【2026年最新】新型インサイトEVはなぜ不人気?歴代の歴史とスペックから紐解く苦戦の理由
「エコカーの先駆者」として歴史を刻んできたホンダ・インサイトが、2026年春、第4世代となる新型乗用EV(電気自動車)として復活を果たしました。
しかし、鳴り物入りで登場し、国内限定3,000台という希少性を持ちながらも、市場の反応はどこか冷ややかで「不人気」「売れ行きが鈍い」といった声が聞こえてきます。
この記事では、EV専門メディア「ELECTRICLIFE」の編集部員として数々の最新EVを乗り継いできた筆者が、新型インサイトEVのスペックや歴代の歴史を徹底的に振り返りながら、「なぜ新型インサイトは不人気と言われてしまうのか?」その根本的な原因を忖度なしで紐解きます。
新型インサイトEV(2026年モデル)の基本スペックと特徴
まずは、2026年4月に発売された新型インサイトのスペックをおさらいしましょう。
新型インサイトは、2027年以降に展開されるホンダの次世代EV群「Honda 0シリーズ」への架け橋となるモデルとして位置づけられています。
| 項目 | 新型インサイト(2026年仕様)詳細 |
| ボディサイズ | 全長4,785 × 全幅1,840 × 全高1,570 mm |
| 車両重量 | 1,770 kg |
| パワートレイン | モーター(最高出力150kW / 最大トルク310Nm) |
| 航続距離 | 535 km(WLTCモード) |
| 価格 | 5,500,000円(税込) ※CEV補助金適用で約420万円〜 |
| 販売台数 | 国内限定 3,000台 |
快適性を極めた「個性派EV」
今回のインサイトの最大の特徴は、クロスオーバーSUVスタイルへの転生です。内装には12.8インチの大型ディスプレイや、6種類から選べるアロマディフューザー、BOSEプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)を搭載。「車内を心地よいマイスペースにする」というコンセプトが貫かれています。
詳しく後述しますが、私が実際に試乗した際も、EVならではの圧倒的な静粛性に加え、専用のアロマの香りが漂う空間にアンビエントライトの演出は、これまでのホンダ車にはない「プレミアムな移動体験」を感じさせてくれました。
歴代インサイトの歴史と「インサイトらしさ」の呪縛
新型の不人気を語る上で欠かせないのが、インサイトという車が持つ歴史とブランドイメージです。
- 初代(1999年): 世界最高水準の燃費を目指した、リアホイールスカートが特徴的な2シーターハイブリッド。
- 2代目(2009年): プリウスの対抗馬として登場した5ドアハッチバック。低価格でハイブリッドを普及させた立役者。
- 3代目(2018年): 上質なミドルサイズセダンとして登場するも、SUVブームの影に隠れ販売終了。

インサイトは常に「時代のニーズを洞察(Insight)する」という使命を背負って姿を変えてきました。しかし、長年のホンダファンにとって、インサイトとは「流線型の空力ボディを持った、革新的なエコカー(セダン/ハッチバック)」という強烈な原体験があります。
今回の「クロスオーバーSUVへのボディタイプ変更」は、時代のニーズ(SUV人気の高まり)を反映した結果ですが、古くからのファンからは「また名車の名前を使ってSUVにしたのか」という戸惑いを生んでしまったのです。
新型インサイトEVが「不人気・苦戦」と言われる3つの原因
スペック上は優秀で、乗れば非常に快適な新型インサイト。では、なぜ市場の熱狂を生み出せていないのでしょうか。理由は大きく3つあります。
1. 中国市場向けモデル「e:NP2」がベースであることの流用感
新型インサイトは、日本専用の完全新設計モデルではなく、先行して中国市場で投入されたホンダのEV「e:NP2」がベースとなっています。

専用に足回りなどをリチューンしてはいるものの、目の肥えた日本のEVユーザーからは「中国市場のお下がりをインサイト名義で売っているのでは?」という厳しい見方をされてしまっているのが実情です。
2. 角ばった直線的デザインと実車とのギャップ
今回、最も物議を醸しているのがそのエクステリアデザインです。新型インサイトは、直線を基調としたエッジの効いた「角ばったデザイン」を採用しています。

