自動運転には5段階のレベルが用意されている
既に海外などで実用化がはじまっている完全自動運転ですが、この「完全」な自動運転は最終的にドライバーが全てを自動車に任せて運転をする、まさに夢のような自動運転です。下の動画は自動運転でおなじみ「テスラ」の完全自動運転(FSD:Full Self Driving)の様子です。
自動運転は5段階のレベルが設定されています。レベルを紹介する前にここで使われる用語を説明しておきます。
- AEBS:自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)
(アドバンスド・エマージェンシー・ブレーキング・システム) - ACC:前の車に距離を保って自動でついていく
(アダプティブ・クルーズ・コントロール) - LKAS:車線の中央を維持するステアリング操作支援
(レーン・キープ・アシスト・システム)
各レベルの違い
- レベル1:運転支援(AEBS、ACC、LKASを行う)
アクセル・ブレーキ操作、またはハンドル操作のいずれかを実行 - レベル2:レベル1の組み合わせ(ACC+LKAS)、分合流、追い越し
アクセル・ブレーキ操作とハンドル操作を両方実行 - レベル3:条件付き自動運転(右折左折停止などを行うも、ドライバーも介入)
- レベル4:特定条件下で完全自動運転(高速道路、十分な広さの道路など)
- レベル5:完全自動運転(すべての道路条件をシステムのみが運用)
このような自動運転のレベル設定が用意されています。国土交通省が定義によれば、レベル1,2はドライバーによる監視を主体とした「運転支援」という事になり、自動運転とされるのはレベル3~5という事になります。
日本ではどのレベルまで許される?
日本では2020年4月から、「自動運転レベル3」までの自動車が公道を走れるようになっています。レベル3からは自動運転と呼べるため、運転者がハンドルから手を放して、運転をシステム側に任せることが可能になります。
道路交通法はどうなっている?
「自動運転装置」とは、各種センサーやコンピュータを用いて人間が行っている認知、予測、判断をシステムが代わりに行う事ができるシステムの事をいいます。これが道路交通法上でも人が行う「運転」と同じように定義されたため、自動運転レベル3が出来る事になっています。
責任の所在はどこ?
良く議論される、責任が人間にあるのか?それともシステム側にあるのか?という点ですが、まず「レベル3」については、システムが全ての運転タスクを行うも、自動運転が困難になった場合には警告を発して運転者にバトンタッチしなければなりません。運転者が運転できる状態で準備しておかなければならないため、システムが重大なバグや不具合を抱えていない限り、事故や違反などの責任は運転者にあるという解釈になります。
また、自動運転の状況を確認するために、自動運転の動作状況を記録して保存しておくことも義務付けられています。これにより、事故や違反が発生した場合に、自動運転中だったかどうかを確認し、それについてのドライバーの対応などを調査していくことになるでしょう。
今後の動向
政府は2022年3月の段階で、特定条件下で完全自動運転を実現する「レベル4」での公道走行を許可する道路交通法の改正案を閣議決定しました。これにより、2022年度内には「レベル4」での自動運転が解禁となる予定です。
このレベル4になると、特定条件下ではドライバーがいなくても車両が走行してよいことになるため、バス・タクシーなどの公共交通網などでの運用が開始される可能性があります。
運転者がいない自動運転は「特定自動運行」と定義され、事業者は公安委員会から事前許可を受け、遠隔監視の主任者配置なども義務付けられます。
一般車両はどうかというと、狭くてカーブの多い日本の道路事情を考えると、安全に走行できるレベル4の自動運転が導入されるには、さらなる技術革新や走行データなどの集積による自動車の最適化は必須であるため、もう少し先の話しになることでしょう。