水曜日 , 11月 12 2025

スバルBEV 新型「ソルテラ」の進化と「トレイルシーカー」の全貌。bZ4Xとの違いから選ぶべき一台を解説

スバルがバッテリーEV(BEV)市場で本格的な攻勢をかけています。トヨタと共同開発した初のグローバルEV「ソルテラ(SOLTERRA)」が大幅な年次改良を受け、その実力を大きく向上させました。

さらに、2025年のニューヨーク国際オートショーやジャパンモビリティショーで、スバルファン待望の新型BEV「トレイルシーカー(TRAILSEEKER)」が発表され、大きな話題を呼んでいます。

「ソルテラの改良点って何?」「兄弟車のbZ4Xとどっちを選ぶべき?」「トレイルシーカーってソルテラと何が違うの?」

そんな疑問を持つ方のために、スバルのBEV2台を徹底的に比較・解説します。


1. 大幅進化!「ソルテラ」は初代(初期モデル)から何が変わったか?

2022年に登場したソルテラは、数度の年次改良を経て、特に2025年モデル(2025年秋発表)で大幅な進化を遂げました。

弱点克服と走行性能の劇的向上

初期モデルで指摘されていたいくつかの課題が、見事に改善されています。

  • 充電性能の向上:
    • バッテリーの温度を最適化する「バッテリープリコンディショニング機能」を新たに採用。これにより、特に低温環境下での急速充電時間が大幅に短縮されました。
  • 航続距離の延長:
    • バッテリー容量を従来の71.4kWhから74.7kWhに拡大(セル数を増加)。これにより、実用的な航続距離が大幅に向上しています。バッテリー容量はこの1種類にしているところで、航続距離と電費性能についてのこだわりが感じます。
  • 動的質感(走り)の進化:
    • ボディ剛性の向上に伴い、サスペンションのセッティングを最適化。乗り心地と操縦安定性が格段に向上し、よりスバルらしい上質で安定感のある走りを実現しました。スバルと言えばボクサーエンジンなどで、従来から低重心の安定した走りを実現してきましたが、BEVはバッテリが車体下にあり、ボクサーエンジンの安定感に似た印象を受けます。

デザインと装備の洗練

  • 都会的なエクステリア:
    • フロントデザインを刷新。スバルのアイデンティティであるヘキサゴングリルをモチーフにしたシームレスな造形や、新しい6連デイタイムランプ(Cシェイプ)、発光式の六連星オーナメントを採用し、より先進的で都会的な印象になりました。
    • これまでbZ4Xとの違いが少なかったフェンダーアーチ(クラッディング)も、上位グレードではボディ同色が選択可能になり、洗練されたイメージを高めています。
  • 開放的なインテリア:
    • インパネデザインが横基調に変更され、より開放的で広々とした室内空間を演出。
    • 14インチの大型センターインフォメーションディスプレイを採用し、視認性と操作性が向上しました。

安全・機能の拡充

  • 安全性能のアップデート:
    • 「SUBARU Safety Sense」(スバルセーフティセンスベース)が機能拡充。「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」などが追加され、安全・快適性が向上しています。
  • 走りの楽しさを演出:
    • 異形ステアリングホイール(オーバルステアリング)を採用。
    • AWD車には、悪路走破性を高める「Grip-Control」を搭載した「X-MODE」が装備されています。

2. 兄弟車だけどココが違う! ソルテラ vs トヨタ bZ4X 徹底比較

プラットフォームを共有する兄弟車ですが、両車には明確な思想の違いが存在します。

最大の違いは「AWD制御」と「パドルシフト」

スバル ソルテラ

  • AWD制御: スバルが培ってきたAWD技術を反映。常に後輪にもトルクを配分するフルタイムAWD(常時全輪駆動)に近い制御を行い、あらゆる路面で高い安定性を目指しています。
  • パドルシフト: AWDモデルにはパドルシフトが装備されており、ドライバーの意思で回生ブレーキの強さを4段階で調整可能です。「S-PEDALモード」によるワンペダルに近い操作も楽しめます。
  • 走行モード: 「パワーモード」が設定されており、より鋭い加速(スポーティな走り)が可能です。
  • バッテリー容量:エントリーグレードでも74.7kWhという大容量バッテリを搭載し、航続距離は圧倒的に大容量。

トヨタ bZ4X

  • AWD制御: 効率を重視し、通常走行時は前輪駆動(FWD)に近い制御を行います。滑りやすい路面などで必要に応じて後輪にトルクを配分するオンデマンド型です。
  • パドルシフト: 装備されていません。(ブレーキ協調による回生は行われます)
  • 走行モード: パワーモードの設定はありません。
  • バッテリー容量:エントリーモードはGグレードが57.7kWhで、Zグレードが74.7kWhと2種類を用意している。

