CEV補助金の100%再エネ電力調達要件とは
2021年10月8日現在、CEV(Clean Energy Vhiecle:クリーンエネルギーヴィークル)の補助金としては環境省が用意している「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」が利用可能になっています。
この補助金では、クリーンエネルギーで走る自動車を購入する際に、完全電気自動車(EV)には最大80万円、PHVには最大40万円、水素自動車などのFCVには最大250万円と種類によって購入金額に対するサポートが受けられるというものです。
100%再エネ電力のライフスタイルはどうなるか?
この環境省の補助金の目的は、クリーンなエネルギーで走る電気自動車を再エネ電力だけで行った場合、我々国民にとってどんなメリット、デメリットがあるのかを知るために行われる実証実験です。
ただ単純に「クリーンなものにした人にはお金をあげます」というものではなくて、購入後4年間生活してみて、コスト面や利便性などにどのような変化が出たかを毎年報告する義務があります。
現在の自宅の電力を100%再エネにする3つの手法
環境省の補助金を使うにあたって、自宅や会社の電力を100%再生可能エネルギーから調達するのが要件となっています。これを実現するために同省では3つの手法を提示しています。
- 手法1:太陽光と蓄電池などを組み合わせて100%自家発電だけで生活
- 手法2:100%再生可能エネルギーで発電した電力プランへの変更
- 手法3:従来の電力プランで排出したCO2分を再エネ電力に置き換える取引をする。
手法1を適用できるかはほとんど居ないのではないでしょうか。実現には相当な容量の蓄電池と太陽光発電が必要です。一般的には太陽光と蓄電分で足りなくなった分を電力会社から購入するというのが方法だからです。もしこの再生可能エネルギーだけの自家発電を行っている人が居たとしたら環境意識が相当高く、究極の生活とも言えます。
最も簡単な方法は「手法2」
手法2については、最も簡単な方法で、現在の電力プランを「再エネ100%」プランに変更してしまうという点です。今では多くの電力会社が再エネ100%電力プランを用意しているため、そのプランに切り替えるか、そういったプランが用意されている電力会社に切り替えるかをします。
しかし注意も必要です。まず自宅がガスを使わないオール電化の場合「深夜電力」という深夜電気がものすごく安くなるプランがありますが、この割引が聞かなくなったり、基本的には電力を購入する単価は上がるため、ランニングコストは高くなる傾向にあります。これを4年間は再エネ100%電力プランにしておかなければなりませんので、注意が必要です。
ただし、電力会社を変更したりうまくプランを見つけると殆ど変わらずに切り替えることも可能です。詳しくは以下の料金比較相談サービスなどを利用して、専門家からの提案を受けることをお勧めします。
>>電気料金プランを比較して電気代を今よりお安く!【電気チョイス】
※相談時には手元に現在の電気使用量と料金の1年~数か月分を手元に用意しておくとより正確な診断を受けられます。
電力プランを変えたくない人は「手法3」
これはどういう人かといいますと、オール電化プランで深夜電力を利用して電気を使う機器を多く利用している方などになります。特に東京電力の「電化上手」というプランに加入していた人は、圧倒的に電気料金が安くなっていて、しかもこのプランは一度解約すると再度申し込めないプランになります。
電気自動車を購入するという事は、深夜に大電流を長時間使う機器が自宅に1台増えるという事になります。
この場合はCO2排出分を取引する手法3がお勧めになります。
「手法3」も簡単!Jクレジットかグリーン電力証明か?
