ミシガン州での新しい投資により1,200人の新規雇用
韓国のEV向けバッテリーメーカーとして世界第2位のシェアを誇るLGエナジーソリューションが、米国のミシガン州ホランドのバッテリー工場を拡張し、新たに1,200人を雇用すると発表しました。拡張工事に伴う投資額は17億ドル(日本円でおよそ2,000億円)で、これによりEV向けバッテリー部品の生産能力が5倍になるといいます。
LGエナジーソリューションは、米国で最初のEV向けバッテリー工場を自動車産業が有名なデトロイトの西部に位置するミシガン州のホランドで2010年にスタートさせました。
米国内でのEVバッテリーの調達を担う
LGエナジーソリューションは、EVバッテリーで世界シェア20%以上を誇る世界2位のバッテリーメーカーで、テスラやフォルクスワーゲン、GMなどのEVにバッテリを供給しています。
新型コロナウイルスなどで崩れたサプライチェーンや、ロシア・ウクライナ戦争により資源国からのバッテリ資源の調達などの問題から、米国内で生産されるEVに対してのバッテリ調達を担うために、重要な役割を果たすことが期待されています。
EV向けのバッテリーは、従来のバッテリから、より高密度のバッテリーと新しい資源によるバッテリーの開発により安定的な供給が求められています。
サステナブルな電池の循環利用
EVやバッテリーの開発工場は、今後カーボンニュートラルとセットになります。つまり、今まで言われていたように、EVはバッテリの生産段階でCO2を大量に排出し、また電池の寿命がやってきたときにそれらが再利用されずにただのゴミになるからEVはエコではないという懐疑論はとっくに終わっていて、このような工場設立の際には、州や地域と環境配慮の面で、必ずこのカーボンニュートラルによる持続可能な工場であることが要求されています。
新しい工場は、963,000平方フィートの2階建ての建物が建築される予定で、上空からの地図を見てもその周辺に十分な用地が確保されており、工場拡張のフェーズ2に入ったと考えられます。
ミシガン州の取り組みにより進む持続可能な製品と工場
自動車産業で栄えたデトロイトを抱えるミシガン州は今後の再生可能エネルギーを活用した持続可能な製品の生産とその工場の誘致に前向きです。2022年3月にはEVバッテリー部品にも使われる「グラファイト」の加工や精製をミシガン州で行うようにして、サプライチェーンの混乱に強い安定したバッテリー生産体制を整えるため、香港のGraphex TechnologyとEmerald Energy Solutions により中国から輸入している原材料の調達先を将来的には、より輸入しやすい国からのものに変更していこうという計画があります。
グラファイトの加工施設としてミシガン州のウォレン市をその拠点として、その周辺のバッテリーメーカーなどに供給していこうというものです。
このように、企業再編やカーボンニュートラルを伴う製品の製造と、自国での安定した持続可能な生産体制構築の動きは米国各地で着々と進んでいるようです。