木曜日 , 11月 21 2024

軽自動車のEVは果たして魅力的か?法整備は?

2022年日産自動車と三菱自動車から軽EV発売

東京オートサロン2022年が1月14日~16日までの間開催され、いよいよEVの波が押し寄せてくることを予感させるように、日本での売れ筋である「軽自動車」のカテゴリにEVの実車が展示されました。日産自動車と三菱自動車は共同で軽自動車のEVの開発を進めていて、その中心的な役割を担っているのが、2011年から日産と三菱のジョイントベンチャーであるNMKV社です。すでに発売されているeKシリーズや日産デイズなどはこの会社によって開発されたモデルです。

三菱自動車の「K-EVコンセプトXスタイル」

今回東京オートサロンで実車を用意したのは三菱自動車です。この軽自動車EVは三菱自動車が発売する「eKクロス」をベースにした「K-EVコンセプトXスタイル」という名称で発表され、2022年春ごろの発売予定で、販売も間もなくスタートされます。

まだ詳細スペックや価格などは発表されていないものの、20kWhのバッテリーを搭載して、満充電で170km程度の航続距離を実現するモデルとするという事です。おおよその価格帯としても補助金を利用して実質200万円程度から購入できるようにしたいとしています。

三菱自動車の加藤社長は「EVは特別な車でなくなる」と話していましたが、これは日本で売れているカテゴリである軽自動車がEV化されることでより多くの人がEVに乗るチャンスが増えて、EVがより生活に密着したものになるという意味が込められているようです。

今回の発表ではその性能の詳細が明かされておらず、シャーシはどうなっているのか、充電性能はどうなっているのか、外部給電はどうなるのかなどは今後の発表を待つことになります。

2019年に軽EVコンセプト「IMk」を公開している日産

2019年のモーターショーに未来の軽自動車EVのコンセプトカーとして初披露された「IMk」は新開発のEVプラットフォームを採用したモデルとなっていて、こちらも2022年の発売を予定しているモデルです。日産は現在国産車で最高と言っても過言ではない日産リーフで培った完全電気自動車のノウハウがあり、現在のリーフは未だ従来の自動車のシャーシや駆動構成がモーターとバッテリーになったのに対し、EVプラットフォームから作り上げたとしているため、その出来栄えが楽しみな軽EVであるといえます。

Nissan IMk 軽EV ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

IMkで気になるのが搭載バッテリー容量20kWhとしていますが、他のオプションはあるのか、そして自動車から自宅に電気を戻せるV2X機能はどうなっているのかなどです。更に従来のNISSAN Connectなどのサービスに加え、スマートフォンとの連携は進化していくのかという事です。

ここで疑問、本当に軽EVでいいのか?

電気自動車は乗って生活しないとなかなかその良さが分からないもので、乗ってみると分かるのが従来のガソリンを給油して利用する方法と全く違ったライフスタイルが待っているという事です。

Nissan IMk 軽EV ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ
NISSAN [IMk」は和を意識したデザインになっている

日本国内では個人が保有している自動車の4割が軽自動車と言われていて、日本の住宅事情や道路事情などにあっているといわれています。サイズが小さい軽自動車は燃費もよく導入費用も安いというのが魅力です。

そのため軽自動車を積極的に進めていたダイハツやスズキなども2025年には軽EVをリリースすると発表しており、中国でのEV生産を決めたホンダも2024年には日本国内に軽EVの発売を開始するといっています。

日本人が軽自動車を乗る一番の理由

ここで改めて日本人が軽自動車を乗る理由を考えてみると、日本の道路事情や狭い駐車場、住宅事情などを確かに小回りも聞いてキビキビ走る軽自動車EVはとても魅力的です。でも、やはり人気の一番の理由としては、導入のコスト、燃費、そして税金など維持費が普通の車に比べて安いという点です。この点を考えるとEVにするだけでガソリン車と比べて物凄いメリットが出てきます。

税金が安いEV、軽EVで更にお得に

現在国内で販売されている乗用の国産完全電気自動車は2022年1月現在で4車種しかありませんが、このいずれも3ナンバーです。3ナンバーと言えば車体も大きく、その分排気量も多いので税金が高いというイメージですが、実はそんなことはありません。

honda-e ホンダ ELECTRICLIFE.JP
コンパクトに見えるhonda eも3ナンバー

 

