2030年までに少なくとも50%がEVに
2021年5月12日に開催されたBMWの株主総会の場で、オリバー会長は、サステナビリティを意識し、リサイクル計画を立てた製造の重要性を語っていました。
2030年までに、人口100万人を超える都市が年間に排出するCO2のおよそ20倍以上となる、2億tを超えるCO2削減を目指し、原材料の抽出から生産、製品寿命終了まで、自動車のライフサイクル全体でのカーボンフットプリント削減を意識しています。特に電気自動車においてはバッテリーセルの生産において大量のエネルギーを消費するため、この製造過程でのカーボンフットプリントの削減が極めて重要で、次世代のバッテリーでは現在の製造過程の半分程度のカーボンフットプリントを目指すとしています。
すでにBMWグループの全拠点において2020年末から100%グリーン電力を使用しているなど、環境への高い意識を示していて、2030年までには生産拠点のエネルギー利用に加えて、生産工程なども含めて1台当たりのライフサイクルにおけるCO2を80%削減し、サプライチェーンでは1台あたり20%削減するとしています。
そして、個人使用のエリアでは、EVの普及がカギとなっていて、この2021年末までに、BMWi3、MINI SE、BMW iX3に加え、フラッグシップモデルとなるiX、i4の3つの完全電気自動車モデルをリリースするとしていました。
BMWのモデルにおいて、「i」がつくシリーズは革新的な環境配慮型モデルという位置づけになっているため、完全電気自動車(EV)またはプラグインハイブリットのモデルという事になります。
さらに今後数年内には人気車種のBMW5シリーズやMINI CrossoverなどもEV化していく事を発表しています。特にMINIについては2030年までにすべてのMINIをEVにするとしています。
EVの販売台数は2025年までに2020年比で10倍以上となり、2030年には世界販売台数の50%を完全電気自動車になると予想しています。
そしてこの株主総会が終了した直後の夏には電動二輪車として都市用エレクトロモビリティを発表しました。
2021年末を迎えてどうなっているか?
BMWの電動化への強い意志はホームページからも伝わってきます。5月の段階に発表されていたBMW i3、iX3、iX、i4はカーラインナップの一番先頭に表示され、完全電気自動車を一押ししています。
従来発売されていたi3、iX3に加えてEV専用プラットフォームとして開発されたiX、i4も発売を開始。i4はそのさらに上級スペックを要したM50も新たにリリースしています。
BMWi3
BMW i3はBMWが最初に量産発売したEVで、日本では2014年から発売されています。
<BMW i3基本スペック>
- バッテリー容量:42.2kWh
- 駆動方式:2WD
- 航続距離(WLTC):360km
- 0-100km:7.3秒
BMW iX3
既存のX3のエンジンを電動モーターにリプレイスしたモデル
<BMW iX3基本スペック>
- バッテリー容量:80kWh
- 駆動方式:2WD
- 航続距離(WLTC):460km
- 0-100km:7.3秒
BMW iX
BMWが完全電気自動車向けにシャーシの設計から全てを作り直した次世代電気自動車モデルiXです。
<BMW iX 基本スペック>
- バッテリー容量:76.6kWh / 111.5kWh
- 駆動方式:AWD
- 航続距離(WLTC):455km / 650km
- 0-100km:6.1秒 / 4.6秒
BMW i4
BMWのフラグシップEVセダンであるi4は2021年の初旬に発表され、すでに日本国内でも販売開始しているモデルです。このモデルもEV用に開発されたシャーシで、充電許容容量も200kWと急速充電性能も非常に高い。
<BMW i4 基本スペック>
- バッテリー容量:81.5kWh
- 駆動方式:AWD
- 航続距離(WLTC):590km
- 0-100km:5.7秒
<BMW i4 M50 基本スペック>
- バッテリー容量:81.5kWh
- 駆動方式:AWD
- 航続距離(WLTC):510km
- 0-100km: 3.9秒
このようにBMWに関してはすでに日本国内で購入できる電気自動車が2021年末までにすでに4車種プラスαをリリースしています。すでにi4シリーズについては前倒しでのリリースとなったため、BMWが現在どれだけEVに力をいれ、今後もさらにEVをリリースしてくるだろうことを考えると、現在まともに購入できる国産EVは日産リーフ、ホンダe、レクサスUX300e、マツダMX-30の4車種しかない日本勢と比較すると、電気自動車戦争の行方が懸念されます。しかも先日EV戦略を発表したトヨタの名前はこの四車種の中にないのです。