補助金なければ、8月以降200円以上と高値が続く
資源エネルギー庁は、2022年11月現在のガソリン価格については2022年4月に行われた関係閣僚会議における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に基づき、原油価格高騰が日本市場の経済回復の重荷になる事態を防ぐために、燃料油の卸売価格抑制のための手当てを行うための「燃料油価格激変緩和補助金」を実施しています。
これはガソリンの小売価格を例年通りの価格に抑えるために、燃料油元売り業者に対して行われている処置で、2022年4月25日からは、全国平均が168円程度になった段階で1リットル当たりの上限を35円とし、更に超過した分については1/2を支援するとしています。
今年6月20日の週を見てみると、ガソリンの全国平均価格が215.8円と直近での最高値を記録したため、この時は1Lあたり41.9円の補助金が支給され、価格を174.9円に抑えるという事になりました。11月7日の週でも1Lあたり37.6円の補助金を支給している状況で、8月15日の週以降は、レギュラーガソリンについては200円を超える水準をキープしています。
補助金は当初9月末までを12月末まで延長
補助金の予算額は令和4年度補正予算として1兆1,655億円という多額の予算額を用意して2022年上半期への対応としてきた。対象となる油種については、ガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料としていて、当初2022年9月末までとしていたものを、あっさりと2022年12月末までと延長しました。
政府は今後への備えとして一般予備費から4,000億円、新型コロナウイルス感染症及び原油価格物価高騰対策予備費として1兆1,200億円の合わせて1兆5,200億円の予備費まで用意しています。
一般家庭での需要も高まる冬の灯油
2022年~2023年の冬は例年並みか、やや寒くなるとされています。冬の時期になれば一般家庭での灯油の需要も高まり、ガソリン車の燃費も悪くなるため燃料油需要は高くなってきます。2022年末までとしているこの補助金も、本格的な寒さを迎えるのは年明けの1月、2月という事を考えると、予備費から出さなければならない状態になってくる事は間違いありません。
すでに灯油価格にも適用されているこの補助金は、11月7日の週の段階で149円にまで高騰している灯油価格を1Lあたり37.2円の補助金を使って111円台に抑えている状態です。
電気料金との兼ね合いで増える灯油の使用量
日本の一次エネルギーは、およそ85%が化石エネルギー由来(石油36.4%、石炭24.6%、LNG23.8%)であり、この燃料はほぼ輸入に頼っています。つまり、日本の電力も殆ど化石エネルギーです。そのため、電気料金についても「燃料調整費」として毎月値上げが行われています。
例えば1世帯あたりの平均的な電力使用量は、1カ月当たり337kWh程度となっています。2022年1月の燃料調整費は1kWhあたり-0.53円でしたので、電気料金が30円の場合、1ヶ月の電気料金は337kWh×30円=10,110円、燃料調整費は337kWh×(-0.53)円=-336円、1ヶ月の合計は9,774円でした。
2022年11月の燃料調整費は1kWhあたり、9.72円ですので、およそ3,276円ですので、1ヶ月の電気代は13,386円、と電気代は1年間で37%上昇しています。
今年の冬も電力のひっ迫は予想されることから、電気の使用を控える「節電要請」が出されれば、寒さをしのぐためには「灯油」に頼ることになります。高騰した電気料金と比較しても灯油価格の方が圧倒的に高くなるため、さらなる家計への圧迫が懸念されます。
これらを考えると、補助金の打ち切りは、非常に困難な状況となり、補助金の継続適用が必要になります。しかしながら補助金は一時的なもので、根本的な解決にはなっておらず、使ったお金は将来税金として回収されていくものになります。
家庭での上手なエネルギー活用が急務となってきています。