令和3年度補正予算のCEV補助金終了時期が早まる
令和3年度補正と令和4年度予算で実施されている電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド(PHEV)、燃料電池自動車(FCV)更にV2H充放電設備などの導入補助金について、その終了時期が更に早まる恐れがあることが経済産業省より発表されました。
具体的には、10月下旬に申請受付終了となる予定だったCEV補助金の終了時期が10月中旬~下旬になる見込みで、2022年7月25日時点で177億円あった予算残高は8月29日の段階で126億円となり、1ヶ月で51億円消費したことから、10月末までの残り2か月間は更にその消費が加速すると予想されたことになります。
実際にこの補助金を担当している一社)次世代自動車振興センターによれば、個人やディーラー担当者などからの終了時期に対する問い合わせが多く、今年度予算に間に合わせるための対応を行っている自動車メーカーもあることから補助金の消費スピードが加速しているようです。
8月の終了見込み発表により在庫車物色の動きが加速
経産省が2022年8月2日に発表した7月25日現在での補助金利用状況により、補助金の受付が10月末で終了と発表がされてからは、既に電気自動車を申し込み、11月や12月の納車の人たちからディーラーへの問い合わせが急増しているという事でした。昨年の予算額に比べ本年度予算については大幅な増額がされていたため、多くのディーラーで「年内はギリギリ大丈夫」のような案内がされていたことから、間に合わないのなら車両をキャンセルしたいなどの声も多く聞こえてきました。実際にキャンセルも出ていたようです。
自動車メーカーによっては、在庫車を用意しているメーカーもあり、既に組みあがってしまっている在庫車は、色やグレード、オプションなどが決まってしまっているため、自分が欲しい仕様が選択できないにもかかわらず、最大95万円という莫大な補助金をあてにして、「あるものでいい」という在庫車を物色する動きがあり、これら在庫車もあっという間に売り切れとなりました。
概算要求による来年度CEV予算の報道で現場は混乱
一方でカーボンニュートラルへのシフトにより人気を集めているEVの納期は来春以降となっているものも多く、人気車種については受注停止になっているものもあります。これでは補助金が間に合わないからとキャンセルした人たちが、来年度概算要求にCEV補助金が乗ってきたということでは話が別になってくるわけで、キャンセルを無しにしてほしいなど、現場では混乱がはじまっています。現段階では来年度補助金は確定では無いため、これについても何とも言えないのが顧客対応をしている人たちの気持ちです。
昨年の補助金終了は急にやってきた
前回のCEV補助金終了は突然やってきました。当サイトでは何度も取り上げている「補助金間に合わなかった」という話、ですが、昨年も途中の発表では、11月末ごろに終了というアナウンスがされていました。
ところが、10月末ごろになり、いきなり「11月8日に終了します。」と突然のアナウンスが行われました。駆け込み需要は恐ろしく加速するもので、なんとか1人でも多くの顧客を間に合わせたいという思いで納期短縮の努力を行っているメーカーなどにより、今年もこのような可能性があります。
令和4年度補正との空白期間が広くなる可能性
万が一10月初旬に終了することがあれば、補正予算が決定するまでのおよそ2か月間補助金が適用されない期間が発生することになります。昨年は同時に令和3年度予算も走っていたため、半額にはなったものの補助金を受けられましたが、今年はそのような補助金が無いため、メーカーによる登録日の調整などの対応がなければ補助金は完全に受けられなくなります。
補助金は受ければそれなりの義務もついてきます。
CEV補助金はその金額の大きさからあてにしたくなるものです。しかし、万が一この2か月間の空白の期間にあたり、かつ補助金が受けられなくなったとしてもEV導入は是非進めてほしいと思います。
まず、補助金と言うのはすんなりもらえるお金ではありません。多額の補助金を受けるからには、毎年利用状況を国に通達する義務が発生します。運用状況のアンケートへの回答などやらなければならない事は多く、これらを果たさなければ補助金の返納を行わなければならない事態も発生します。
また、4年間は処分できないというルールもあり、この間に売却や廃車などを行った場合、利用期間により補助金の返納を行わなければなりません。(>>車両を処分する場合の手続き)
そして、今回の補助金には「地域で災害が発生した場合には可能な範囲で給電活動に協力する」という条件が付いていることも忘れてはいけません。
緑色の交付申請が入った封書を受け取ったからには、それなりの対応も必要という事ですので、空白の期間に入った人はそういった煩わしい縛りがなく自由があると納得するしかありません。