月曜日 , 8月 8 2022

ついに来た、日本市場に中国EV本格参入

BYDの日本乗用車市場参入記者発表会

冒頭、BYD JAPAN(ビーワイディー・ジャパン)株式会社の劉代表が登場し、中国本土にいる王会長からのビデオメッセージで会見は始まりました。王会長からは、1999年二次電池事業を日本で展開したことが日本との関係の始まりと語り、この日を迎えるために長く準備を進めてきたという言葉を皮切りに、太陽電池製品などによりクリーンエネルギー分野で貢献してきたことや、2015年から京都にBYDのEVバスが投入され、東京、京都、大阪、長崎、沖縄、福島などの都市で運行されていることなどが語られました。

BYD 小型電気バスJ6 ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ
2022年2月にもBYDの小型電気バスを近鉄バスに納入した。

劉代表によれば、BYDは電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド(PHV)などの新エネルギー自動車の販売台数が2021年には60万台を超えていて、2022年では、1月~6月までの半年ですでに64万台を突破しているといいます。

BYDの事業はITエレクトロニクス、新エネルギー事業、自動車事業、都市モビリティ事業など多岐にわたります。ITエレクトロニクス分野では二次電池なども含まれていて、携帯電話や家電品など小さい製品から家庭用の蓄電池など様々なエリアでのバッテリー技術をベースに電気自動車の開発に着手してきています。

そして、2022年7月21日、日本の乗用車市場への参入を発表しました。BYDでは2022年3月で内燃機関車の開発を終了し、新エネルギー車として地球環境にやさしい自動車のみの生産にシフトしました。

BYD JAPAN 日本市場参入 ELECTRICLIFE.JP

EVを買うか買わないかではなく、いつ買うかの時代

なぜ、今日本にBYDがやってきたかというと、この冒頭の王会長の言葉にもあったように、日本との関係が20年以上になり、この間日本のマーケットをしっかりと調査してきています。

その中でEVに値して日本の消費者からは、「EVは値段が高い」、「充電できる場所が少ない」、「EVは走行距離が短い」、「好きな車種が無い」などの声があがっていたことから、今回の発表では3種類のEVをラインナップし、そのニーズにこたえようとしています。

販売専門のBYD Auto Japanの代表に東福寺氏

日本での販売やカーライフのサポートを円滑に行うために、日本でBYDの車両販売を専門とする会社としてBYD Auto Japanを設立することも発表され、同時にその代表に、三菱自動車出身で、元フォルクスワーゲンジャパン販売代表取締役の東福寺氏が就任したことも発表されました。

その販売戦略として、新興メーカーなどがしかけるWEBでの販売ではなく、すべての都道府県に100を超える販売店を設置し、アフターケアなどにも注力することを発表しています。これは日本人気質をよく研究した上で選択した販売戦略で、顧客獲得への本気度がうかがえます。

第1弾はATTO3を2023年1月から発売開始

まず日本で最初にリリースするのはミドルサイズe-SUVである「ATTO3」で、2023年1月から販売を開始するという事です。中国市場では既に販売を開始しているモデルで、独自開発のブレードバッテリーを搭載したEV専用のプラットフォーム「e-Platform3.0」を採用しています。ATTO3の航続距離はWLTC値でおよそ485kmとなっていて、搭載バッテリ容量は58.56kWhとなっています。

BYD e-SUV ATTO3 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

第二弾として予定されているのが、2021年8月に中国市場で発売開始された「DOLPHIN」でコンパクトカーとして、ATTO3よりも若干小さいサイズとなったモデルを2023年の中旬ごろからリリースするとしています。こちらは2種類のバッテリ容量を用意していて、44.9kWhと58.56kWh、航続距離はWLTCモードでそれぞれ386kmと471kmとなっています。

BYD e-Compact DOLPHIN ATTO3 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

DOLPHINについては、日産のリーフと同じサイズ感で、リーフに比べ全長が20㎝ほど短いだけで後のサイズは殆ど同サイズです。バッテリ容量と航続距離の比較では、日産リーフは40kWh/60kWhのバッテリ容量でWLTCモードでの航続距離がそれぞれ322km/450kmであることから、競合車種になると予想されます。

また、2023年下旬ごろには、2022年5月に中国市場では発表されたばかりの「SEAL」というBYDの最新技術を結集したハイエンドe-Sedanをリリースするとしています。こちらは、電池容量82.56kWhを搭載し、WLTCで555㎞という航続距離を達成していて、現状国産車でセダンタイプのEVが発売されていないため、国内で販売されている人気車種としてTesla Model3や先日トヨタが発表したクラウンの中にEVが組み込まれてくれば、それらが競合となりそうですが、中国市場での様子からすれば、価格面では圧倒してくると予想されます。

e-Sedan「SEAL」BYD エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

会見の最後、劉社長の気になる発言

どの車種も価格については触れられていませんでしたが、BYD Auto JAPAN代表の東福寺氏によれば、11月ごろには発表できるのではないかという事です。

会見の最後には記者陣からの質問に対して、劉社長のスタンスは、国産車や海外勢、新興の自動車メーカーは競合というよりは、まだ確立されていない電気自動車というマーケットを一緒に作っていくパートナーであるという考え方を示し、まだ電気自動車の普及率の低い日本市場を他メーカーと共に隆盛させていきたいというメッセージを投げかけました。

BYDは2020年にTOYOTAと電気自動車の研究開発のための合弁会社「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー」を立ち上げていて、中国の深圳にてその開発を進めています。

会見の最後で記者から「今後トヨタとはどのような協業をおこなっていくのか」という質問に対して、現在トヨタとはEV関連で共同のプロジェクトを進めていて、今後両社からそれぞれオフィシャルに発表するときが来るという含みを残して会見が終了しました。

トヨタEVの秘策はここにあるのか?

トヨタはバッテリーEVもフルラインナップと2021年12月のBEVの発表で語るも、その後市場に投入された唯一のEV「bZ4X」は販売は行わずにリース契約のみとしていることや、その後に判明したEVとしてのスペックの低さに落胆する声も多くきかれています。

そんな中、先日発表された4種類のクラウン。

TOYOTA CROWN トヨタクラウン エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP
2022年7月19日に4種類の新型クラウンが発表された

写真一番左の2022年秋に発売されるというクロスオーバー・クラウン以外の3車種については多くが語られなかったわけですが、気になるのが2番目の赤い「スポーツ」タイプです。

下の写真はトヨタが2021年12月にBEVをフルラインナップで用意すると言っていた際に「クロスオーバーEV」として展示されたモデルです。姿形、色まで全く一緒で、これがクラウンになるという事なのでしょう。

トヨタは「選択肢を増やす」と再三言ってきています。どのエネルギーの車両についても本気で取り組むという事から、「クラウン」という車両の中にもエネルギーの選択肢を増やすという事になれば、ハイブリット、バッテリEV、そしてあとの2種類についても他のエネルギーの選択肢があるのではないかという期待も持たされます。

TOYOTA BEV フルラインナップ エレクトリックライフ

さらに言えば、BYDとの共同開発によるEVがこのフルラインナップの中に隠されているのかもしれません。

トヨタがBEVに対して思った以上に言及しない中、共同で開発を進めているというBYDの劉社長はもはや電気自動車の流れは逆戻りできないと言っています。

TOYOTAのEVのスタートはBYDに任せるという事なのか、今回の発表の裏にはTOYOTAとの共同プロジェクトへの布石があるのかなど様々な憶測を呼びます。今後の両者のEV展開に益々注目が集まります。

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