水曜日 , 11月 26 2025

テスラのプレミアムじゃない「スタンダードコネクティビティ」の範囲

プレミアムコネクティビティは2025年11月1日より値上げ

テスラ車のエンターテイメントを最大化する「プレミアムコネクティビティ」は、テスラオーナーにとって必須のもの。今までは990円でしたが、2025年11月1日から1990円に値上げされます。

倍以上になるため、ネット上でも、もう解約してテザリングにするなどの声が上がっているようですが、やはりこの契約は切るに切れない。なぜなら以前の記事でもお伝えした通り、MCU(メディア・コントロール・ユニット)の機能をシームレスに使えなくなるからです。

ただ、それでも年間12,000円の価格差は痛い!という人も多いと思います。でも心配なのはプレミアムコネクティビティを切ってしまった後にスーパーチャージャーの空き情報や課金、ナビの利用や渋滞情報などの取得に問題がないかという事です。

プレミアムコネクティビティを契約していないのにスーパーチャージャーの空き状況取得や課金ができるのはなぜ?

テスラ車でプレミアムコネクティビティを契約していなくても、スーパーチャージャーの空き情報の取得や課金決済ができるのは、スーパーチャージャーの決済システムがテスラ車に標準装備されている基本的な接続機能と、オーナーの「Teslaアプリ」に登録された支払い方法に依存しているからです。

プレミアムコネクティビティは、主に車載インフォテインメント機能(ライブ交通情報表示、衛星ビューマップ、車載ブラウザ、ビデオ/音楽ストリーミングなど)の利用を強化するためのオプションサービスであり、車両の基本的な機能や、スーパーチャージャーでの充電・決済プロセスとは切り離されています。

以下に、スーパーチャージャーの決済の仕組みと、プレミアムコネクティビティが不要な理由を詳しく解説します。


1. スーパーチャージャー決済の仕組み

テスラのスーパーチャージャーでの充電・決済は、主に以下の仕組みで行われます。

① プラグ&チャージ(自動認証・自動決済)

  • テスラ車をスーパーチャージャーの充電ケーブルに接続すると、車両とスーパーチャージャーが自動的に通信を行います。
  • この通信により、車両の識別情報(VINなど)がTeslaのシステムに送信され、車両のオーナーが誰であるかが特定されます。
  • この認証プロセスは、車両に標準で備わっている接続機能(スタンダードコネクティビティに含まれる基本的なデータ通信)によって行われ、プレミアムコネクティビティは必要ありません

② Teslaアプリでの支払い方法登録が必須

  • 充電を開始する前に、オーナーはTeslaアプリ内で、スーパーチャージャーの支払いに使用するデフォルトのクレジットカードやその他の支払い方法を登録し、指定しておく必要があります。
  • 充電セッションが完了し、車両がケーブルから外されると、充電された電力量(または時間)に基づいた料金が計算されます。
  • この料金は、TeslaのシステムからオーナーのTeslaアプリに登録された支払い方法へ、自動的に請求・決済処理されます。

2. 車の基本的な動作はスタンダードコネクティビティの範疇

スーパーチャージャーでの基本的な充電と決済の機能は、スタンダードコネクティビティに含まれる範囲の機能で実行可能です。

機能スタンダードコネクティビティ (標準)プレミアムコネクティビティ (オプション)
スーパーチャージャーの利用可否可能可能
自動決済可能(Teslaアプリ登録のカード)可能
基本的なマップとナビゲーション可能 (交通量に基づいたルート案内を含む)可能 (ライブ交通情報視覚化、衛星ビュー)
スーパーチャージャーの満空情報可能可能
車載ブラウザ、ストリーミングWi-Fi接続時のみ可能携帯データ通信でいつでも可能

スタンダードコネクティビティの役割

多くのテスラ車には、新車納車日から一定期間(通常8年間)、または永久にスタンダードコネクティビティが標準で付帯しています。

このスタンダードコネクティビティには、以下の重要な機能が含まれており、これらがスーパーチャージャーの利用と決済を可能にしています。

  • 車両とTeslaシステム間の基本的な通信:充電の開始・終了、充電量の記録、車両識別情報の送信など、課金に必要な最低限のデータ通信を担います。
  • ナビゲーション機能:ルートプランナーや交通量に基づいたルーティング、スーパーチャージャーの満空情報(どの充電スポットが空いているか)の確認などが含まれます。

結論として、車両に標準で備わっている通信機能(スタンダードコネクティビティ)で、最低限のナビ機能やテスラ車にとって重要なスーパーチャージャーの空き状況、決済はカバーされるという事です。

一方で、テスラ車の機能を最大限に引き出すためには、やはりプレミアムコネクティビティは必須です。シームレスにネットにつながっている事がユーザーの利便性を上げ、今後FSDが搭乗した際には、より必要になるでしょう。

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About エレクトリックライフ編集長

電子回路・エネルギーの専門家。太陽光発電、エネルギー貯蔵、電気自動車やソーラーカーの研究を行う。これらの知見を活かし、2050年のカーボンニュートラルに向けた電力の有効活用を研究している。 弱電から強電まで広いエリアを専門として、エネルギー、特に電力の上手な活用を一般に広く広めるための活動も行っています。 保有車両:テスラモデルY2025前期

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