土曜日 , 4月 27 2024

ホンダの次世代EVへの挑戦「Honda 0(ゼロ)」

CES 2024で公開されたホンダの次世代EVコンセプト

2024年当初、米国ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES2024」 において、ホンダはEVのグローバル戦略として「Honda 0(ホンダ・ゼロ)シリーズ」を発表しました。CES2024でベールを脱いだHonda 0シリーズのコンセプトモデルは、フラグシップモデルとなる「SALOON(サルーン:写真左)」と空間・人・社会をつなぐハブのような役割を果たすモビリティ「SPACE-HUB(スペースハブ:写真右)」の2車種です。

Honda 0 ホンダ・ゼロ EV エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

コンセプトモデルを現実へ

Honda 0シリーズでは、従来のステアリングのようにハンドルに軸がついて機械的に操舵するのではなく、ハンドルを回した量を電子制御する「ステア・バイ・ワイヤ」など先進的なシステムを導入し、よりスムーズで安全な自動運転へと発展させていくようです。

SALOON(サルーン)

フラグシップモデルであるSALOONは、北米市場を皮切りに2026年から市場へ投入されます。全高が低く設計されたデザインですが、室内は十分に広く、ドライバーが思いのままコントロールできる「操る喜び」を残しつつ、先進な自動運転も搭載するモデルとなりそうです。

Honda 0 ホンダ・ゼロ EV エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

SPACE-HUB(スペース・ハブ)

広々とした空間がそのまま移動し、自分たちの世界から社会へとつながっていくという正にモビリティで空間をつなげる「ハブ」のような役割をするイメージを受けるコンセプトモビリティです。

なぜ「0(ゼロ)」シリーズなのか?

Hondaが積み上げてきた歴史は、新しい発想のチャレンジングスピリットにあります。そして人の空間は最大に、メカの空間は最小にというマン・マキシマム(Man-Maxmum)、メカ・ミニマム(Mecha-Minimum)の「M・M思想」に則った原点(ゼロ)に立ち返り、今までとは違う新しい道へとスタートする意気込みが込められていると感じます。

次世代のEV時代に、今まで積み上げてきたものを一度捨て、ゼロからの発想で新しい価値を創造していくという意味と、サステナブルで環境負荷をもゼロにしていく取り組みや、安全性を高めて交通事故死者ゼロを達成するという様々な「ゼロ」の意味がふくまれています。

Honda 0 ホンダ・ゼロ EV エレクトリックライフ ELECTRICLIFE

Hondaが作りたいEVとは?

既に市場にあるEVの固定概念を取り除き、「Thin(薄い)、Light(軽い)、Wise(賢さ)」を持ち合わせたEVを目指し、新しい価値を創造していくのがHonda「0」シリーズです。

SALOONのデザインに見るフロア高を抑えたEV専用プラットフォームを開発し、低い全高から高い空力性能により電費の向上させ、低いの居住性の高いインテリアという新しい価値が生まれていくでしょう。

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そしてLight(軽い)は、大容量バッテリーを搭載すれば重くなるというEVの固定概念から、少ないバッテリー搭載量でも航続距離を伸ばす技術や新しいバッテリーの開発により高い電費性能という価値を。WISE(賢さ)にはHonda独自に作り上げるソフトウェアにより、知性を持った車のようにふるまうという新しい価値への期待が高まります。

Hondaゼロ5つのポイント

Honda0には上記3つの開発アプローチがあり、それらが顧客に対して5つのコアバリューを提供していくようです。

  1. 共鳴を呼ぶ芸術的なデザイン
    「The Art of Resonance」をデザインコンセプトとして、環境と社会、人が共鳴し暮らしの可能性を広げるモビリティが提供されていきます。
  2. 安全・安心のAD/ADAS
    Hondaは一歩進んだ自動運転レベル3「ホンダセンシングエリート」を既に市場に投入しています。人間中心に設計されている安全思想により、様々なテクノロジーとの融合で自動運転の実現を目指すとしています。
  3. IoTコネクテッドによる新たな空間価値
    AIやビックデータの活用により、Honda独自のソフトウェアがインターネットからいつでも好みのコンテンツを提供します。それはモビリティを降りて他のアクティビティをもサポートします。
  4. 人車一体の操る喜び
    ホンダのモータスポーツの歴史から積み上げられた空力性能の研究は、次世代のEVのデザインに生かされ、それはユーザーが思いのまま操れるモビリティを提供します。
  5. 高い電費性能
    Hondaが長年培ってきたハイブリッド車などの電動化技術からエネルギー効率を高めた電費性能を提供します。充電時間やバッテリー劣化への対応、ホンダが取り組んできたバッテリー技術により、Honda「0」シリーズの電費性能を最大限に引き上げることでしょう。

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思いが込められた新しいロゴ

Hondaと言えば「H」のロゴですが、これも次世代EVシリーズには新しいマークが必要です。現在のHマークは1981年に改訂されて以来変わることなく使われてきました。少しコンパクトになったHの形状は両手を広げ、広がっていく可能性を表現しているようです。

環境整備の重要性

CES2024に登壇した本田技研工業株式会社の青山副社長は、コンセプトモデルだけでなく、その環境整備の重要性についても語っていました。すでに北米でのインフラ整備は進んでいて、2030年までに3万口の充電インフラを目標にしています。

2040年までにグローバルで100%EV化を達成するとしているホンダとしては、無理に大量のバッテリを搭載して航続距離を伸ばすのではなく、どこでも充電でき、かつそれが短時間で済むという充電時間の短縮など、モビリティだけでなく社会環境とすべてを合わせた顧客満足度を高めていくようです。

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このHonda「0」の取組は、2年後にその結果が表れてくるわけですが、今年からリリース予定の軽EV、すでに発表している「e」シリーズ、そしてソニーと協業している「AFEELA(アフィーラ)」などほかのEVシリーズとグローバルでどのように1つのHondaとして収束していくのか、その全貌はまだ見えていません。

Honda e:Nシリーズ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

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