トランプ大統領、テスラ車を絶賛し購入意向を示す
米国トランプ大統領がその側近ともされるテスラ車のイーロンマスク氏と共に記者たちの前で会見を開きました。内容は現在欧米で広まっているテスラ社に対する非難や購入を控えさせる「ボイコット活動」に対するもので、テスラを過去30年で唯一成功した自動車会社であると評価し、繰り返し「非常に成功している」と言葉にしました。
そのうえで、新型のテスラモデルY(Juniper)を展示し、自身もテスラ車を購入するし、自分は運転が好きであるが、何年も運転していないため運転が許可されていないため、他の人が使えるようにするとし、過去には同社のピックアップトラック「サイバートラック」をプレゼントした事がある事も明かしました。
トランプ氏はこの会見で、テスラ製品は多くの支持を集めたものであるのにも関わらず、マスク氏がアメリカのために尽力しているがゆえに、一般消費者から経済的に罰せられるような事態になるのは不公平であるとし、テスラは$35000で購入できることから、必ずしも高価な車両ではないということをアピールしました。
また、現在起こっている行き過ぎたテスラボイコットにより、テスラオーナーやテスラファン、テスラの店舗に対する嫌がらせや暴力行為などについては非難し、米国の法的機関が事態を注視しているとも述べ、これ以上の悪化がおこらないように呼び掛けています。
記者からは「トランプ大統領がテスラを購入するというのはどういったメッセージなのか?退職金が減らされ職を失って行き先不透明な人が多くいる」という質問に対し、「今後かれらはうまくいく」とし、「私たちは国としてこれをやるしかなかった」とし、今後は経済の改善により、閉鎖している99万の工場を稼働させることで新たな雇用が沢山生まれるとしています。
マスク氏の行動は米国のための行動であることを強調
トランプ大統領は会見の中で、再三訴えているのは、マスク氏は米国政府の中で発生してた5000億ドルにも上る政府の不正や浪費を発見し、それらは国の経済を改善させより国力を強くするとしています。マスク氏の指摘した不正や浪費が酷い社会保障制度の見直しによって、政府内の非効率的な人員を削減し、生産性の高い民間への移行を促すこととで経済や雇用が改善するため、その貢献は大きいとしています。
このマスク氏の効果を皮切りに、その裏付けとして、米国が取り組んでいかなければならない事や自分の制作についても語り、まずは過去の政権がアメリカのビジネスや雇用を奪ってきたことを批判し、それらを取り戻すことで米国を強くするとしました。NAFTA(北アメリカの自由貿易協定)以降、多くの工場が閉鎖に追い込まれ雇用を失ったと言います。その中でもテスラの工場は米国内で高い部品調達率を誇り、テキサスに世界最大級の先進的な工場を開設し、そこで生産された車両が数々の賞を受賞している事も称賛しました。
今後2年以内に米国内で車両生産倍増
マスク氏はテスラの将来にも触れ、今後2年以内にアメリカ国内での車両生産を2倍にし、またテキサスの工場ではステアリングもアクセルペダルもないサイバーキャブの生産も始め、自分たちが自身を持っている自動運転技術を広めていくとしました。
トランプ大統領支持層には一定の効果
トランプ氏支持者の多くはガソリン車を指示するものが多く、そういった関連企業で働く人も多いため、電気自動車に懐疑的で、トランプ氏の側近がCEOを務めるテスラを否定する人も多くいたというねじれた現象にもなっています。今回の会見の中で、前政権が行っていた電気自動車に対するサポートを中止した事に対してマスク氏が反対する事は無かったとし、ガソリン車も重要で、選択肢を増やすという事が重要だとし、マスク氏もそれに同意するようにいなずいています。
これはトランプ支持層の中でテスラに懐疑的なイメージを持っていた人たちに対する一定の効果はあるかもしれませんが、一般的にみると1国の大統領が一番の側近を守っているという構図にしか見えないという現実があります。
この会見を受けて、テスラだけでなく、マスク氏の評価がどうなるか。
関連リンク