金曜日 , 5月 27 2022

交流が長距離送電に適している理由

なぜ直流で送電しないか?

一般家庭で利用されている家電品の殆どが直流で動作するものです。しかし一般家庭のコンセントは交流電流になっています。これはなぜでしょうか?

AC-DCコンバータ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

電力会社で発電された電気は交流電力となって一般家庭や企業などに運ばれてきます。日本の主な発電所は火力、水力、原子力となっていて、これら発電所では天然ガスや石炭、石油などの燃料を使ってタービンを回転させて発電機を動かし、電力を得ています。このタービンの回転によって発電する電気は交流になります。

発電所の仕組み ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

交流の送電

発電所で作られた「交流(AC)」はトランスと呼ばれる磁性体にコイルを巻いた簡単な仕組みの機器を使って容易に電圧を変えることができます。

電気を銅線などに流すと、銅線自体の抵抗により長距離になればなるほど電圧降下や電力損失が多くなっていきます。実はこれは直流電流よりも交流電流の方が損失が大きくなります。

交流は、銅線の中をまっすぐ進む直流電流と比較すると、+・-を繰り返し、時間によって電流量が変化します。銅線に電気が流れると磁界が発生します。この磁界は時間によって変化する電流量で変化していくため磁界が変化するとレンツの法則により銅線内でその磁界を妨げる方向に磁界が発生し誘導電流により渦電流が発生します。これは銅線の表面では電流と同じ方向ですが、中心部では交流電流が逆らう向きになります。

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交流はやがてその向きが変わり(上図右側)また徐々にその量が増えるため同じことが繰り返されます。これを表皮効果と言い、交流電流が銅線の表面付近の方が良く流れる原理です。(直流はずっと同じ方向に一定の電気が流れているので磁界も一定なので過電流が流れません。)

では、なぜ電流損失の大きい交流を送電に使うかと言うと、高い電圧の物を比較的簡単な仕組みで低い電圧に変えることができるからです。

高圧で送電することで損失を小さくしている

通常、電線などに流れる電流値が大きい交流電流を流すと、電流値の二乗に比例して熱が発生し、熱エネルギーとなって損失が発生します。そのため家庭に送電する際も電流はなるべく小さく送りたいという事です。

例えば、1,000Wの電力を送電することを考えると、電力(W)は電圧(V)×電流(A)という簡単な計算式になるので、100Vで送電する場合は10Aを流すことになります。これを1000Vの電圧で、1Aだけ流すことを考えると、電流値は1/10となります。

つまり送電する発電所側でものすごい高い電圧にしておいて、電流値を押さえておけば、電流損失を小さく抑えることができます。発電所で作られる交流電流の電圧は60万Vです。これらは送電線で各地域の変電所に送られ、変電所のトランスで電圧を落として各家庭へと送られていきます。

これが直流だと、そもそも高い電圧の取り扱いが難しく、更に電圧を変えるための設備が複雑で高価なものになってしまうため、簡単に電圧を変えることができません。

これは、かつて電力インフラを考えていた時代に、交流はトランスで簡単に電圧を変化させることができていたのですが、直流の電圧を自由に変圧する仕組みが無かったため、現在もそのインフラが整っているとも言えます。

直流送電も行われている

現在では、更に長距離になると、新しい直流電圧の変圧の仕組みを利用して、直流での送電も行われています。

再生可能エネルギーは直流で発電

発電の回路がタービンを回すような仕組みになっていない物やDCモーターによる発電などは電気を直接力流で取り出しています。代表的なもので言えば家庭の屋根についている太陽光パネルなどはそれにあたります。

 

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