あのデロリアンがEVで帰ってくる!
時速88マイル(140km/h)に到達するとタイムトラベルできる夢のマシン「デロリアン」。
映画「バックトゥーザフューチャー」でタイムマシンに改造されたデロリアン・DMC-12は、デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)が1981年に製造した唯一の車です。
DMCは1975年にGM(ゼネラルモーターズ)の副社長だったジョン・デロリアンが新しいクールな自動車を開発するために創業した会社です。DMC-12発売直後の1982年にジョン・デロリアンが逮捕されるというスキャンダルにより会社は倒産に追い込まれてしまいました。この事件の3年後、映画バック・トゥ・ザ・フューチャーの公開で世界中のだれもが知る車となりました。
DMC倒産後、この権利を取得したスティーブン・ウィンにより現在でもDMCの名前で世界に6500台ほどしかリリースされていないデロリアンのメンテ、修理用パーツの供給などを行う会社として存続してきました。2022年現在では、CEOがJoost de Vries氏となりDMCは続いています。
そして2022年5月上旬、DMCの公式サイトでEVとしてリニューアルされたデロリアン・アルファ5の姿を5月30日(日本時間5月31日13時)に発表するとしていました。
姿を現した次世代のデロリアン
デロリアンはその代名詞ともいうべき「ガルウイング」を残し、マーティーが行った未来である2015年の更に先の2022年に電気自動車として新しい姿を現しました。燃料はプルトニウムでもなく、生ごみでもなく、バッテリに蓄電した電気で動作します。モデル名はDELOREAN ALPHA5となっています。
当時のモデルDMC-12は2シーターでしたが、今回発表されたモデルではリアシートもしっかり装備されています。
ホワイトバージョンを見ると一瞬ソニーのEV「VISION-S 01」にも見えてしまいます。Vision-Sは後部座席用にもドアがあり4ドア仕様ですが、デロリアンは後部座席の乗り降りもガルウイングを開いて行うようです。
EVとしてのスペックも公開された
そして、新型デロリアンのスペックも公開されました。現CEOのヨースト・デ・フリース氏は公式サイトで「アルファ5は運転を愛する人のためのものだ」と言っています。
EVの加速性能を表す時に用いられる0から時速60マイル(およそ100km/h)に達するまでにかかる時間は2.99秒となっていますが、タイムトラベルに必要な時速88マイル(約140km/h)に達する時間も表示されていて、その時間は4.35秒となっています。
最高速度は155mile/h(約250km/h)で、バッテリーは100kWh搭載し、満充電での航続距離が483km程度になるようです。残念ながら現段階ではフラックスキャパシタを搭載したタイムトラベル機能は搭載されておらず、タイヤを畳んで空を飛ぶ機能も搭載されていないようなので、発売までに搭載されることに期待したいところです。
8月に実車公開し、生産開始は2024年
DELOREAN ALPHA5は米国カリフォルニアの名門ゴルフコース「ペブルビーチ」で開催されるペブルビーチコンクール・デ・エレガンスアワードの会場にて8月21日に実車が初公開される予定です。
また同時期に、量産化に向けた体制を整えるための株式公開(IPO)も行う予定とし、新たな資金調達も計画しています。
DMCは設計までを担い、製造に関してはイタリアの企業に外部委託し、2024年から生産を開始するとしています。
映画の未来を超えた今、人気車種になるか?
映画の中で、魅力的な改造が施されたデロリアンはあまりにも有名な車になりました。映画の中の未来(2015年)を超えた今、TeslaやLucid、NIO、Xpengなどが先進的なEVをリリースし、TeslaのModel Xなどは、デロリアンのお株を奪う「ファルコンウイング」を搭載しています。
EVとしてのスペックを見ても今のままでは他のEVと差別化できる魅力もないため、発売までに空は飛ばないまでも、デロリアンらしさと言える特徴をもってほしいところです。