土曜日 , 11月 23 2024

テスラモデル3と日産リーフを5ヶ月乗ってどっちがいいか?

全然タイプの違う2車種を5ヶ月乗ってみて。

5か月間、仕事では「日産リーフ」に乗り、プライベートでは「テスラモデル3」に乗っていたため、全くタイプの違う2つの電気自動車(EV)をほぼ毎日乗ってみての感想と日頃の運用方法などを簡単にまとめました。

Nissan Leaf Tesla Model3 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

国内で最も売れているEV2車種

2022年3月までで、国産車で最も売れているEVが日産リーフ、輸入車で最も売れているEVがテスラモデル3です。コンセプトが全く違うこの2台にはそれぞれ素晴らしいところと、気をつけなければならないことが沢山あります。それらを少しでもお伝えできたらと思います。ちなみに我が家は戸建てですのでその想定での利用と思ってください。

EVは電費や税金は安いが・・・

EVは何と言っても燃費(電費)が安い。これは自宅の電気契約や利用している充電スタンドと充電カードの契約によって大幅に変わります。ガソリン車の場合、これらの費用は人によってあまり変わりませんが、運用方法によって全く変わってきます。比較するとガソリン車の1/3の人もいれば、1/10の電費で運用している人もいるというくらい変わってきます(※1)。

エンジンが無いため、オイル交換などもなく、交換する部品が極端に少なくなっています。

また税金はガソリンの軽自動車よりも安くなり、重量税も免税になるなどの優遇税制が用意されています。(詳しくは「電気自動車だと税金が圧倒的にお得」の記事をご覧ください。)

ここまではランニングコストがかからないと言っていますが、先進性が高いEVであればあるほど、他のメンテナンスや修理に費用が掛かる場合があります(後述)。

テスラモデル3は新しい乗り物

従来の自動車と比較して、テスラは一言で「新しい別の乗り物」と言えます。新しいものが好きな人には絶対的にお勧めしたい、別の世界が体験できる乗り物です。アクセルを踏んだ時の反応は異次元で、乗用車クラスでモデル3の右に出る車は無いでしょう。車内のボタンは全て中央のタッチスクリーンにまとめられ、シンプルなインテリアが更に未来を演出しています。

テスラモデル3、後部座席でエンターテイメント ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

シフトレバーは日本車の「ウインカー」の場所にあり、ウインカーはアメ車だけに左側についています。ワイパーはタッチパネルで動作させるか、ステアリングの右手親指でボタンを押して「ワイパー(2)」と音声でON/OFFします。()内は1~4段階でその強さを言っています。オートパイロットの認識も素晴らしく、うまく使いこなすと、テスラと自分が交互にバトンタッチで運転するような使い方(曲がり角や信号の先頭に来たら人間に交代)ができます。

航続距離が長いテスラモデル3

テスラモデル3は現在国内で販売されているEVでは、満充電での航続距離が最も長いものになっていて、WLTCモードで、以下の通りになっています。

  • SRモデル(60kWh)565km(実用430km~460km)
  • LRモデル(78.4kWh)689km(実用530km~560km)

これだけ走れるならもはや航続距離は意識せず、自分の出かけた先で、電池がなくなってきたら、公共の充電スタンドで充電するといった形です。実際には()内の航続距離で、こちらの方が正しい航続距離になります。

乗りたくなる車「テスラ!」

テスラはとにかく乗りたくなる車です。個人的には今までドライブに行くという事はなかったのですが、この車はドライブに行きたくなります。静かな空間で、最高の音響、そして目的地までの運転の多くを車が担当してくれます。

高崎スーパーチャージャー! ELECTRICLIFE.JP

ネットに接続され、NetflixやDisney+、NHK Plusなど様々な動画を楽しむことができ、このエンターテイメントの充実が移動や「車の中で待つ」という時間が無駄なものに思えなくなります。この辺りも「新しい乗り物」という感覚を与えてくれています。

維持費はかかるテスラ

さて、これだけ特殊なテスラモデル3ですので、せっかく電費や税金が安くても、メンテナンスに係る費用はかなりなものです。日本では高級車の価格帯に入っていることから、あまりこの辺りの話をするのはナンセンスかもしれませんが、一時は、補助金と併用すると300万円台で購入できる時期があっただけに、後先考えずに購入してしまった人も多いのではないでしょうか。(私もそうかも。)アルミボディーに一体成型の部品が多く、通常の板金修理ができずに多額の修理費用が掛かるという話は有名です。

バンパー以外の場所を巻き込むと修理費は3桁は当たり前です。更にテスラにはディーラーがありません。サービスセンターがいくつかありますが、何かあった場合は予約の上で入庫となります。先日タイヤを1本交換しましたが、在庫があっても、作業してもらうのに4週間待ちました。

モデル3は、その車重を支えるために太いタイヤを採用しています。テスラは加速のパワーがあるため、タイヤの減りも早いです。また同等のスタッドレスの見積もりがホイル込みで45万円程度でした。ちなみにリーフは13万円でした。

また、雨の日に弱い。私が購入したのは2021年上海モデルで、それより前のモデルよりは、ましになったと言われていますが、それでも雨の日にトランクを開けると水が入ってきます。ペアガラスでも雨の日の結露はなかなかのもの。こういうところは日本車ではありえません。カリフォルニアの車はあんまり気にしないのでしょうかね。

Nissan Leaf Model3 Tesla エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

それでも、私はテスラでよかったと思っています。それらを超える新しい価値がテスラにはあります。なにより2013年から欲しかった、大のテスラファンだからです。逆を言えばこれくらいの熱がないと買う理由が無いのかもしれません。新しいものが好きな人以外にはお勧めしていません。

やっぱり日本車はすばらしい!

