ホンダ初の商用EVがいよいよ10月10日から発売!
ホンダ初の軽商用電気自動車(EV)N-VAN e:(エヌバン・イー)の発売日が10月10日になると発表されました。今まで詳細スペックなどもわからなかった商用EVの全貌が明らかになりました。
EV購入に対する令和6年度のCEV補助金は、今までで最高額となる予算規模になっていて、今年は特に各社から軽商用EVが発表されていることから、法人でのEV導入が進む年にもなりそうです。その中でもホンダの人気軽自動車「N」シリーズのEV化は気になるところでした。
予想よりハイスペックで登場!
今回のN-VAN e:で一番驚いたのは、そのスペックです。「さすがホンダ」と言いたくなる内容のEV性能で市場に投入してきました。
大容量29.6kWhバッテリと245kmの航続距離
まず最も気になるバッテリー容量とその航続距離ですが、29.6kWhと軽自動車にしては大容量です。現在最も売れている軽EVは日産サクラですが、バッテリー容量は20kWhです。
航続距離はWLTCモードで245kmなので、実用では、おそらく200km前後程度となるも、軽自動車の移動距離としては十分です。街中を走っている軽VANの配達車両の1日の平均走行距離はおおよそ40km~50km程度という事を考えると、1日の配達を終え帰社した時には、環境負荷の低い普通充電で充電することで用が足ります。実用遣いで200km程度走れば、遠方への営業車両としても利用可能です。
何より驚きのバッテリー温度管理搭載
高級車セグメントのEVにはほぼ搭載されているバッテリー温度管理システムですが、今回のN-VAN e:にもこのシステムがちゃんと搭載されています。EVのバッテリーは季節によってはかなり過酷な状況にさらされる場合があります。バッテリーは外気温の影響を受けて冬は温度が低下し、夏は路面からの熱なども手伝って高温になります。このようにバッテリ温度が低すぎたり暑すぎたりするとバッテリの性能が低下したり、充電時のスピードが遅くなったり、電池の劣化につながります。
N-VAN e:の凄いところはこの機能を搭載しているため、バッテリを最適の温度で使えるため、季節によるバッテリ性能の低下を抑えることができます。軽商用EVクラスにもしっかりとこの機能をつけてきたところがホンダの素晴らしいところだと感じます。システム電圧は358Vとなっていて、50kW級の急速充電器に対応できます。
広い荷室が車中泊でも人気に!
ホンダの「N」シリーズはどれも車内の居住空間が広いのも特徴の1つです。N-VAN e:は、ガソリン車に比べ小型のモーターや高圧回路部分などをコンパクトにしたため、バッテリ容量を沢山搭載できただけでなく、居住性空間の広さもしっかり確保されています。下の写真は個人ユースにも対応するe:FUN(イーファン)グレードの車内です。
個人ユーズのもう1つのシリーズe:L4(イーエルフォー)のものです。リアシートは折りたたんで床に収納されてフラットになります。これだけの空間があると、マウンテンバイクやスキー・スノーボード、キャンプ用品などを積んでアウトドアも楽しめます。
停車時の車内が1つの部屋や作業場になる
電気自動車のメリットはアイドリング時に、エンジン音が無く、排気ガスも出ないため、立体駐車場などの閉鎖空間に駐車した際にも電源をONにして車内に長時間滞在が可能になります。広い空間が確保されているため、移動オフィスやリモートワークにも適していて、100Vの15Aのコンセントも利用でき、ドライヤーやトースターなど大電流の家電も動作させることができます。
出先での作業には、充電ポートから外部給電も可能になっていて、電動工具やライトアップ、屋外コンサートなどにも利用できます。
V2Hに対応!災害時には蓄電池として活躍!
29.6kWhの電力を搭載しているN-VAN e:は自宅に電力を戻す事ができるV2H(Vehicle to Home)に対応しています。これにより、災害時には家庭用蓄電池として活躍します。一般的な4人家族の家庭が使う電力量は1年間を平均すると1日に20kWh程度と言われています。季節や使用状況により大きく変化するものの、一般家庭の1日の電力を十分賄うほどの電力が搭載されています。災害発生時には流石に節電して利用するでしょうから、この電力量なら数日間の停電にも対応できるでしょう。
Honda SENSING搭載
安全運転支援や運転支援システムも充実しています。まず個人ユースにも対応したe:L4とe:FUNについてはフロントビューカメラと8つのソナーセンサーによるHonda SENSINGを標準搭載。衝突軽減ブレーキや構想道路のアダプティブクルーズコントロール、斜線維持システム、オートハイビームなどが搭載されている他、オプションの設定で急アクセル制御なども搭載可能です。
商用モデルについては安全運転支援システムを搭載。こちらは衝突軽減ブレーキCMBS、歩行者事故軽減ステアリング、路外逸脱抑制などの機能が搭載されています。
法人向けHonda ONモデル
N-VAN e:には、法人向けオンライン限定モデルである「Honda ON」モデルと呼ばれる廉価版の商用に特化したモデルもあります。これは元々助手席が無く、荷室を最大限に利用するために作られたe:Gモデルとe:L2の2種類があります。
作業員をもう一人載せて運搬する2人乗り仕様(L2)では、運転席後部に折り畳み用のシートが用意されています。
補助金との併用で価格を抑える
これだけのスペックで、車両本体価格は243万9800円~291万9400円(税込)と価格は相当抑えられています。もし、自宅に30kWhの家庭用蓄電池を設置するとしたら、300万円では到底設置できません。それだけの電力量を搭載し、移動オフィスや電源車両としても役割も果たす自動車を超えたモビリティとしては、非常に良い価格設定になっていると言えます。
更に、補助金を活用する事で、200万円を切る価格で購入する事も可能です。経産省が用意している令和6年度のCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金は、昨年度に比べておよそ2倍近い予算が確保されています。
HONDA N-VAN e:に対しては、55万円の補助金が利用でき、更に地方自治体が用意している補助金と合わせれば更にコストを抑えて導入可能です。
新たなビジネスモビリティとして人気は必至
補助金が用意されている今、価格を抑えて導入できる新時代のビジネスモビリティとしてのHONDA N-VAN e:はおそらく売れ筋NO1に躍り出てくるでしょう。企業や法人の商用車両やキッチンカーとしても人気を集めそうで、個人のアウトドア利用にも最適です。
更に29.6kWhの大容量電池を積んだ動く作業場のようなものなので、新しい移動式のビジネスが生まれていきそうです。
補助金に注意が必要
発売日が10月10日である事には注意が必要です。なぜなら、人気車両となることが予想されるため、納車が非常にずれ込む可能性があります。こうなると、補助金の期限が心配です。
昨年度の補助金は2024年2月上旬で一旦締め切られています。その後補正予算で継続されましたが、今年は予算が倍近く用意されているとは言え、納車のタイミングによっては補助金が利用できない可能性もあります。
この車両には国から55万円、都道府県で補助金が設定されていれば、それも受け取れ、市町村にも補助金があればそれも受けられます。すべてのタイミングを合わせるにはなかなか難しい時期の発売です。
このあたりはディーラーの営業マンとしっかり調整していき、受け取れるものだけ申請する形になるかもしれません。