暮らしに不可欠な電力を届ける送電網に必要な「鉄塔」
日頃何気なく利用している私たちの暮らしの中にある「電力」は自然の中にあるものではなく、人が便利な暮らしを送るために作り、それを各家庭に安全に安定的に届けることで利用可能になっています。
発電所で作られた電力は遠方から「送電線」を使って送られ、変電所などで電力の調整を行いながら私たちの自宅に届けられます。その送電網は送電線と鉄塔によって繋がっていますが、これらの建設や点検・管理などに従事する人々のことを「ラインマン」と呼んでいます。ラインマンは設計から鉄塔の基礎工事、組み立て、架線電工などを行います。時には、100mを超える鉄塔に上って作業することもあります。
ラインマンの認知度向上「ラインマンネットワーク」
私たちの電力を支えるラインマンの仕事はとても重要なものの1つです。より多くの人に鉄塔の知識を広めるための情報サイトとしてラインマンネットワークと呼ばれるサイトがあります。このサイトでは、初心者にも送電電工を広く理解してもらえるために素人と鉄塔マニアのトーク番組「鉄塔研究会」なども配信されています。
更に、ラインマンのTシャツやシリアルナンバー入りの鉄塔カードなど、鉄塔ファンのためのグッズ販売なども行っています。
鉄塔の魅力にひかれるファンが増えている
人工的に作られたスケールの大きい構造物などにはファンがついたりしますが、鉄塔もその1つのようです。何気なく撮影した写真の鉄塔が、空や夕日の中で映えて写っているのに惹かれはじめ写真を撮るようになったり、珍しい形のものを見かけついつい写真をとったりと、潜在的なファンも多いそうです。
鉄塔の歌もある
2019年の10月にはNHKの長寿番組「みんなのうた」で鉄塔のうた「鉄塔」が紹介され、1ヶ月ほど放映されていました。この歌は番組のために南壽あさ子(なすあさこ)さんが書き下ろしたものです。軽快なリズムとユニークな歌詞、美しい歌声が耳に残ると番組からCD発売の問い合わせが多かった曲ということです。YouTubeでの再生回数も非常に多い曲です。
認知度の向上から従事者の増加へ
どの分野でも人材不足が言われていますが、電気関連の仕事で特にこの鉄塔に係る送電電工に従事する人の数もまた不足していくと予想されています。現在全国でおよそ10,000人のラインマンがいて、鉄塔に上って作業する人は5,700人、電線に乗り出して作業する作業員は3,200人と言われています。全国にはおよそ24万基の鉄塔があると言われていて、これらをこの人数で管理しているという事です。
今後カーボンニュートラルの流れが進み、電力の活用が更に進むことで全国津々浦々へと送電網が拡大していく事でしょう。鉄塔ファンが増えることで、私たちの生活のあらゆるサービスを支える電力網を整備するラインマンへの認知度向上と就労につながることを期待します。
関連リンク
- LINEMAN NETWORK(ラインマンネットワーク)
- 一社)送電設備技術研究会
- LINEMAN NETWORK YOUTUBE
- みんなのうた「鉄塔」
- 電気のプロフェッショナル集団ETSとボルダリングジムが提携