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軽EVのパイオニアが発表した軽EV「eKクロスEV」はどうか?

日本初の軽EVを発売した三菱が軽EV第三弾を発表!

2022年5月20日、三菱と日産が共同開発した軽自動車の新型EV「ekクロスEV」を発表しました。

Mitsubishi EKクロスEV エレクトリックライフ

国産の軽EVを初めて市場にリリースしたのが三菱自動車工業で、2006年にi-MiEVを発表し、2009年から販売を開始した、まさに軽自動車セグメントでのEV実用化のパイオニアです。2011年には商用車としてミニキャブ・ミーブが軽EV第二弾として発売され、法人向け車両として環境に配慮した新しい自動車として一部の層から人気を集めていました。ミニキャブ・ミーブは軽トラック型もリリースしています。

三菱 i-MiEV Minicab エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP

i-MiEVは2009年から2021年まで発売され、バッテリー容量は10.5 kWh と16kWhモデルが用意されていました。航続距離は最大で120kmと短距離利用を想定したものでした。現在は生産終了しています。

MiniCAB MiEVは商用を意識して作られたバンタイプのもので、こちらもバッテリー容量は10.5 kWh と16kWhで航続距離はそれぞれ100kmと150km程度となっています。こちらも2021年までで生産終了しましたが、2022年から販売再開予定です。

軽EVとしてのスペックはどうか?

小型で燃費も良く維持費も安い軽自動車は日本の道路事情や生活習慣にフィットする人気の自動車となっています。近距離を走る毎日の「足」としての軽自動車に求められるのは、ガソリン車と同様に小型と維持費の安さ、近距離での毎日の活用をカバーできるかどうかという点です。

今回発表されたeKクロスEVは、日産が発表した「サクラ」とほぼ同じスペックとなっていて、その性能は十分のスペックと言えます。

  • バッテリー容量:20kWh
  • 満充電の航続距離:180km(WLTC)
  • 満充電の実用距離:130km 程度

ここで実用距離は、利用状況によって大きく変わってきますが、アップダウンがある路面の走行やエアコンを使用して走行した場合に実際の表示から何%程度走行距離が減ってしまうかを日産リーフで独自計算して算出しています。

Mitsubishi EKクロスEV エレクトリックライフ

価格も軽EVに適用される55万円の補助金の他に、地方自治体などが独自に用意している補助金なども活用すれば更に手ごろな価格で購入が可能です。後述しますが、eKクロスEVは自動車としての役割だけでなく自宅に電力を供給する蓄電池というこれからの日本に重要な機能も持ち合わせています。

  • Gグレード:239万円
  • Pグレード:293万円

Gグレードも必要なオプションなども加味すると、走り出しまでのトータルの価格はおおよそ220万円前後になりそうです。

満充電の実用距離130kmは短いか?

実用距離130㎢は十分な走行距離と言えます。例えば片道10kmの往復を通勤で使っていたとしても20kmの消費です。これは1/6程度しか使いませんが、自宅に帰ったら、この減った分を毎日深夜タイマー充電します。朝には満充電になって余裕を持った走行が可能になっています。

とにかく自宅充電がカギ

EVになるとそのライフスタイルに大きな変化が出ます。それは「ガソリンスタンドに行かなくなる」という事です。そして、毎日満タン(実際は満充電にせず90%程度にしておく事でバッテリ保護につながり、更に電費を良くします)で出発するという事になります。

V2Hに対応した充放電設備がお勧め

eKクロスEVを購入する最大のメリットと言っても良いのがこの「V2H」に対応しているという部分です。Vehicle to Homeの略で「自宅に電気を戻せる」という機能です。自宅に設置する充電器は、このV2H充放電機器にする事を強くお勧めします。オール電化で太陽光発電を搭載しているなら絶対導入すべきです。通常自宅への電力供給は電力会社から行われていますが、近年日本で多発する自然災害により停電がおこったり、また世界情勢により発電所のエネルギー不足による電力の高騰や供給不足などが懸念されるようになりました。自宅に蓄電池を設置するには高額な費用が掛かりますが、このeKクロスEVはその機能も果たすという事です。

ekクロスEV V2H ELECTRICLIFE.JP

ガソリン軽自動車と比べて割高な軽EVですが、この蓄電機能を同時に手に入れられる事を考えたら一気にそのコストパフォーマンスは良くなります。eKクロスは20kWhのバッテリを搭載しています。日本国内で最安とされているテスラのパワーウォール蓄電池と比較しても、パワーウォールは13.5kWhの電池を搭載し、工事費込みで150万円位になることを考えると、それ以上の、しかも移動式の大容量蓄電池を手にしたことにもなります。これは自宅が停電したときに、他の地域に電気を取りに行くことができるという事にもなります。

