月曜日 , 11月 10 2025

日産が展示した2つの新しい電気自動車は日本で発売するのか?

マイクラ、N7という海外人気2車種を展示した意味は?

JAPAN MOBILITY SHOW 2025で日産が日本以外で発売している電気自動車2種類を展示しました。この2台はヨーロッパと中国で人気の電気自動車(EV)です。日本国内での発売予定はありませんが、なぜこの2台が展示されたのでしょうか。

中国で1か月で1万7千台以上を受注した新型EVセダン「N7」

N7は2025年4月27日の発売からたったの1か月で1万7千台以上を受注した中国市場で大人気の新型セダン型EVです。すでに納車が始まっており、58kWhと73kWhの2種類のバッテリー容量を用意して満充電での位置走行距離は最大で635kmを実現したものになっています。

インテリアも未来的で、中央の大型ディスプレイの他、ドライバー専用の液晶パネルも用意されていて、室内の殆どの操作をこのディスプレイで行う。そのため、ボタン類も室内に少なく非常にすっきりした設計になっています。

このシンプルな室内はテスラを思わせるものがありますが、車内のラグジュアリーさは、それを超えるものがあります。日本市場で新型セダンの発表が全く行われていない日産は、この車両を展示する事により、まずは日産自体が高い技術力を持ち、海外では売れているセダンを作っているという誇示と、このモビリティーショーでの反応次第では逆輸入もありうるかもしれません。

日産が中国で2027夏までに更に8車種の新エネルギー車「NEV」の発売を予定しています。

「マイクラ」とは一体どんな車なのか?

日本市場ではコンパクトカーサイズの日常乗りでちょうどよいサイズのEVが発売されていないため、以前から「マーチサイズのEVがほしい」という声はありました。日産リーフなどは小さく見えて車格は3ナンバーで実際乗って見れ場非常に大きい事が分かります。今回日本で展示されてた「マイクラ」は日本市場にピッタリな車両といえます。

EV性能と航続距離、充電

新型「マイクラ」は、日常生活において最適で安心感のあるEVドライビングを提供するために設計されています。

バッテリー総電力量40kWh52kWh
航続距離308km408km
最大出力90kW110kW
車両サイズ3,974mm×1,774mm×1,498mm3,974mm×1,774mm×1,498mm
重量1,400kg1,524kg

航続距離と使用環境 主に都市部での走行を想定していますが、52kWhバッテリー仕様(航続距離408km)であれば、郊外への移動でも航続距離の不安を感じさせません。

充電性能と効率化技術 新型「マイクラ」は、同セグメント内で最速の急速充電性能を備えています。

  • 100kW出力の急速充電器を使用した場合、わずか30分で15%から80%までの急速充電が完了します(40kWhバッテリー仕様の場合は最大80kW)。
  • 充電効率を最大化するために、バッテリーの加熱および冷却機能に加え、ヒートポンプが標準装備されています。
  • また、100%電気自動車の利点として、バッテリーの電力を外部デバイスに供給できるV2L(Vehicle-to-Load)技術を有しています。

デザインと内装

新型「マイクラ」のデザインは、ロンドンにある日産デザインヨーロッパ(NDE)で設計されました。

外装デザイン

  • デザインは大胆で主張あふれるもので、プレミアムな仕上げ、SUVのようなデザイン、洗練された表面、そして緻密な表現が融合しています。
  • 全グレードに18インチホイールを装備しており、3種類のデザイン(「アクティブ」ホイールカバー、「アイコニック」、「スポーツ」アルミホイール)が用意されています。これにより、力強くソリッドなスタンスを実現しています。
  • アイコニックなヘッドランプには、ドアロック解除時に左右に脈動する「ウェルカムウィンク」機能が搭載されています。
  • ボディカラーとルーフカラーを組み合わせるツートンカラーを含め、14種類の外装色の組み合わせにより、個性を主張できます。

