土曜日 , 4月 27 2024

CEV補助金リーフ・TESLAモデル3LRらが増額

CEV補助金額は企業の体制により明暗分かれる

令和6年4月以降に納車される車両について車両新規導入に関する補助金の内容が発表され、国内外のEVメーカーが日本市場でEVをどのように販売し、どのようにアフターケアをしているかなどの企業の取組が評価された形での補助金額となっている事がわかりました。

Tesla SupperCharger ELECTRICLIFE エレクトリックライフ スーパーチャージャー

車両性能とEVに対する企業の取組が評価される

従来通り車両性能に関しては、電費性能と1充電あたりの走行距離で評価されていますが、更にサイバーセキュリティへの対応という評価が追加されました。EVの多くはインターネットに接続され、快適な運用やメンテナンスが行えるようになっている反面、これらが悪意あるものからの侵入を許すと、走行中の安全に関わることからこの項目が追加されました。

BYD ATTO3 インフォテイメントシステム ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

企業の評価については、公共用の急速充電器など充電インフラ整備に力を入れているかや、なりてが減少している自動車整備士の人材育成を行っているか、EVのバッテリーリサイクルや脱炭素への取り組みなど持続可能な生産への取組などが評価されます。そしてアフターメンテナンスや企業や自治体と連携したEVを通じた他分野への貢献なども評価の対象になります。

NISSAN SAKURA サクラ ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

日産リーフは全車種85万円へ

今まで日産リーフについては、大きく分けて40kWhと60kWhの2種類のバッテリ容量の車両があり、その中でもいくつかのグレードに分かれていて異なる電費性能になっていました。そのため、バッテリ容量が低いモデルでかつ電費性能が悪いものは補助金が少なくなっていました。以前は52万円~85万円と幅があった補助金でしたが、企業の取り組みなどが評価され全グレードで85万円が支給されることになりました。

2023 Nissan LEAF エレクトリックライフ electriclife.jp
グローバルで60万台以上を販売している日産リーフ

60kWhの大容量のモデルについては従来通りの85万円の補助となりますが、価格帯的に人気の40kWhモデルも85万円の補助となるため、これは日産にとって大きな追い風となることでしょう。

サクラやekクロスEVなどの軽自動車については55万円の補助金が据え置きになっています。今年は多くのメーカーから軽EVがリリースされるため、他のメーカーの車両もこの金額になるのでしょう。

テスラ、モデル3はロングレンジが増額

現在日本国内で自社の充電網「スーパーチャージャー」を急拡大させているテスラですが、やはり整備拠点の少なさなどが影響し、ほとんどのモデルは65万円で従来通りとなっていますがModel3については、1充電当たりの走行距離が他社のものと比べて群を抜いている点と電費性能が評価され85万円と以前よりも20万円増額となりました。

Tesla Model3 テスラモデル3 ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

一方で、Model SやModel Xなどのフラグシップモデルについては65万円から52万円へと13万円の減額となりました。

高級車は嗜好品と取られたか?

BMWやメルセデスベンツについても、グレードが低いクラスの車両については65万円が維持されたものの殆どのEVが52万円へと減額されています。ポルシェのタイカンについては20万円と大幅な減額になっています。

ポルシェ タイカン Porche Taycan ポルシェセンター狭山 ELECTRICLIFE.JP

BMWやメルセデスベンツなどはグローバルではEVの充電インフラや独自の整備拠点が整備されていても、日本国内では今のところ整備されているとは言えない状況です。

アジア勢も大幅減額

V2Hなど外部給電に対応しているヒョンデのIONIQ5やBYDのATTO3なども大幅に減額されることになりました。海外の車両は以前の記事などでもふれたように、そもそも型式指定制度の中で、国産車同様の登録を受けずに簡易的な登録である「輸入自動車特別取扱制度」で適合確認審査を受けているというのもあります。

Hyundai ヒョンデ エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

今回の変更で更に、独自の充電網や整備拠点を持っていない点や、日本の充電網で採用されている「CHAdeMo規格」への投資を行っていない点、などが大きなマイナス要因になっています。

ヒョンデは35万円~45万円の補助金となり、前回最大で85万円となっていたATTO3を含むBYDの全車種が35万円と大幅減額となりました。BYDはセールス拠点を急ピッチで進めていますが、独自の整備拠点や充電網などが現段階では不十分であるため、このような評価となっているようです。

大幅に改善された補助金だが課題も残る

CEV補助金の原資は国家予算であり、国の予算から出るものであるから国産車が有利になるのは当然で、海外メーカーもこれと同等の恩恵を受けるためには、日本のメーカーと同等に日本の利益に貢献するような取り組みが必要であるのは言うまでもありません。

EV充電スタンド 充電スポット 充電インフラ ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

一方で、海外メーカーから見て日本が魅力的な市場であるかと言われるとそうではないというのが本当のところ。それに加えて充電インフラもテスラが広げているスーパーチャージャーの充電網に比べると仕組みも性能も見劣りしてしまいます。

また、国産メーカーを優先するといっても2024年3月現在でまともに電気自動車(EV)を販売しているのは日産1社だけと言っても過言ではありません。

今後は国だけでなく、地方自治体からのEV補助金なども併せて更に買いやすくなるかもしれませんが、EVのアーリーアダプタのフェーズは終わり、一般へとシフトしていく中で、消費が上がらずカーシェアなどの普及もあるため、更に上乗せされる異次元の補助金でもない限りは日本でのEV普及は難しいかもしれません。

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