デザインと装備の差異

よりスバルらしい走りの安定感、AWD性能、パドル操作による運転の楽しさを求めるならソルテラ。効率性やトヨタのデザインが好みならbZ4Xが選択肢となります。また装備についてはソルテラが非常に充実しており、そのうえで価格をbz4Xよりも抑えてあります。2022年から発売を開始した旧ソルテラと比較して見違えるような進化を遂げました。


3. スバルらしさ全開! 新型EV「トレイルシーカー」とは何者か?

ソルテラが「都会的なクロスオーバーEV」へと進化したのに対し、トレイルシーカーは全く異なる方向性を持つ、スバルのBEV第2弾です。

「ウィルダネス」のEV版? タフ&ラギッドな本格SUV

トレイルシーカーは、北米で大人気のアウトドア向けグレード「Wilderness(ウィルダネス)」シリーズの思想を色濃く反映したモデルです。

SUBARU SOLTERRA 、TRAIL SEEKER ELECTRICLIFE
  • デザイン: ソルテラとは一線を画す、タフで無骨なデザイン。高い地上高、大型のクラッディング(樹脂フェンダー)、ルーフレールなどを備え、一目で「悪路に強そう」と感じさせるスタイリングです。
  • コンセプト: 「スバルらしさ」=「悪路走破性」と「アクティブなライフスタイル」をEVで体現。

ソルテラとの決定的な違い:悪路走破性

トレイルシーカーは、ソルテラ(およびbZ4X)よりも明確にオフロード性能を追求しています。

  • 最低地上高: ソルテラ(210mm)もSUVとして十分ですが、トレイルシーカーは同等か、それ以上の地上高を確保しつつ、アプローチアングルなども考慮された設計と見られます。
  • 新AWDシステム: ソルテラで培った電動AWD技術をさらに発展。情報によれば、後輪の出力を高めた新しいAWD制御を採用し、雪道や悪路でのトラクション性能(駆動力)を大幅に強化しているとされています。

4. あなたに最適なのはどっち? 用途別おすすめガイド

改良新型「ソルテラ」と、新型「トレイルシーカー」。どちらを選ぶべきか、想定される用途別にまとめます。

改良新型「ソルテラ」がおすすめな人

  • 主な用途は街乗りや通勤、高速道路でのロングドライブ。
  • 洗練された都会的なデザインが好み。
  • 「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」など、最新の運転支援・安全装備を重視したい。
  • EVの静粛性や快適性を最大限に享受したい。
  • bZ4Xと比較して、スバル独自のAWD制御やパドル操作による運転の楽しさに魅力を感じる。

新型「トレイルシーカー」がおすすめな人

  • キャンプ、スキー、釣りなど、アウトドア活動が趣味。
  • 雪深い地域に住んでいる、または悪路を走る機会が多い。
  • これまでのスバル車(アウトバックやフォレスターのウィルダネス等)のような、タフでラギッドなデザインを待っていた。
  • EVであっても、スバルならではの圧倒的な走破性を最重要視する。

スバルがBEVにいよいよ本腰を入れてきた

スバルは、BEV戦略において明確な2本柱を打ち出しました。これにより、EV戦略では遅れをとっていたとされてきたスバルが、あっという間に他社のEVに追いつき、そして価格的なメリットから追い越したともいえます。新型ソルテラの大容量バッテリ一択の選択はV2Hなどの活用も見据えた非常に潔い選択で、もはやユーザーの迷いを消すものとなっています。

そしてなにより価格的なメリット。補助金などを合わせれば400万円台前半で購入可能であるため、大容量バッテリでここまでの性能を実現してきたスバルのBEV「ソルテラ」は、いよいよスバルの本気を見せつける形になりました。

  1. 改良新型「ソルテラ」: 走行性能と快適性、先進性を大幅に向上させた「都会派オールラウンドEV」。
  2. 新型「トレイルシーカー」: スバルらしさ(悪路走破性とタフネス)を全面に押し出した「本格アウトドアEV」。

あなたのライフスタイルやEVに求める価値はどちらに近いでしょうか。

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About Electric Manager

大学時代に電子工学を専攻し、電気自動車やソーラーカーの研究を行う。 電気工事士の資格も持ち、自動車メーカーでの電気自動車関連の仕事や電力会社での電気工事、その後は充電スタンドV2Hの営業など弱電から強電まで広いエリアを専門としています。

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