木曜日 , 10月 30 2025

マツダ プレスカンファレンス【JMS2025】

マツダの挑戦:ロータリーPHEVと「走るほどCO2を減らす」技術で描く2035年モビリティの未来

マツダは「JAPAN MOBILITY SHOW 2025」において、2035年に向けた未来へのロードマップを発表しました。マツダの原点であり、未来の挑戦のコアとなるテーマは、「走る喜びは地球を笑顔にする」です。

人類共通の使命であるカーボンニュートラル達成を目指し、マツダはモビリティが単なる移動手段から社会へ繋がる存在へと変貌を遂げる中で、「走る喜びこそが社会と地球の未来を良くする力になる」と確信しています。今回は、マツダがマルチソリューションで実現を目指す、驚くべき技術とビジョンモデルについて深掘りします。

走るほどにCO2を減らす!革新的な循環型モビリティ

マツダが目指すのは、「走るほどにCO2を減らす未来」です。これは、車両を走らせる燃料と、そこから排出されるCO2の両方に対処することで実現されます。

1. 微細藻類由来カーボンニュートラル燃料の可能性

未来の燃料の鍵となるのが、微細藻類由来のカーボンニュートラル(CN)燃料です。

微細藻類は、成長過程で大気中のCO2を吸収し、その細胞内に油成分を蓄積します。この油成分を生成することでCN燃料が生まれます。マツダはこの研究において、1,000Lの培養槽から約2週間で1Lの燃料を生成するという理論目標に到達しています。

さらに特筆すべきは、燃料成分を抽出した後の藻にも多くの栄養素(タンパク質など)が含まれており、これらが健康食品や有機肥料として活用できる点です。これは、燃料生産から廃棄物処理までを見据えた循環型のシステムを示唆しています。

2. CO2回収装置「マツダ モバイル カーボン キャプチャー」

もう一つの革新技術が、排気ガスから直接CO2を回収する技術です。エンジンからの排気CO2濃度は、大気中のものよりも非常に高いという特性を利用し、マツダは「マツダ モバイル カーボン キャプチャー」というCO2回収装置を開発しました。

この装置により、効率的にCO2を集めることが可能になります。回収されたCO2は、単に貯蔵されるだけでなく、農作物の成長促進や高機能カーボン素材などへの再利用が可能です。

マツダは、この技術を搭載した車両(マツダ 55号車)で、来月よりスーパー耐久レースに参戦し、実証実験を開始する予定です。これにより、走ることが単なる移動を超え、モビリティが循環型社会に貢献する未来が実現します。

2035年のモビリティを象徴する2つの「ビジョンモデル」

マツダは、これらの未来の技術と哲学を象徴する2つのビジョンモデルを発表しました。

1. マツダ ビジョン クロス クーベ(MAZDA VISION CROSS COUPÉ):次世代ロータリーPHEV

このモデルは、魂動デザインを次のステージに押し上げるデザインを纏っています。最も注目すべきは、そのパワートレインです。

システム構成: 2ローターロータリーターボエンジンとモーター・バッテリーを組み合わせたプラグインハイブリッドシステム(PHEV)を搭載。

性能: システム出力は510馬力を誇ります。電動モーターによる航続距離は160km、エンジン併用での総航続距離は800kmを実現し、電動化とエンジンのベストバランスを達成しています。

未来の体現: この「ビジョン クロス クーベ」が、前述のCN燃料と「マツダ モバイル カーボン キャプチャー」を組み合わせることで、いつまでも運転を楽しむほどに大気のCO2を減らすという、マツダの2035年の未来を体現しています。

2. マツダ ビジョン クロス コンパクト(MAZDA VISION CROSS COMPACT):車との絆の進化

このコンパクトモデルは、「人との車関係性の進化」を象徴しています。マツダは、人が車を通してどのように感じ、心を動かすのかを科学的に解明する「人体感性モデル」の研究を進めています。

この研究と共感型AIの融合により、車はドライバーの意のままに可能性を広げてくれる存在となります。デザイナーは、車がまるで「心地よい距離感の友人」や「親友」のような存在になる未来を描いています。車があなたの気分に合った場所へ連れ出し、運転をサポートし、あなたの主体を叶えてくれる「心を通わせる人馬一体の関係」の実現を目指しています。

ベストセラーCX-5が切り開くスマートモビリティの現実

こうした未来への技術革新は、すでに我々の身近なモデルにも反映され始めています。100以上の国と地域で450万台以上を販売してきたベストセラー、マツダ CX-5が8年ぶりにフルモデルチェンジを果たします。

新型CX-5は、マツダの代名詞である魂動デザインと人馬一体の走りを磨き上げるだけでなく、最新のテクノロジーが搭載されます。

プラットフォーム: 電子プラットフォーム「マツダ EEアーキテクチャー」を搭載し、モダンな大型ディスプレイを装備。

AIとの融合: 将来的には、GoogleのAIアシスタント「Gemini」へとアップデートされる予定です。運転中に「少し寒いかな」と話しかけるだけでエアコンが自動調整されたり、音声だけでシートヒートを操作したり、まるで親友が隣にいるような新しい運転体験が提供されます。

マツダは、この人中心の哲学とテクノロジーの融合こそが、日々の移動をより快適に、生活をより豊かにし、「走るほどに人生が豊かになる」未来を実現すると強調しています。

走る喜びが地球を笑顔にする2035年へ

マツダが描く2035年のモビリティの未来は、ただ単に電動化を進めるだけでなく、走る喜びを追求しつつ、走るほどにCO2を減らしていくという、環境と楽しさの両立を目指したものです。

「走る喜びは地球を笑顔にする」。マツダの挑戦は、私たちがいつまでも車を好きでいられる、持続可能で豊かなモビリティ社会の実現に向け、力強く進んでいます。

関連リンク

マツダ(JAPAN MOBILITY SHOW 2025特設サイト)

About Electric Manager

大学時代に電子工学を専攻し、電気自動車やソーラーカーの研究を行う。 電気工事士の資格も持ち、自動車メーカーでの電気自動車関連の仕事や電力会社での電気工事、その後は充電スタンドV2Hの営業など弱電から強電まで広いエリアを専門としています。

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