誰にでも勧められる電気自動車は、日産のリーフでしょう。日本車は作りがかなりしっかりしています。価格も40kWhモデルは332万円~となっていて、補助金と合わせれば200万円台中盤で購入可能です。日産の「プロパイロット」と呼ばれる自動運転化技術も高速道路では非常に安定しています。テスラモデル3より天井も高く、広さはこちらの方が感じます。(横幅はテスラかもしれません。)

日産リーフ ELECTRICLIFE.JP

電気自動車ならではの加速感もしっかり備えていて、テスラ同様、e-Pedalと呼ばれるモーターを使った車ならではの「ワンペダルドライブ」を楽しめます。アクセルペダルだけで運転するワンペダルは踏みかえ動作が無いため長時間の運転にはとても楽です。先日試した雪道の走行では、凍った路面の下り坂でブレーキを使う事が無いため、スリップの可能性をかなり低減させることができます。

日産リーフの航続距離について

日産リーフもバッテリ容量が2種類あり、それぞれ満充電で、WLTCモードでは以下の様になっています。

  • 40kWhモデル 322km(実用230km~260km)
  • 62kWhモデル 458km(実用340km~370km)

良く航続距離が短いので遠出には向いていないと言われていますが、毎日200kmも乗るような人にはリーフは向いていないと思いますが、月に1回か2回の遠出がある程度であれば、全く問題ありません。もちろん遠出の際には日産ディーラーや公共充電設備に立ち寄りますが、EVのナビは充電残量を予測して自動的に充電スポットへの立ち寄りが組み込まれるので、何も考えずに出ていっても充電スタンドが見つからない事はありません。

EVの新しい役割「電力の移動」V2H。

日産リーフの大きな魅力の1つにV2H(Vihecle to Home)という機能があります。これは蓄電池として電力を自宅に戻す働きをします。昼間太陽光で充電した電力や深夜の安い電力をリーフに蓄電し、日中から夜にかけての電気代が高い時間帯にリーフからの電力を使うという事が可能です。これは、日産リーフが「動く蓄電池」として、災害時などに電力供給を受けられる地域に出向き、電力を蓄えて停電エリアに電力を運べる事も意味しています。

V2H Leaf ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

V2Hは工事費込みで90万円程度かかり、2022年3月現在では設置に関する補助金制度なども個人宅にはありません。太陽光や電気代をうまく運用しても、この90万円という電気代をペイするにはそこそこの年数が必要になります。(太陽光併用などでの運用ですと、月々で1万~2万円の節約を実現している例はあります。※1)

全国のあちこちにある日産ディーラーとサポート体制

日本車では当たり前の事ですが、テスラに乗ってみてわかったのは、各地に日産ディーラーがある素晴らしさです。先日リーフの3か月点検なんかも無料で行ってもらい、2,3日後の予約をとって、あっという間に完了します。テレビキットをつけるのも、近くのディーラーに車を持って行ってその日のうちに帰ってきます。これはテスラにはありません。トラブルがあってもすぐに対応してもらえますね。

EVは1日乗っただけでは評価できません

電気自動車(EV)はガソリン車とは全く違った考え方で運用するものです。ただエンジンがモーターに置き換わっただけというわけではなく、全然別物で扱い方も違います。使うエネルギーが「電気」になるわけですから、より身近なものとなり、ライフスタイルにも大きく影響してきます。

つまり新しい変化に弱い人にはお勧めできません。変化を受け入れ、楽しめる人におすすめです。

ネット上にはEVレビューなども沢山ありますが、数日間だけその車を借りて運用しているようなものは走りの性能はレポートしていますが、運用に関しては簡易的な設備を使って不便としているものが多くとても残念です。きちんと自分で所有し、実際に運用している人のレビューを見るようにすることをお勧めします。また、日々の充電はEVにとってとても重要です。毎日充電を行う人もいるでしょうから、簡易的な200Vのコンセントでは、毎回壁側と自動車側に線を繋ぐので大変です。きちんとした充電スタンドを使いやすい位置に設置し、車側にだけ差し込んですぐに使えるようにしておくことが重要です。

簡易充電コンセント エレクトリックライフ
毎日の充電でこのような簡易200Vコンセントを使っていては大変です!

