日産アプリ「日産コネクト EV」で配布開始
日産は2022年10月11日から、日産の電動化アクション「ブルー・スイッチ」の活動の一環としてEV優遇策を実施している地域で、EV利用者証明をより簡単に行えるよう「ブルー・スイッチ・カード」の配布をコネクテッドサービス「NISSAN CONNECT EV」アプリ上で開始しました。(※NISSAN CONNECTとは別のEV専用のアプリですので注意が必要。)
すでに日産のEVにのってNISSAN CONNECT EVサービスを利用していて、アプリが最新版にアップデートされていれば、自動的に配信されていて、ブルースイッチカードを表示するには、アプリ起動後に左上のメニューボタンをタップして、メニューを開き、メニュー下方にある「ブルー・スイッチカード」をタップすることで表示されます。
このカードが日産の電気自動車利用証明書となり、各地域で展開されているEV利用者優遇サービスを受ける際に提示するものとなるようです。
例えば佐世保市などでは、対象となる観光施設やホテルなどでの特別割引やプレゼントの提供などを行うようで、その際に従来であれば車検証などを提示しなければならなかったところをこのアプリの画面を見せるだけで認証されるというものです。
NISSAN CONNECT EVは必需品
NISSAN CONNECT EVは日産の電気自動車を運用するためには欠かせないサービスです。このサービスに入っていることで、遠隔地にいても自分のEVの情報をすべて把握することができ、現在の充電状況、充電スタート指示、リモートからの施錠、エアコン操作などができるほか、充電スポットの空き状況をリアルタイムで知ったり、アプリ上でルート検索したものを車両に転送することも可能です。
このサービスに入らないと正直EVを便利に使う事は不可能であると言っても過言ではありません。現在はオプションサービスになっていますが、海外の自動車メーカーのように標準のサービスとして展開してほしいものです。
日産自動車が提唱する「ブルー・スイッチ」という活動
日産はこれまで日本メーカーでは最も多くのEVを販売してきた会社です。量産型の乗用車EVである日産リーフをグローバルで10年以上販売し、日本国内でEVのリーディングカンパニーであることには間違いありません。
現在、地球上では産業の発展と共に多くの社会問題や地域での課題を抱えています。中でも気候変動による地球環境への影響は人類共通の大きな問題となっています。まずはCO2排出を抑えたEVをリリースし、今後はそれらを上手に活用していく事で、ゼロエミッション社会を実現していくために、日産が2018年から日本電動化アクションを「ブルー・スイッチ」と命名して活動をスタートさせました。
主には、全国の自治体や企業・団体との災害時における連携協定を結び、災害時には日産に配備されているEVを貸与し、停電が発生したエリアに電力を運んだり、現地で電源として利用できるようにするという活動になっています。またCO2を出さないゼロ・エミッションカーとして、地域での移動手段、カーシェアなどにも利用されています。行政側は、公用車として日産のEVを導入したり、EV購入に補助金を用意したりしています。
自治体や企業との連携協定やまちづくり、観光連携などの例は2022年5月末の段階で179件となっていて、その後も事例は増加しています。
日産独自のサービスが無いのが残念
このブルースイッチは、日産が独自に推進しているEV普及活動といえます。そのため、先の佐世保の例は、なにもブルー・スイッチカードでなくても良いわけで、他の電気自動車も優遇は受けられます。自治体が行うサービスなどは公平性が担保されていなければならないため、一企業に肩入れするようなものは中々やりにくいものです。
一方で日産はブルー・スイッチカードを配布しても自社では優遇サービスなどが用意されていません。ユーザーに近い日産と言えば、自分が車両を購入した日産ディーラーであるため、そこでEVユーザーが受けられる優遇サービスを率先して日産が行うべきです。
すでに有料の充電スタンドが配備されている日産ディーラーでは、EVの充電に訪れた人に店内で休むように声をかけ、ドリンクのサービスを行うディーラーが多くあります。これらはすべてのEVユーザーに行われることが浸透してきているため、今更このサービスをカードで差別化すれば、その店舗の評判は落ちてしまいます。日産EV利用者はカード提示で充電無料としても、それが「ブルー・スイッチ」の理念に沿うものかと言えばそれも少し違う気がします(日産EVユーザーとしてはありがたく感じるでしょう)。
2022年の春に海老名SAでハンバーガーに使われている食材が絶滅危惧食材であるといいつ、ハンバーガーを配布し充電スタンドの前に行列を作らせた酷いイベントのようなものだけは二度と行ってほしくないものです。
ブルースイッチカードは今後、日産自体が日産EVユーザーに対してどのようなサービスを展開するのか注目です。
日産本体と販売店がEVユーザーが何を求めているかを正しく情報共有して、ブルー・スイッチの理想に沿ったインテリジェンスのあるサービスを展開してほしいものです。