2022年何度も値上げを行った廉価版モデル
日本市場で現在販売されているテスラ車は、Model 3 とModel Y の2車種ですが、Model3については2022年に入り、6月18日までの間に6回の値上げを行い、6月10日に発売が始まったばかりのModel Yについても24万円ほどの値上げが行われました。
テスラ車の値上げは日本だけで起こっていることではなく、米国市場でもインフレによる大幅値上げが行われ、コロナ禍による不安定なサプライチェーンの状況や日本市場で言えば急激な円安などもあり、さらなる価格上昇なども懸念されています。
元々、フラグシップのModel SやModel Xの廉価版としてそれぞれ発売されたModel 3とModel Y はイーロンマスクとしてもより多くの人々にテスラ車を届けることで地球環境の改善につながるとしていたモデルで、これらモデルの価格上昇は普及させたいという思惑にブレーキがかかる要因となってしまっています。
テスラの現在の価格は恥ずかしいレベルにある
イーロンマスクはオートモーティブニュースを通じて、「私たちが何度も行ってきた値上げは率直に言って恥ずかしいレベルだ」と言っていて、現在のインフレが続いている状態は異常な状態であると指摘し、COVID-19によるサプライチェーンの混乱による生産に対する制約や在庫の問題だと、原因もはっきりとしていることを明かしています。
テスラとしては顧客へのデリバリーにかかる時間を短くするための努力はしているものの、沢山の需要がある中で生産が思うようにできていないという点を強調しています。
テスラ車の値下げを示唆
イーロンマスクは現段階で完全に約束をするわけではないとして、「インフレは年末にかけて低下していく、約束ができないですが、価格を下げていく事が出来るはず。」とインフレ後退後はテスラ車の値下げをしたいと思っているという事を明らかにしました。
しかしながら現段階では、在庫状況も芳しくなく値下げができないこと、既に発表済みのサイバートラックやさらに電気自動車の普及を加速させるためのコンパクトカーなど新しい車種についてリリースできない状況にあることも付け加えています。
稼働を開始した2つのギガファクトリーが裏付けに
テスラは既に2022年に入り、3月にはベルリンを、4月にはテキサス(下写真)にて車両の生産を開始し、世界的な需要に対する生産ラインは確保できているとしています。部品確保などサプライチェーンの安定化により、すべての工場が計画通りに動き出すことで、元々普及モデルとして市場にリリースしたModel3やModel Yの値下げと新型モデル投入による新しい価値創出や更なるユーザー層へのアプローチを進めることで、テスラ車の普及が加速することになります。
テスラは未だに電気自動車の中では最も人気の高いモデルとして世界中から支持を集めていますが、それはその先進性などモビリティとして新しいユーザーエクスペリエンスを提供していることにあります。このテスラ最大の特徴をのこしつつ、フラグシップモデルから細かい機能をそぎ落とした形でリリースされたModel3とModelYですが、日本市場で言えば、それら普及モデルも高級車セグメントに入っていることから、中国BYDなどから日本向けに発売される低価格で高性能なEVの発売も予定されている中で、テスラにも本当の普及モデルとしてのコンパクトカーの登場が求められています。
関連リンク