V2H充放電設備への補助金を活用

V2H充放電設備はニチコンさんから発売されているパワーステーションが最も売れている充放電設備です。充放電スピードも6kWとなり、自宅充電としては比較的早い充電スピードです。CHAdeMOコネクタになっているため、ekクロスEVの急速充電ポートに接続します。

V2H 充放電器 エレクトリックライフ ELECTRICLIFE.JP
ニチコン パワーステーションVCG-666CN

このV2H充放電設備は非常に高額で本体価格が80万円ほどかかります。工事費も20万~30万円ほどかかりますが、本体代金に対しては1/2補助され、工事費について満額補助が出るため、実質40万円程度の負担で導入が可能になります。

>>令和4年CEV補助金

既存のデザインをそのまま採用

すでにeKクロスはガソリン車でリリースされているモデルで、その外観を殆どそのまま採用しているのがekクロスEVです。そのコンセプトも引き継いでいるため、アウトドアやキャンプなどのアクティビティでの利用をイメージさせるようなデザインになっています。

eKクロス・ハイブリッド車 エレクトリックライフ
写真は「eKクロス」

そのため、軽自動車といえど、街乗りにこだわらず週末は少し遠出のアクティビティを楽しみたい人にとって、eKクロス・ハイブリッドで既に豊富に用意されているオプションパーツなどがそのまま使えるため、より幅広い楽しみ方に直ぐに対応できる点も日産サクラと比較したときの優位性となるでしょう。

アクティビティに最適な走行性能

EVならではの加減速をワンペダルで楽しめる「イノベーティブペダルオペレーション」モードは、アクセルを離すと普通のオートマチック車に比べて強めのエンジンブレーキがかかったように減速していきます。ペダルのアクセルワークで自在な走りを実現しているため、アウトドアでの走りがより一層楽しくなります。

また、3つの走行モードから加速などの走行性能を変更することができるのも、ただの街乗りだけにとどまらない、走りの楽しみが大きな付加価値としてのった車であることが言えます。

eKクロスに用意されている走りのモード切替(三菱自動車より引用)

スマホ連携ナビによるエンターテイメント

新しいモビリティに求められる「移動の楽しみ」。それを十分に引き出すためにはスマートフォンと連動するナビゲーションは必須です。標準搭載のナビに加え、Google Mapなどスマホ用アプリも利用でき、車内のエンターテイメントもスマホの音楽などを再生し快適な移動を演出します。

ekクロスEV インテリア ELECTRICLIFE.JP
ekクロスEVのインテリア:三菱自動車工業ウェブサイトより

Google Android Auto やApple Carplay に対応しているため、ほとんどすべてのスマートフォンと接続できます。Google アシスタントやAppleのSiriを使って走行中は音声による操作も可能になります。

三菱コネクトは必需品

EVに乗るなら絶対に必要な「コネクティビティ」サービスです。三菱にもこのサービスが用意されていて、しかも三菱コネクトは5年間無料ですから、入らない理由はありません。なぜ必需品かというと、現在のバッテリ容量や充電が終了したときの通知、リモートでのエアコンのコントロールや車の施錠状態の確認などができます。

ekクロスEV ELECTRICLIFE.JP

更にSOSコール機能も利用でき、運転中に体調不良になった場合、SOSコールボタンを押せば、オペレーションセンターに自動でつながり、車両の位置や状態などもすぐに確認されるため、救助要請などもすぐに行われます。ドアの不正開錠などを行おうとするような盗難行為も検出し、スマートフォンに通知してくれます。

いろいろと便利な機能がありますが、充電が終了した場合の通知機能などは、公共の急速充電器などを利用する際に車から離れるときに役立ちます。充電が終了したらすぐに車を動かすのがマナーですので、この機能は必需品とも言えます。

日産サクラとの比較

スペックや出来る事は日産サクラと同様になっています。サクラについては以前の日産サクラの記事を参考にしていただくこととして、この2台をどのように比べるかと言えば、やはり内外装の部分での比較となります。外観の好みもありますが、eKクロスはより多用途に適用できるオプションが沢山あります。そしてコネクトサービスが無料と言うところも大きな魅力です。一方で日産に比べるとディーラーの数が少なめです。

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ekクロスEVやサクラの登場で懸念される充電問題

この軽EV2車種の登場で、日本でもEVが普及することが予想されますが、今の日本の充電スタンドの普及スピードでは到底その数は足りません。充電は30分刻みで行われることが殆どですから、今充電している人が居て、もう一人待っている人が居たら、あなたが充電できるのは、30分以上後という事になります。充電待ちほど無駄な時間はありません。また、充電したまま置きっぱなしで買い物に出かけてしまう人が居た場合、いつ戻ってくるかわからない人を待っていなければならなくなります。

充電は自宅で出来ないと、ガソリン車と比べものにならないほど不便なものになってしまうかもしれません。

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