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日本でEVシェアを狙うBYD「ドルフィン」の凄さ

発売間近のコンパクトEV「中国BYDドルフィン」

BYD初の日本市場での一般消費者向けEV、「ATTO3」を2023年1月に発売してからおよそ8か月、いよいよ日本市場でのEV普及を目指す2車種目となるコンパクトサイズのEV「ドルフィン」が9月20日発売になります。BYDは日本市場を非常に良く研究してきており、特にこのドルフィンという車はまさに多くの日本人のニーズに対応した車両になっています。後述しますが、このBYDドルフィンは日産リーフと真っ向勝負の乗用車です。

価格は9月20日の発表とありますが、おそらく300万円ちょうど位の価格ではないかと予想されていて、300万円を切るような事があれば、それは衝撃です。

価格だけでなく、高い性能と安全性など、ここではその凄さをご紹介していきます。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

生物を意識させるようなデザイン

ドルフィンという名前のように、海洋生物を彷彿とさせるフロントマスクから、サイドラインは進行方向を表すような矢印のようなボディデザイン、そして印象的なテールランプのデザインで、日本車とは一線を画すデザインになっているといえます。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

電池の会社ならではの高性能で安全設計

BYDは元々パソコンや携帯電話のバッテリーメーカーです。このバッテリ事業のノウハウを生かして自動車事業に参入し、現在では車載バッテリとしては世界シェア第3位です。そして電気自動車の世界販売台数では、テスラが1位なのに続いてBYDは2位となっています。

そして電気自動車の普及が世界でも進んでいる中国市場では、2023年には今まで1位だったテスラを抜いて、BYDが販売シェアNO1となっています。

ブレードバッテリーは高い安全性で8年15万km保証

リーフなど従来のEVが搭載していた三元系バッテリーから熱安定性が高く安全な「リン酸鉄リチウムイオンバッテリ(LFP)」を採用し、またブレードバッテリーという積載効率の高いバッテリを開発したことで、安全で航続距離の長いバッテリになっていて、この高い信頼性から8年15万キロのバッテリ保証を実現しています。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

2種類のバッテリ容量で長距離運転に対応

ドルフィンは、バッテリ容量2種類でグレードが分かれていて、BYD DOLPHINはバッテリ容量44.9kWh、BYD DOLPHIN Long Rangeモデルは58.56kWhのバッテリを搭載しています。Long Rangeはツートンカラーになっているため、外観からもグレードがはっきりとわかるようになっています。

ロングレンジモデルはWLTCで最大476km走行

通常のドルフィンは44.9kWhのバッテリ搭載で満充電での航続距離400km(WLTCモード)を実現しています。実際にはおそらく320km前後となることが予想されます。また、ロングレンジモデルは58.56kWhのバッテリで航続距離は476km(WLTCモード)実際は390km前後位になるでしょう。

日産リーフは40kWhモデルで322km(WLTC)、60kWhモデルで450km(WLTC)ですから、BYDが採用しているバッテリとEVプラットフォームの性能の高さが伺えます。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

V2H、V2Lにも対応

災害も多く、エネルギー資源に乏しい日本では、EVのもう一つの役割として、自宅で利用する電気を賄う蓄電池としての役割も期待されています。一般的な4人家族のおよそ2日~3日分の電力を搭載できるドルフィンは、V2H(Vechicle to Home)に対応しているため、自宅に電力を供給することができます。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ
BYD Dolphinの充電プラグは前方横にある

V2L(Vechile to Load)にも対応しているため、車両から直接100V、15Aの電力を取り出すこともできるため、避難先でも十分な電力を活用したり、日常的にはレジャーなどでも充実した時間を過ごせることでしょう。

コンパクトなのに広い車内

現在日本市場で最も多く走っている電気自動車(EV)は日産リーフです。現行の日産リーフは遠めに見るとコンパクトに見えても、実は車格は3ナンバーでかなり大きい車です。ドルフィンはそれよりも20㎝ほど全長が短く、あとはほとんどサイズが一緒です。BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

しっかりと日本対応

運転席・助手席の間隔も十分とられていて、輸入車ですが、右ハンドル仕様にし、ウインカーも右に配置するなど、細かい日本仕様対応をきっちり行い、日本人がシームレスに乗り換えできるよう対応しています。

中央にはタッチパネルになっている大型モニタが設置され、車両のコントロールや車内でのエンターテイメントが楽しめます。走行中に助手席の人が中央のモニタを操作していても、ドライバーが運転に必要な情報は専用のパネルが用意されているため、邪魔にならない設計になっています。

大型ディスプレイについては、利用しているアプリケーションによっては縦型の方が見やすくなることもあるため、お好みに合わせて向きが買えられる仕様になっています。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

