移動手段から「感動空間」へ
「iPhoneが携帯電話の概念を変えたように、AFEELAはクルマの概念を変えるかもしれない」
2025年、EV市場に一石を投じたソニー・ホンダモビリティ(SHM)の「AFEELA(アフィーラ)」。CES 2025での量産モデルとしての「AFEELA 1」の発表から約1年、その全貌は単なる電気自動車(EV)の枠を超え、巨大な「動くエンターテイメント」としての側面を強めています。
今回は、ELECTRICLIFE編集部がその詳細を徹底調査。12月に発表されたばかりのサプライズ機能や、現在銀座で開催されている実車展示イベントの情報も交えて、AFEELAの知られざる魅力に迫ります。
更に洗練された外観
AFEELAの名前がつく前やCESに展示された車両はのっぺりとしたデザインのコンセプトカーでしたが、北米での納車が間もなく始まる事もあり、いよいよ現実的なデザインがお披露目されるようになりました。外観デザインは非常にシンプルで、いつの時代にも飽きがこないようにデザインされています。

このシンプルなデザインは、機能性も高く、再度ウインドウとドアの境界あたりが丸みを帯びて広がっているのは、ドライバーや助手席、後部座席に乗った人たちが、車内では腕周りに広さを感じる仕組みになっています。また、充電ポートの上には、現在の電池の容量が緑色のバーとして表示されているため、オーナーがアプリなどを開かなくても、一目で電池の状態がわかります。

リアのデザインもシンプルで、普段は収納されているリアスポイラーが時速60kmを越えてくると自動的に立ち上がり、空力を調整します。AFEELAロゴのすぐ下には真後ろと左右後方を見るためのセンサーカメラが3つついています。

車外の人にも情報を伝えるインフォバー
外観の中でも最も特徴的と言えるフロントのインフォバーには、イラストや文字など様々な情報が、スマートフォンのアプリからここに送信する事ができます。車外の人に伝えたい情報、例えば充電の残り時間などが表示されれば、次の充電を待つ人にとっては重要な情報になります。

海外仕様はミラーがデュアル
すでに北米での予約がスタートし、間もなくデリバリーが始まる北米仕様のモデルは、通常のドアミラーと、デジタルミラーの両方が搭載されています。これは北米の安全基準がそのようなルールになっているからとの事。日本仕様の場合は、デジタルミラーだけになるようです。

ドアノブが無い!ボタンプッシュで開くドア
ドアは自動オープンにも対応していて、オーナーが車両と接続された携帯電話かキーを持って近づくと自動で開いたり、または、ピラーにカードキーをつけるか、ピラー下についているごく小さなボタンを押すと自動で開きます。障害物があった場合は少しだけ開くなど、周辺の状況に合わせて開閉されます。

トランクルームも思ったよりは広い!
セダン型の車両は、外から見るとトランクルームが狭そうに見えますが、思いのほか広く、ゴルフバックもしっかり積み込めます。

車両スペックは?バッテリはLGとの協働開発
気になる車両スペックは、AWDモデルのみとなっていて、バッテリ容量は91kWhと大容量のものを搭載。150kWの充電スピードに対応したリチウムイオンバッテリを搭載しています。このバッテリは、LGエナジーソリューションとHondaのオハイオとの合弁会社で生産したバッテリを搭載しています。
日本ではNACSとChadeMOを両方搭載
EVとして、なによりも素晴らしいのが、充電ネットワークへの対応です。日本で最も普及しているChadeMOの充電ネットワークだけでなく、その次に普及しているテスラのスーパーチャージャーの充電規格「NACS」にも対応しています。これにより、スーパーチャージャーのネットワークも利用できる初の国産メーカーの車両になりそうです。充電性能としては、現在のEVでは最強と言えます。

さすが「SONY」エンターテイメントへの力の入れ具合がすごい
今回は銀座のショールームに展示されている北米で発売予定の開発途中のプロトタイプのものが展示されているため、細かい機能がまだ実装されていないのと、左ハンドル仕様になっているため、左側から乗り込みます。ドアを開けるとまずは、良ーくステアリングと、横に広がるモニタが目に入ります。

そして、ドア周りにもスピーカーが見え、アンビエントライトも光っています。この横に広がるモニタは素晴らしく、中央と助手席側で、エリアが分かれるようにもなります。これにより、モニタ半分の助手席側で映画を見ている場合ドライバーからは映像が見えない
ヨークハンドルになっているのは、ドライバーが目の前のモニタを見やすいようにしているという事です。

