土曜日 , 4月 27 2024

ゼロカーボンシティ表明後の行政と連携を進める日産

鹿児島県日置市と日産自動車が連携協定を締結

全国各地の地方自治体がゼロカーボンシティーを表明し、電気自動車を活用した分野においては、行政との連携をすすめている日産自動車が新たに脱炭素や災害対策の強化などの推進において鹿児島県日置市と連携協定を締結しました。

ゼロカーボンシティーを表明する自治体は2009年ごろから現れ、2020年10月26日に当時菅政権の際に日本政府として2050年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言したことから、それに追随する形で地方自治体が続々と2050年までにゼロカーボンシティーを実現することを表明しています。

日置市は2021年6月にゼロカーボンシティーを表明し、更に2023年4月には第3回脱炭素先行地域16件に選定されています。令和6年3月現在で、先行地域は全国36道府県95市町村の74提案が選定されています。

日産自動車 鹿児島県日置市 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

具体的な連携内容

今回の連携における重要なポイントは、まずEVの普及促進を図り、「走る蓄電池」としての活用を通じて市民の環境・防災意識向上を目指していくとしています。また温室効果ガス削減対策としてEV導入や市内におけるEV普及に向けた施策を行うようです。

日産自動車 鹿児島県日置市 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

脱炭素と合わせて災害時の停電に対応するため、EVを電力源として災害時の避難所などに日産販売店の店舗に配備しているEVを無償貸与することも連携協定の内容に盛り込まれています。

市民に普及していくかがポイント

日産は今回の日置市との連携のように、多くの地方自治体と脱炭素社会の実現に向けた連携協定を締結しており、国内でも唯一まともな充放電機能を搭載した電気自動車を販売しているメーカーとして、他社をよそ目にEVの普及に力を入れています。

補助金額が唯一の普及促進?

国は、昨年よりも大幅な予算枠を用意し、EV普及に向けた令和6年の政策をスタートさせています。しかしコロナ過で起こった半導体や原材料不足などによる価格の高騰により、車両本体価格も値上がりし、国の補助金の効力が希薄化しています。補助金を活用することで、従来の一般的な乗用車と同程度の価格帯で購入できれば良いのですが、そうもいかなくなっている中、都道府県や市町村から更に追加で補助金を用意するケースが増えてきています。

2023 Nissan LEAF エレクトリックライフ electriclife.jp

啓発ポスターやセミナーの開催などで普及を促してもなかなか進まないEV化は、もはや単純に価格的なメリットを出すしかなくなってきています。

環境の話になると必ずどのアンケートにも「金銭的なメリットがあれば取り組む」という回答が最も多くなる傾向にあるため、無駄なアクションは起こさずに、行政は一般市民に対しては黙って手厚い購入資金の補助を行い、企業へは生産効率向上への投資に対する補助を行って、その見返りとしてEV価格の引き下げを約束させるなどが必要となってきています。

V2H普及も脱炭素化・災害時の強靭化へのカギ

災害時に利用できるようにするためには、V2H充放電設備を一般住宅へ設置することを広めていく必要もあります。これには正しいEV活用方法が必要になるため、日産ディーラーで購入の際に販売員による訴求が必要です。連携協定を締結した市町村では、顧客がEVを購入した際にはまずV2Hの設置を進めるようにします。

しかし、このV2H充放電設備は工事費込みで120万~150万円程度し、半額以上補助金で戻ってくるとはいえ、それでも50~70万円程度持ち出しがあります。車両価格のほかにこの金額が必要というのは非常にハードルが高くなるため、10万円以下で設置可能な普通充電設備を進める販売員が多くなってしまうのも頷けます。

V2H充放電設備 V2H エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

しかし、車両とセットでの購入の場合に限定するなどしたとしても、災害時利用という面でこのV2H充放電設備が地域各地に存在するというのは非常に効果的です。災害時には電力を一般家庭からもシェアしてもらい、電力が通っていないエリアへ日産のEVで運ぶという事が可能になります。行政は、一般市民や中小企業に対しては、災害時の協力要請に応える事を条件に、普通充電器並みの設置費用で導入できるように、エリアを区切って導入資金補助などを考えてほしいと思います。

他社がEVシフトを躊躇している中、じわじわと行政との連携協定でEV時代のシェア獲得に向け動きを見せる日産の戦略は今後どのように効果を発揮するか気になるところです。

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