内装デザイン

  • 歴代モデルと同様に、シンプルで控えめでありながら優雅さを感じるデザインが採用されています。
  • 前席の収納スペースに富士山のモチーフを採用するなど、さりげない部分で日本らしさが表現されています。
  • ドライバーにはステアリング奥の10.1インチディスプレイが情報を提供し、インストルメントパネル中央にはナビゲーションやオーディオなどにアクセスできる同じサイズのタッチスクリーンディスプレイが配置されています。
  • シート仕様が異なる「モダン」、「アウダシアス」、「チル」の3つのグレードが設定されています。

サイズと利便性

新型「マイクラ」は、都市部の狭い道路や渋滞に適したコンパクトな設計です。

  • 全長は3,974mm、全幅は1,774mmです、高さは1,498mm
  • ホイールベースは2.54メートルで、ホイールが車両の四隅に配置されることで、室内空間の確保と機敏性・安定性のバランスを最適化しています。
  • 荷室容量は、コンパクトカーとしては広い326リットル(VDA)を確保しています。
  • 新型「マイクラ」は5ドア仕様のみとなります。

走行性能とコネクテッド技術

  • ドライビング性能: 電動車ならではのスムーズなドライビングフィールを提供します。軽量な車重(1400kgまたは1524kg)により、高い効率と優れたハンドリング性能を実現しています。
  • シャシー: AmpRと共用のEVプラットフォームの限りなく低い位置にバッテリーを配置し、ストラット型フロントサスペンションとマルチリンクリアサスペンション(パッシブダンパーを利用)により、クラス最高の乗り心地と優れた走行性能を提供します。
  • コネクティビティ: Googleサービスを備えたNissanConnectを搭載し、直感的でシームレスなコネクテッド体験を提供します。専用アプリを通じて、バッテリーの充電状態や充電スケジュール、車両の位置、車内空調など、さまざまな機能をリモートでコントロールできます。
  • 先進安全技術: 安全を最優先に開発され、高速道路での安心感を高めるプロパイロットアシストを含む、多くの先進運転支援技術が搭載されています。

このようなマイクラは今回のJAPAN MOBILITY SHOW 2025のモビリティーショーの来場者の注目をあつめる展示になっていたのは間違いありません。「ニッサンがこの車を出すの?」とか「このサイズちょうどいいね」など日産ブースに訪れた幅広い年齢の人たちを驚かせていました。

また、N7は、日本市場にすくない「セダン」タイプですが、中国市場では11万9,900元~14万9,900万のレンジではつばいしています。日本円にすると320万円ほどと、この内容にして低価格を実現している事もあり、こちらも日本市場での発売を希望する声があがっていました。

この2車種を展示した事にはマーケティングの意味合いが高いはず。日本では工場の閉鎖などもあり、新型の車両をリリースしずらい環境になっているのは事実です。

日産アンビション2030を覚えている?

日産は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」の中で、2030年までに19車種のEVを含む27車種を導入し、NissanとINFINITIの両ブランドで電動車の比率を55%にするとしています。これを達成すには、やはりグローバルでの人気車種を中心に、日本市場にもそれらを逆輸入してくる公算が高いと言えます。

特にN7などは、冷え切った日本市場でのセダン人気にもう一度セダン人気を高める可能性があるEVでもあります。

この2車種をどうするのか?

自動車メーカーが2050年まえでに達成しなければいけないカーボンニュートラルの中間発表である2030年まであと5年。日産だけでなく、今回のJMS2025では、海外ブランドを展示する国内メーカーも多くいたことから、海外での人気車種を日本仕様にして持ち込むという流れになるのか、注目があつまります。

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About Electric Manager

大学時代に電子工学を専攻し、電気自動車やソーラーカーの研究を行う。 電気工事士の資格も持ち、自動車メーカーでの電気自動車関連の仕事や電力会社での電気工事、その後は充電スタンドV2Hの営業など弱電から強電まで広いエリアを専門としています。

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