SUVとしての力強さや先進性をアピールする意図は理解できますが、先述の通り、インサイトと言えば「空力流線型ボディ」が代名詞でした。この歴史的な文脈を無視したかのようなソリッドで箱型に近いフォルムに対し、SNSや自動車フォーラムでは「これのどこがインサイトなのか」「空気抵抗が悪そうに見える」といったネガティブな評価が目立っています。名車の名前を冠したからこそ、デザインのギャップが不人気の一因となってしまっているのです。
しかし、ウェブページや写真から受ける印象と実際に見た感じが随分違うというギャップが大きいのも、この車の不思議たところです。
3. ホンダの国内ブランドイメージとのギャップ
※日本自動車販売協会連合会などのデータが示す通り、現在のホンダの国内販売は「N-BOX」に代表される軽自動車や、コンパクトミニバン「フリード」が屋台骨を支えています。
「実用的でコスパが良いホンダ」というイメージが定着している中、550万円のプレミアムEV・SUVをポンと受け入れる土壌が、現在のホンダの顧客層と必ずしもマッチしていないという構造的な課題があります。
試乗して分かる新型インサイトEVの不思議
さて、ここからは、ELECTRICLIFEスタッフが実際に試乗して感じた「新型インサイトEV」の不思議について、ご紹介します。今回もホンダカーズ埼玉西さんで試乗させていただきました。いつもありがとうございます。
先に結論から言えば、現在直面している「不人気」の評価は、決してクルマ自体の出来が悪いからではありません。良い車であるにもかかわらず、購入するはずのターゲット層も感じる若干の違和感にあるのだと感じます。
それは、写真と実物で見た目のデザインが大きくかわってしまっているのです。なので、実際にディーラーで実車を見ると大きさ、デザインのイメージが大きく変わります。
第一印象で感じる「デカさ」
第一印象で感じるのは「デカい」という事です。思ったよりも幅も高さも長さも全て大きい印象を受けます。フロントの部分のカクカクした印象も実物ではかなりフィットしているように見えます。

また、リア側にも長さを感じるデザインです。全長が4,785㎜とかなり長く、高さも1570㎜あり、入れない立体駐車場が殆どです。この直線的な線のラインもありつつ、リアに向けての丸みを帯びた曲線、そしてフロントとリアがまた直線的なデザインという独特のデザインが、実際の見た目と写真写りとのギャップを大きく生む要因となっています。

快適な車内空間
まずフロントシートは、視界も良く、シンプルなデザインとカラー調整可能なアンビエントライトがインパネからフロントドア、リアドアへと車内全体を包んでいます。超準装備のBOSEプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)でフロント・リアともに高音質のドライブを楽しむことができ、運転席側再度にアロマをセットして、その香りの種類をセンターパネルで自在に操作し、乗るたびに自分好みの香りを楽しめます。

センターパネルの下には、非接触充電とUSBのType-Cが2つ用意されています。ドライブモードの切り替えや、シフト、サイドブレーキ(ホールドボタン)などは、運転手の左手元に集めることで、助手席側への移動もできるサイドウォークスルーも実現しています。

リアシートも足元が十分に広く、ドアにはシートヒーターのコントロールボタンもついていて、音響、空調、温度とあらゆる面で長距離の移動を快適に過ごせる印象です。リアシートの広さや本革シートの高級感、乗り降りの際の車高の高さと天井の位置などから受ける印象として、大切な人をリアシートに乗せることが多い人のための車のようにも感じます。

また、荷室も非常に広く、ゴルフバックも横置きできる十分な幅をもっています。

正直、これだけのインテリアへのこだわりと全体的な高級感なら、即売り切れと言われていても不思議ではないのに、なぜ市場に受け入れられないのでしょうか。
ズバリ、少し時代がずれてしまった?
高級感あり、充実のインテリア、大容量の荷室と、実物を街中でみれば意外と溶け込む良いデザインの新型インサイトEVですが、ペルソナを考えると、まだ家族と行動する子どもがいる4人家族で、定期的に田舎に帰省するなど遠出もするが、大切な上司やお得様を乗せてゴルフに行く。だからある程度外観も高級感のある車で、多くの人が乗っている車でないモノ・・・という、出世街道を進むサラリーマン家庭にありそうなイメージが湧いてきますが、このような生活は少し前のもので、今では、生活スタイルなども多様化し、ニーズに当てはまらなくなってきていると考えられます。ましてやそういった世帯がもっとも電気自動車(EV)を受け入れにくいのではないでしょうか。
そして、そういった時代の人たちは、もうとっくに退職し、子どもも大きくなってゴルフもやらなくなり、プレリュードやフェアレディゼットなど、かつて若いころに欲しかった車を選択、あるいはハーレーなどを楽しんでいるかもしれません。
電気自動車への関心の向上が重要
やはり、現在のように、まだまだ電気自動車(EV)への理解が低い状態では、このようなクラスの車は売りにくいのかもしれません。
東京都などでは手厚く補助金が用意され、信じられないような価格でEVが購入可能な今、アーリーアダプターからアーリーマジョリティ―がEVに手を出し始めたころ、インサイトのような車も売れ始めるのでしょう。
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