電気自動車の性能の詳細を見れる便利なOBD
OBDは「On Board Diagnosis」の略で、自動車メーカー共通の通信規格や故障コードを用意して、自動車の様々な情報を取得して故障診断などに用いるために用意されている機器の名称です。現在はOBD2と第二世代の規格により世界共通化が行われ、2008年10月以降に製造された自動車全てに取り付けが義務付けられているものです。
電気自動車(EV)などでは、先進的な安全運転支援システムやモーター、バッテリー制御など様々な電子制御部分のデータを可視化することにより自動車の状態を見ることができます。EVのバッテリー残量表示は余裕をもって表示されているため、実際の残量やバッテリーの充電速度、温度など詳細が可視化することができるため、EVの性能を引き出すために、その知識を深めるツールとしてとても便利です。
海外のサイトや有名ショッピングサイトなどで低価格にて誰でも入手可能です。種類も様々なものがあり、設定も簡単で、スマホ画面にいつでも自分のEVの状況を表示しておくことができますが、この利用には注意が必要です。
日本で技適マークのない無線OBDは電波法違反になります
気を付けていただきたいのが、スマホ画面で表示させるような、BluetoothやWiFiなど無線通信を利用したOBDを利用する場合です。日本では無線通信機器を使う場合、電気通信事業法に基づく「技術基準適合認定」を受けるか電波法に基づく「技術基準適合証明」を取得し、これを確認するための「技適マーク」のある製品以外の仕様は認められていません。
海外の「FCC」「CE」マークがある場合は?
技適マークは本体もしくは説明書や箱に表示されているもので、そのどこにも表示がないものは技適認証を受けていないという事になります。海外にも同様に、米国なら「FCC」、EUなら「CE」のマークがあり、スマートフォンはもちろんWi-Fi機器など無線通信を行うものにはこれらすべてが付いています。FCCやCEのマークがついていたとしても日本の技適マークがついていなければ原則として利用してはいけないものになります。
※ただし、機器によっては別の機関が定める基準を満たすことによって、海外旅行など期間を定めて利用を許可しているものもあります。
電波法違反は罰則もあります
OBDにはBluetoothもしくはWiFiで利用するものがあり、技適マークが無いものはそのほとんどが電波法に抵触する恐れがあります。これを無視して利用していると、電波法第百十条に抵触し「1年以内の懲役、または100万円以下の罰金」に処される場合があります。
無線タイプのOBDを合法的に使う場合はどうしたらよいか?
技適マークの付いた製品を購入する
どうしてもOBDを使いたいのなら最も簡単な方法は技適マークの付いたものを購入するという事です。海外の製品であっても日本の技適を取得しているものがあるようなので、これを使うのが最も安全な方法です。
無線通信を使わないOBDを買う
技適はあくまでBluetoothやWiFiなどの無線通信を行うものに対してのものであるため、有線で接続するモニタの付いたタイプのOBDを利用すれば問題ありません。
OBDは技適を満たしていないから絶対にできないというわけではありません。合法的に利用するにはいくつか方法があります。
技術基準適合証明を受ける
これは個人では現実的ではありません。主に無線機器メーカーなどが製品を販売する前に行う手続きで、それなりの多額な費用と労力を要します。輸入品などについては、その製品の回路図や送信系統図を添付し、出力電力や周波数、電波の質などを専用の機器で測定し、機器1台ごとに審査を受けて証明が行われます。
>>登録証明機関一覧
技適未取得機器を用いた実験等の特例制度
最大180日間という短期間の実験等のみを目的とする場合については簡単な手続きを行う事で利用が可能になります。無線の規格、周波数帯などが以下の範囲内のもので、一定条件をクリアした製品に関しては、このルールで利用できます。以下の記事も参考にしてください。
電波法は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的としています。有限な「電波」を利用するには細かくルールや罰則が定められていますので法律違反にならないように注意が必要です。