ホイールベースが広くとってあるため、その車内は非常に広く、後部座席の足元もゆったりと足を伸ばせる空間があります。全体的に曲線の多いデザインは、外観同様に海洋生物を思わせます。

ロングレンジモデルはガラスルーフも搭載されているため、後部座席を利用した時の空間の解放感により、更に広く感じます。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

正規ディーラーでの販売が中心でサポート・サービスを充実

2022年に日本の乗用車市場への参入を発表し、2023年1月から販売を開始したBYDですが、日本市場でのEV展開の本気度を伺わせるのが、正規ディーラー店舗で整備も同時に行っているという点です。このあたりも日本市場をしっかり研究しての日本上陸といえる部分で、世界で最もEVの販売台数の多いテスラは日本市場で非常に苦戦しており、ユーザーからはサービスへの不満の声が多く聞かれます。

BYDはサポートとサービス体制を充実させるため、日本市場への進出はディーラー網の整備も同時に行っていて2025年には100店舗以上の正規ディーラーが設置されるとしていて、現在もその数が増加しています。

2023年7月、前橋にオープンしたBYD正規ディーラー

同サイズの日産リーフと比較すると

サイズ感からまさに日産リーフとの競合車種となっていて、実は車格が大きい日産リーフに対して若干大きさを小さくした事で、狭い駐車場へのニーズにも対応した形になっています。

インテリアデザイン、インフォテイメントシステム、航続距離、バッテリ性能などあらゆる面で競合車種を上回っているため、発売日の価格が楽しみな車です。

この車両が売れない理由があるとすれば、実績がないという点と、やはり日本人がもつ「中国製品」へのイメージといえます。

中国BYDは既に日本国内で多くの実績を残している

BYDはバッテリ事業のノウハウを生かして自動車事業に参入し、2005年には日本法人を設立、2015年には京都市に電気バスを導入し、今では全国へと展開しています。日本国内の電気バス販売はほかにも中国のアルファバスが行っていますが、シェアではBYDがNO1です。

BYD 京都 電気バス
BYDが京都市に納入した電気バス「K9」

なぜ中国製で高い品質の自動車といえるか?

何度も繰り返している通り、BYDは日本市場を非常に良く研究しています。そして日本の自動車についても非常に良く研究しています。電気自動車のコア技術は、やはり電池とモーターにあります。そしてもちろん、車体やそれらに使われる部品も重要です。車体の剛性、足回り部品などの品質は、日本車と同等かそれ以上の品質を目指すため、2010年に、群馬県館林にある自動車ボディ製造用の大型金型を手掛け、世界中の自動車メーカーに金型を提供している「オギハラ」を買収し、100%子会社として、その技術を用いて車両開発を行っています。

BYDの車両が中国ではNO1になり、世界でも認められているのは、この車両品質の高さにあります。それは元々、日本車が世界で認められてきた品質であり、その源である「金型」をおさえ、その技術が生かされているからです。

日本の自動車メーカーもやっていないEV啓蒙活動

BYDは、車載電池の世界シェア3位で、間もなく2位になろうというところまで来ています。7年くらい前までは車載電池といえば日本のパナソニックが1位でした。パナソニックは現在4位となっています。

日本の自動車メーカーで、現在唯一電気自動車に力を入れているのが、日産自動車です。しかしその日産ですら行っていないのが、その普及啓蒙活動です。BYDが研究しているというのは、日本の消費者目線の部分もあり、また日本人に中国製品が受け入れられる事の難しさもよく理解しています。そのため、自動車の世界が一変するEVの世界では、丁寧に時間をかけて啓蒙活動を行っていく事で、そのシェアの獲得を目指そうとしています。それが「eモビリティ・パートナープログラム」を用意し、1か月間無償でBYDのEV100台をレンタルし、そのEVの可能性を消費者に知ってもらおうというキャンペーンを行っています。

BYD DOLPHIN ドルフィン ELECTRICLIFE エレクトリックライフ

世界で2番目にEVの販売台数の多いBYDだからこそできるこのプログラムで、新しいものを導入するのが苦手な日本の消費者をじっくりと説得していく姿勢に、日本の自動車メーカーはもう少し危機感を持たないと極めて危険だと言えます。

BYDはこのパートナープログラムを走らせながら、ディーラー網を充実させていき、サービス体制がしっかり整うまではこのような啓蒙活動に終始し、日本への輸入量は調整していく事で、ユーザーへの対応をしっかり行うことで顧客満足度を上げていくのでしょう。

9月20日の発売日に、BYDドルフィンがどのような価格で日本市場に投入されるか注目が集まっています。

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