ついに「PS Remote Play」搭載決定!車内がゲーミングルームに
2025年12月18日、AFEELAが世界で初めて、車内エンタテインメントとして「PS Remote Play」に対応することが発表されました 。SONYが作る自動車ならではの装備になり、そして唯一になる可能性もあります。

これにより、自宅にあるPlayStation 5(PS5)やPS4に車内からリモート接続し、愛車の中でいつものゲームをプレイすることが可能になります。 ダッシュボード一面に広がるパノラミックスクリーンと、後述する圧倒的な音響システムでプレイするRPGやアクションゲームは、まさに没入体験。充電中の待ち時間や、パートナーの買い物を待つ時間が、これからは「待ち遠しいゲーム時間」に変わるのです。
さらに、映画ファンにはたまらない機能も。「RIDEVU(ライドビュー)」という動画配信サービスが搭載され、ソニー・ピクチャーズの数百本に及ぶ映画ライブラリをいつでも車内で楽しむことができます 。
ソニーの「ノイキャン」技術がクルマを変える
AFEELAのエンタメ体験を支えているのは、単なる大画面だけではありません。特筆すべきは、ソニーとホンダの技術が融合した「静寂」へのこだわりです。
車内で最高の音楽や映画を楽しむためには、EVといえども走行音(ロードノイズ)は大敵です。そこでAFEELAには、以下のハイブリッドなノイズキャンセリング技術が導入されています。
- ホンダの技術: 車体の振動などから発生する「低周波ノイズ」を低減。
- ソニーの技術: 各シートに内蔵されたスピーカーから逆位相の音を出し、「中周波ノイズ」をピンポイントで消去。
乗っている人それぞれの空間へ
この技術の凄いところは、助手席、リアシートにある2枚のモニタ、それぞれから別の音を出していても、他の人たちには聞こえないという点です。つまり、車内のモニタそれぞれで違う映画やゲームをしていても、ソニーのノイズキャンセリングで、ヘッドフォンをしていなくても、その人にしか聞こえない音の空間を作り出し、そして、人の話視声は聞こえるという、まさにソニーのテクノロジーがふんだんに使われた仕様になっています。

この「アクティブロードノイズキャンセリング」に加え、車内には「360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)」対応のスピーカーが最適配置されています。 静まり返った空間で、前後左右、そして上下から音に包まれる体験は、まさに走る映画館。ドアを開けた瞬間、そこは外界から遮断されたプライベートシアターになるのです。
【EVENT】銀座で「AFEELA」に触れるチャンス!

「記事だけじゃ分からない、実物が見たい!」という方には、 現在、東京・銀座の「G735 Gallery」にて、AFEELA 1の実車展示が行われています。残念ながら現在の展示中のモデルは、SONYのノイズキャンセリングを体験する事はできませんが、6月まで開催されているため、今後はより量産モデルに近いものが展示されてくるでしょう。
- 場所: G735 Gallery(東京都中央区銀座7-3-5 ヒューリック銀座7丁目ビル1F)
- 期間: 2026年6月28日(日)まで(毎週火曜定休、年末年始除く)
- 時間: 11:00 – 19:30
- 予約:社内のエンタメなどを体験したい場合は予約が必要(予約はこちらから!)
外観の撮影や、窓越しにインテリアを覗くなら、予約なしで自由に可能です。
さらに、招待枠や事前予約ができれば、実際に運転席に座ってパノラミックスクリーンやUIを操作する「車内デモンストレーション」も体験可能。 未来のモビリティを肌で感じる貴重な機会、銀座でのショッピングついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
気になる価格と発売時期は?
最後に、現実的な購入情報をおさらいしましょう。
- 米国価格: 89,900ドル(Originグレード)〜102,900ドル(Signatureグレード)。
- 日本円換算: 約1,400万円〜(※為替レートにより変動)。
- 日本での納車: 2026年後半~2027年初旬ごろ
米国では2025年1月から先行予約が始まっており、日本でもまもなく具体的な動きがあると予想されます 。日本の車両価格は単純に為替レートの計算というわけにはいかないかもしれませんが、車両自体の生産は米国のオハイオ州で行われるため、AFEELAは逆輸入車両になるため、超高級車セグメントになる事は間違いありません。
単なる移動手段として考えると高価ですが、最先端のEV性能、自動運転支援、そして「最高級のオーディオルーム」と「ゲーミングルーム」が全部入りだと考えれば、その価値はプライスレスかもしれません。もはやエンターテイメントは車内で済ませるという時代が来るのかもしれません。
ELECTRICLIFEでは、今後もAFEELAの最新情報を追いかけていきます。
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