多国籍自動車連合が新時代の自動車づくりを提唱する
ステランティスはフランスの自動車メーカーであるプジョー、シトロエン、DSなどのブランドを持つ「グループPSA」とフィアット、クライスラー、オートモービルズなどが経営統合されて誕生した多国籍、多ブランドを保有する自動車メーカーです。2021年1月に誕生したばかりの企業で、新時代のモビリティ変革に対応するため、組織再建と多メーカー連携によるシナジーを生み出そうとしています。
ステランティスには14のブランドが存在し、ロゴの変更などもなくそのままのブランドを保っています。
イタリアのブランドとしては、フィアット、ランチア、アルファロメオ、マセラティ、アパルトの5つ、フランスのブランドとして、プジョー、シトロエン、DSオートモービルズの4ブランド、米国ブランドとしてダッジ、クライスラー、ジープ、ラムの絵ブランド、他にドイツブランドとしてオペル、イギリスからはボクスホールが1つのメーカーとして統合されています。
この14ブランドに2つのモビリティブランドを加えたステランティスは世界30か所の製造拠点から、130のマーケットへと自動車をリリースしています。2021年にはシトロエンC4、Jeep Commanderなど、グループでおよそ10以上の新製品をリリースしています。
2022年1月で1年を迎え、その未来に向けた野心的な動画をリリースし、世界のクリーンエネルギーを活用したモビリティの世界をリードしていこうとしています。
日本市場でもEVのシトロエンE-C4を発表
日本市場でもシトロエンC4とそのEVモデルであるE-C4を2022年1月より販売開始しました。
コンパクトSUVであるE-C4は、電気自動車として50kWhのリチウムイオン電池を搭載し、満充電での走行距離がWLTCモードで405km、実用使いでも310km程度と遠距離ドライブにも対応できる走行距離を実現しています。
コクピットにもタッチパネル画面が用意されていて、Apple CarplayやAndroid Autoに対応しています。助手席のグローブボックス前面にはタブレットなどをセットできる「シトロエンスマートパッドサポート」により、走行中にも最適な角度で自身の持つタブレットを専用ケースに入れて固定し、エンターテイメントを楽しむことができます。
ステランティスの電動化戦略
2021年7月に行われた「ステランティス2021 EV Day」で発表された電動化戦略によれば、2030年までに低排出ガス車、Low Emission Vehicles(LEV)マーケットのリーダーとなるために300億ユーロ(およそ3.9兆円)以上の投資を行い、ヨーロッパでの売り上げの70%以上、米国では40%以上の割合で新車販売をLEVにしていくと発表しています。
ステランティスの各ブランドから燃料電池自動車を含む33種類の電動化自動車をリリースし、今後1年半の間に8車種のバッテリー電気自動車(BEV)を発売するとしています。この実現に向けて、4つの電動車プラットフォームを開発し、電池やソフトウェアの分野ではLG Energy Solution やAUTOMOTIVE CELLS Co、Factorial、SAMSUNG SDI 、ZERO CARBON LITHIUM、amazon、BMW、FOXCONN、 WAYMOらパートナーとの協働により、電池の確保と開発、3つの技術プラットフォームとして、STLA BrainとよばれるAI制御、STLA SmartCockpitによる操作性の高いユーザーインターフェース、STLA AutoDriveによる自動運転を提供していくようです。
ステランティスはすでに日本市場に完全電気自動車を2車種リリースしたことになり、国産メーカーが電気自動車を持ち合わせていない今、コンパクトSUVの中でも価格を抑えたEVとして周知されてくるとその人気に火が付く可能性もあります。
ステランティスからは日本向け4車種のEV
既に日本市場で発売されているステランティスのEVとしては、プジョーのe-208、e-2008、DS 3 CROSSBACK E TESEの3車種と、2022年1月から発売が開始されたシトロエンE-C4の4車種がリリースされています。この4車種はいずれも令和3年度補正のCEV補助金の対象車種となる予定で、最大で60万円という補助金が用意されています。
現在日本国内でリリースされているステランティスのEVについてはどれもガソリン車のシャーシをベースとしているため、ガソリン車とEVを選択できるようにしています。しかし直近のEV戦略では大きさによって4つのEVプラットフォームをリリースするとしていますから、まずはつなぎのEVとしてこの4車種、そしていよいよ本気のEVということになります。