています。
IONIQ5は外国車には珍しい外部給電機能を搭載したモデルとなっているため、2022年の令和3年補正予算のCEV補助金では、おそらく満額の80万円の補助金対象となってきます。
日本市場でのスペック
電池容量は58kWhと72.6kWhと欧米で既に発売されているIONIQ5に比べて少なめの容量ですが、それよりも電池性能が高められていて、58kWhモデルで航続距離498km(WLTC)を達成し、72.6kWhモデルでは618km(WLTC)の航続距離を達成しています。
日本市場では以下の4種類の車種がラインナップされています。
- IONIQ5 (58kWh /2WD)
- IONIQ5 Voyage (72.6kWh/2WD)
- IONIQ5 Lounge(72.6kWh/2WD)
- IONIQ5 Lounge AWD (72.6kWh/AWD)
AWDモデルはWLTCモードでの航続距離が577kmとなっているものの、充電性能は最大で225kWまで許容できるスペックを有しています。価格は500万円を切り、479万円~。
IONIQ5の最大の特徴は、車内の居住性の高さです。シートアレンジが自由自在で、車内にいるという感覚から1つの部屋を思わせる自由な空間づくりが魅力です。
トヨタと真っ向勝負のNEXO
NEXO(ネッソ)は国産メーカーではトヨタが唯一力を入れているFCEV、燃料電池自動車の1つ「水素電気自動車」です。次世代エネルギーである水素で走行し、排出するのは水(H2O)です。電池に給電するために注入した水素と酸素との化学反応で電気エネルギーを作り、モーターを回して走行します。
一回の水素充填にかかる時間はおよそ5分で、156.6リットルの水素タンクを満タンにし、航続距離は820km(WLTC)となります。日本での価格はまだ発表されていないものの、FCEVには上限250万円という大きな補助金もよういされているため、すでに日本国内にも設置されはじめた水素ステーションが自宅近くにある人なら、この航続距離をもってすれば、不便なく過ごせることでしょう。
NEXOはまだ価格が発表されていませんが、TOYOTAのMIRAIを意識し、それよりも低い価格での販売になってくることでしょう。
日本市場でのリベンジなるか?
ヒョンデのEVには、リモートパーキング機能や高度な運転アシスト機能、外部カメラによる走行時・停車時の録画など、テスラに搭載されているような機能もカバーしています。これら車両の機能はインターネット接続されているため、最新のソフトウェアにアップデートされることでその性能が向上されていきます。
航続距離、機能、価格を比較しても、世界で人気車種となっているTeslaモデル3を超えるスペックを持っているため、その実際の使い勝手がどこまで良いかによって日本市場でも人気車になる可能性が高い車です。
急速充電器がCHAdeMOという低スペックなものしかない日本市場ですが、もしヒョンデがこの充電インフラの整備もはじめ、IONIQ5の最高充電性能225kWに対応する急速充電器が日本国内に設置されるようになれば、更に人気車種になることは間違いありません。
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