エンタメのテスラ、新しい役割のリーフ

テスラモデル3と日産リーフを5ヶ月乗ってみて、どちらがいいかと言われれば、私はテスラが好きなのでテスラですが、人に勧められるかと言えばそうでもありません。

普段の移動で使いたくなるのは「日産リーフ」です。荷室も広く、人を乗せる際にリアシートもテスラより開放感があります。テスラはスカイルーフで解放感を演出していますが、やはりリアシートは天井が近く狭く感じます。

日産リーフでも旅行に行きますが、30分の充電休憩は旅の1つの楽しみです。高速道路で充電待ちがある時は、違う充電スポットに移動しており、多少の不便さを感じますが、一般道では意外と直ぐにコンビニや日産が見つかります。今後利用者が増えてくると不便になるかもしれませんが、それでも旅行なんて月に1回行くかどうか。そもそもガソリン車に乗っている時でも高速道路ではなるべく給油しないようにするため、差はなしでしょう。

テスラはちょうど5ヶ月で7,950km走っています。遠出はそんなにしていないのですが、それだけ車を楽しむようになったという事でしょう。

日産リーフは家の充電設備さえ間違えなければ、ものすごい使いやすいEVです。操作も従来の自動車とほぼ同じで、どこにでもある日産でサポートが受けられ、パーツもきちんと用意されていて、メンテナンスや修理に係る費用も通常の自動車と大差はありません。

なによりリーフは戸建て住宅に対して蓄電池という新しい使命を持った車であると言えます。生活に必要なエネルギーの有効活用の手助けになります。ちなみに国内で最安の蓄電池はテスラ蓄電池「パワーウォール」で、13kWhの電池容量で99万円です(工事費入れて150万円くらい)。リーフは40kWh搭載していて、340万円程度。これに補助金が地方自治体と合わせれば100万円程度出ますので、これをどう考えるかです。

今後売れていく車は何か?

今年あたりから、いよいよ国内で発売されるEVも増えてくることから、今後どのようなEVが人気を集めるか気になるところです。日産の新型SUV電気自動車「アリア」も納車が開始され、リーフとモデル3の良いところを合わせたような車、韓国ヒョンデの「IONIQ5」は5月発売、7月から納車が開始されます。

Hyundai house ヒョンデ IONIQ5 エレクトリックライフ
ヒョンデ「IONIQ5」はWLTCで618kmの航続距離 72.6kWhのバッテリを採用。V2Hにも対応。

トヨタ・スバルが共同開発した「bz4X」「ソルテラ」なども発売を控えていますが、このまま優遇税制が継続されるならやはり日産リーフは国産車の中では売上NO.1になっていく事が予想されます。日産リーフ40kWhの航続距離があれば長距離の旅行も運用でカバーできてしまうため、あまり問題ではありません。戸建ての人ならV2Hは是非導入したい設備です。

集合住宅だったとしたら?

今回は戸建住宅での想定ですので、集合住宅にお住いの方については他の方の運用方法を参考にしてほしいのですが、私だったらおそらく日産リーフは購入しないと思います。テスラは好きなので無理して購入するかもしれませんが、想像しただけでも不便な感じがしています。目の前にスーパーチャージャーや急速充電器などがある物件に住んでいれば我慢できそうですが、好きな時に充電できないならハイブリッド(HV)を選ぶと思います。今後集合住宅にも、契約した駐車場全てに充電スタンドが付いて、マンション全体でオフピーク充電を自動的にコントロールするなどのスマートな設備が登場しないとなかなかEVの普及も難しいだろうと思います。

今後の電力問題、脱炭素をどう考えるか?

よく言われるのが、「電力が足りないといわれているのにEVなんて!」とか「EVは生産や廃棄の際にガソリン車よりCO2を大量に発生するので脱炭素に寄与しない」という2点ですが、この2つは多くの点で間違っています。発電所は需要に合わせて発電を行っていて、利用時間が重なっているところに問題があります。V2Hが可能なEVはオフピークに寄与できます。そしてCO2排出の問題については、大手自動車メーカーはEVの生産は工場自体を改良し、生産からリサイクル・回収、そして関連するサプライチェーンまでも含めて脱炭素にすると発表しています。一方で現在のガソリン車の生産に関しては残念ながら下請け工場のCO2排出量まではトレースできていません。作り方も変わるEVですから、すべてのサイクルを脱炭素にするという事です。

ちなみに、自動車の排気ガスでも問題になるのはCO2ではなく市中に撒かれる窒素化合物(NOx)や炭化水素(HC)、一酸化炭素など人体に影響を及ぼすものです。これらが市中から少しでもなくなり、生産現場にまとめられ、そこでカーボンニュートラルを実現するという取り組みが進んでいます。

二種類のEVに5か月間乗ってみて率直な感想

どちらの車も不便に感じることは、今のところ1つもありません。それは自宅と会社に充電スタンドがあるからだと思います。こうなるとガソリンスタンドに行っていた頃が懐かしいといった感じです。ほとんど使わないZESP3カード(充電カード)は毎月500円を支払っていますが、全然使わないので解約でよいかと思っています。

※あくまで個人の感想としての参考としてください。

ひき続き乗り続け、問題など発生したらこのブログでご報告させていただきます!

関連リンク

(※1)家庭での電気契約や太陽光の有無、電気の利用状況で電費は大幅に変わります。V2Hもそれにより変わります。

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