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V2Hに対応しているEVなのに補助金が安いのはなぜ?

補助金対応車両の要件を確認

現在、経済産業省から次世代自動車振興センターを通じて、クリーンエネルギー自動車(CEV : Clean Energy Vechicle)に対して新車を導入する際に要する経費の一部を助成する補助事業が実施されています。

この補助金は1台の車両に対して、その仕様により最大で燃料電池車(FCV)には232万円、電気自動車(EV)には85万円ものサポートを受けられるため、CEVの普及の後押しになっています。

TOYOTA MIRAI ELECTRICLIFE トヨタミライ エレクトリックライフ
TOYOTA MIRAIはFCVとして最大232万円の補助金が利用できます。

補助金の要件

補助金の対象となる要件を補助金交付規定からまとめてみると以下のようになります。

  1. CEVである事(電気自動車・プラグインハイブリッド・クリーンディーゼル自動車・燃料電池車)
  2. 給電機能かつトップランナー制度の対象

※より詳しくは「CEV補助金交付規定」をご覧ください。

上記1を満たし、かつ2の条件が加わるとその補助額が加算されるというものになっています。この加算される部分をしっかり理解していきましょう。

日本ならではの仕様が重要

CEVの普及は、2050年のカーボンニュートラルを実現するために必要であるだけでなく、災害が多く、電力エネルギーの殆どを輸入に頼っている我が国日本の電力事情を安定化させるためにも重要です。

自宅で電力エネルギーを調達できる電気自動車(EV)は、その逆の「自宅へ電力を戻す」機能であるV2H(Vechicle to Home)という外部への給電機能を持ったものがあります。災害時には、被災地へ電力を運ぶ役割を果たしたり、電力がひっ迫した際には、EVから自宅へ電力を戻すことでピーク電力を抑えるなどの役割を果たします。

こういった自動車に対しては補助額が大きく設定されていて、EVの場合は最大で85万円の補助が出ます。

日産リーフV2H

V2Hを搭載しているのに輸入車はなぜ補助が少ない?

国産車については、そのほとんどがV2Hに対応しているため、比較的高額な補助金の設定になっていますが、テスラなどV2Hを搭載していない車両については補助額が低めに設定されています。

ところが、輸入車でも韓国HYUNDAIのIONIQ5やBYDのDOPHINなどはV2Hに対応しています。それなのに、2023年9月23日に発売されたBYDのドルフィンについてはCEV補助金が65万円しか適用されません。これはどうしてでしょうか?

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

トップランナー制度とは何か?

V2Hなどの外部への給電機能を持ったEVではあるものの、このトップランナー制度を満たしていないといけません。このトップランナー制度とは、省エネ法第78条において以下の3つの全てを満たすものとされていて、自動車だけでなくエネルギー消費効率が優れている31分野のものが対象になっています。

  1. 我が国において大量に消費される機械器具である
  2. 使用時に相当量のエネルギーを消費する機械器具である
  3. その機械器具のエネルギー効率向上を図ることが必要かつ改善余地がある

乗用車分野において、EVやPHV(プラグインハイブリット)のエネルギー効率が2030年度以降の目標値として定められた基準値を下回らないようにすることが求められています。

ここまで見ると、HYUNDAIやBYDの車両は日本の車両よりも性能が優れたものがあるため、これも満たしています。それなのになぜ補助金が少ないのか?

輸入車の型式指定制度への対応が問題

日本には、自動車を登録する際に「型式指定制度」というものがあり、メーカーが生産や販売を行う場合あらかじめ国土交通大臣に申請し、保安基準や適合性についての審査を受けて自動車に対して型式の指定を受けることになっています。国産車量は全てこの手続きで行われていますが、輸入車に対しては「輸入自動車特別取扱制度(PHP)」というものがあり、1型式当たり年間5000台以下の取り扱いの場合、簡易な書類提出で日本の基準への適合確認審査を行い、簡略化された形で登録が可能になります。

ところが、この形で型式指定を受けた場合、その性能の詳細は確認されないため、トップランナー制度に該当しなくなります。正式に型式指定を受けた場合には車両の審査や品質管理体制の審査が行われるも、PHP制度の場合これら審査なしで行われるためトップランナー制度の土俵にすら上がっていない状態になります。

BYD ATTO3は型式指定に対応

BYDが2023年1月から販売を開始したATTO3についても、2023年7月までは、この簡易的な申請での型式指定だったため、省エネトップランナー制度の対象車両としてみとめられていませんでした。発売から半年が経過し、その間に売れ行きの手ごたえを感じたBYDは国産車両と同様の型式指定の審査を受け、7月以降の登録車両については、トップランナー制度をクリアしているため、CEV補助金が85万円に増額されています。

BYD ATTO3 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

今後、他のV2H対応車両についても、売れ行き次第ではこの正規の型式指定を受けて補助金額を上げてくることでしょう。

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