EVはガソリン車の軽自動車(10,800円)よりも自動車税が安くなります。現在発売中の日本国内を走るEVの自動車税は6,500円となっています。重量税もEVには免税などが用意されていますので、税金がかからなくなるメリットもあります。

軽自動車の自動車税は10,800円ですが、軽EVになると概ね75%減税されるので、自動車税は2,700円になります。元々安い維持費が魅力の軽自動車がEVになって更に維持費が安くなることになります。

EVの税金 ELECTRICLIFE.JP

ここで話した自動車税については一般的な話であり、都道府県によっては更に減税なども用意されているため、より詳しくは各都道府県の自動車税のページを参考にしてください。

※より詳しくはこのページ最後の関連リンクの「EVは税制面でお得!減税・免税を知ろう!」のリンクをご覧ください。

ガソリン(燃費)に比べて電気(電費)は格段にお得

維持費の中で重要になってくるものの1つに燃費(EVは電費)があります。通常ガソリンの場合は、全員がガソリンスタンドの1リットル当たりの表示価格で購入します。ガソリンスタンド毎に多少の価格差はあっても大きく変わることはありません。

ガソリン価格 エレクトリックライフ

しかし、EVになると契約している自宅の電気料金や充電方法によって、エネルギーの価格が人によって全然変わってきてしまいます。もっと言うと電気の知識があればあるほど、燃費(電費)は0円に近付いていきます。うまく運用する人は自宅の太陽光発電や深夜EV無料プラン、無料充電スタンドなどにより、電費0円なども達成できます。

賢い主婦層なら自宅充電

航続距離170㎞がWLTC表記だったとしても、実際には110~140km程度走ることができるため、普段使いなら全く問題ありません。隣町などへ足を延ばしても十分な航続距離です。そして自宅に帰ってくれば車を降りた際にすぐにプラグインで充電。翌朝には満充電でまた活動できます。スーパーやモールなどにも今後は充電インフラが整ってくるでしょうが、価格にシビアな主婦層が乗ることを考えると外での充電をなるべくしないような賢い運用になってくるでしょう。

自宅充電 ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

軽自動車である必要もなくなる

このように軽EVの登場は、確かにEV需要の底上げになり、多くの人がEVに乗り換えるきっかけになるため、メーカーがしっかり供給できるのであれば、今年爆売れすることは間違いないでしょう。しかしながら最も懸念されるその供給については、昨今の半導体や電装部品の不足、電池の調達についてです。やはりコスト面から軽EVは人気車種になることは間違いありません。特に今年は補助金も出ているためそれは尚更です。

しかし、これは維持費の問題で軽自動車に乗り続けていた人にとっては1つ上のグレードの車にアップグレードするチャンスでもあります。軽自動車が1年待ち、2年待ちという状態になったとしたら、別の選択肢として潤沢な導入補助が出る3ナンバークラスのEVという新しい選択肢も出てきます。EVになれば軽EVも情報車クラスのEVも税金などは殆ど変わりません。導入補助金は軽EVよりも多く出るため、手の届く範囲になってきます。

日産リーフ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

EVは国内の各メーカーのトップが語るときに必ず出てくる「モビリティとして新しい移動の楽しみ」というものがあります。この楽しみをより快適にするのは、車内の装備もさることながら、やはりその居住空間の広さにあります。

このような点からも軽EVは多くの人にEVへの乗り換えを考えさせ、そしてより良いモビリティへの選択肢を増やすものにもなるでしょう。

排気量がなくなり、搭載バッテリーに課税?

もはやEVには「排気量」という概念は無いため、排気量による税制ではくくれないものになりました。これにより法整備も必要になってきます。

現在は免税や減税の恩恵を受けているEVも普及すれば当然課税が始まります。そこはやはり搭載バッテリー容量と車重という事になるでしょう。バッテリー容量についてはもっと言えば航続距離という事になるかもしれません。

いずれにせよ、排気量がなくなることで軽自動車や5ナンバー、3ナンバーといったくくりも意味ないものとなり、新しい自動車の枠組みが必要になります。今の行政を見ていると合理性に欠ける政策が多いため、この電気自動車に対する課税については合理性を持った法整備に期待したいところです。

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