電力プラン変更はいろいろな理由でできない場合がありますので、変えるつもりがない方は、このJクレジットまたはグリーン電力証明の購入という事になります。
★Jクレジット制度
一般家庭や企業の活動により排出される温室効果ガスの量を、再生可能エネルギー導入や森林管理など温室効果ガス削減を行う活動に資金提供を行うことで相殺するという制度です。
自宅で利用した1年間の電力量の合計を温室効果ガス排出量に置き換え、その分をクレジットとして購入することでその証明書が発行されます。CEV補助金などでは直近過去1年分の電力使用量を計算し、これを4年分クレジットとして購入した証明書などを提出します。(※具体例は後述します)
より詳しくはJ-クレジット制度公式サイトをご覧ください。
★グリーン電力証明
グリーン電力とは風力、太陽光、バイオマスなどの自然で持続可能なエネルギーにより発電された電力の事をいいます。グリーン電力は従来の石炭や石油などを利用した発電のようにCO2を大量に発生されるものと環境への負担が非常に少ない発電方法です。グリーン電力を電力そのものと「自然エネルギーで発電した」という付加価値に分けて、その環境付加価値分を個人・企業などが購入することで、従来の電気の環境負担と相殺する仕組みがグリーン電力証明です。
具体的な証明書を発行方法
今回は環境省のCEV補助金を利用する方を想定して各種証明書の発行をご紹介します。
発行が最も早いのはグリーン電力証明
グリーン証明書は時間がない方におすすめの方法です。オンラインで自宅で使用した1年間の電気量(kWh)または直近1か月分などの使用量が分かれば、その場ですぐにお見積り後、マイページから証明書のダウンロードがすぐに行えます。
日本自然エネルギー株式会社が提供しているオンライングリーン証明書発行サービス「GreenCart」を利用すれば待たずにその場で証明書が手に入ります。年間の電力利用料を入力すれば自動的に計算を行い、その料金を提示してくれます。
>> Green Cart (オンライングリーン電力証明発行サービス)
CEV補助金は自動車の登録日から1か月以内に申請しないといけないため、時間がタイトです。なかなか時間が取れない方や期限が迫ってしまった方はこちらをお勧めします。
コストを抑えたいならJクレジット
Jクレジットの場合は、発行に認証機関を通すため1~2週間程度の時間がかかるため、自動車の登録日が分かったら並行して始めないと間に合わなくなる恐れがあります。
個人が購入する最も簡単な方法は個人対応しているJクレジットプロバイダーと呼ばれる取り扱い業者から証明書を発行してもらう方法です。ここでは2社ご紹介します。
神奈川県横浜市にある環境経営コンサルティングや温室効果ガス排出量削減支援などを行う企業。個人・法人向けにJクレジットを販売している。(→Jクレジット見積もりページへ)
東京都港区にある気候変動対策に関するソリューションを提供している企業で、個人・法人向けにJクレジットのオンライン販売などを行っている。(→Jクレジット販売ページ)
一般的な家庭が利用する1年間の電力消費量が4,000kWh~5000kWh程度ですので、この数値で試算して、料金を比較してみることをお勧めします。スピード感ならグリーン電力証明、コストならJクレジットという感じでしょう。
手法3はご注意を!
この証明書の発行を選んだ場合、毎年電力使用量を比較していく必要があります。過去1年分を計算して単純に4年分を先払いするのですが、もし4年後のトータルの実績値が今回購入した証明書の電力量を超えてしまった場合は、実績報告の際に不足分を追加購入して提出します。
逆にたとえ4年後の実績値が今回の証明書分より少なくなった場合でも返金されることはありません。おそらくEVの充電分が増えるため少なくなるという事はあまり考えられませんが、このあたりを気にされる場合は多めの購入なども1つの手になります。
補助金を受けた後はこれらレポートがあるのですが、電力比較や太陽光をつけている人は売電量なども細かく記入したりなどモニター要件が通常より多くなります。実は2021年9月の段階でも詳細などがしっかりきまっていないのが現状で今後さらに報告事項が追加され、さらに手間が増える場合もあります。
>>車両や設備の活用状況などモニター制度要件の概要について:環境省
このように、温室効果ガスの排出量を削減するための取り組みとしてJクレジットやグリーン電力証明の活用を通じて私たちの電力の基礎知識や利用量への意識がとても重要になってくるため、補助金を通じてより環境への深い理解が必要です。
また、補助金を受けるという事はただお金をもらえるだけでなく、それなりにしっかりとした報告義務などがあります。義虚偽の報告や4年間のモニターへの協力がない場合は、補助金の不正受給にあたり、厳しい罰則なども用意されていますので、その点も理解したうえで受給するようにしましょう。
EVに関する補助金についての詳細は、以下の次世代自動車振興センターのウェブサイトでご覧ください。