電気自動車の魅力を向上させる電力ソリューション
日産自動車は日本初の量産型EV「日産リーフ」を市場に投入し続ける中で、そのバッテリの蓄電・放電に関する機能を活用するための「ニッサン・エナジー」というソリューションを提供しています。そして、その電力を自宅だけでなく社会へと供給していく取り組みを「ニッサン・エナジー・シェア」と呼んでいます。
ニッサンエナジーシェアの重要なポイントは、日産の電気自動車を活用して大容量のエネルギーをシェアしていくというところです。通常電力は、発電所で発電した電力を送電線などを使って自宅に届けます。これら電力のネットワークを「系統」などと表現しますが、通常はこの「系統」から電力が送られてくるという一方通行の状態です。
これら系統からの電力が安定している時は良いですが、自然災害などにより、系統からの電力が途絶えてしまったり、または自然エネルギーを活用する再エネ発電などでは、発電が安定しない状況などが想定されます。
電力による生活が当たり前になった現在、電力が途絶えること自体が災害となってしまうため、自然災害が発生した時にも安定的に電力を供給できる仕組みが必要です。
ニッサン・エナジー・シェアでは、まずV2H(Vehicle to Home:車から自宅へ)という取り組みからスタートし、系統からの電力が絶たれた「停電時」などに、電力が供給されているエリアで充電されたEVが自宅に戻ってきたときに、自宅に電力供給ができるようにする取り組みが10年以上前から始まっています。
V2X技術で支えるエナジー・シェア
V2Xとは、車(ビークル:Vehicle)から(2:to)何か(X)へを略した造語で、Xにはいろいろな対象が入ります。現在最も利用されているのがV2Hで、車から自宅(HOME)へ電力を供給しようというものです。
V2XのXには以下のように様々な言葉が入ります。
- V2L(Vehicle to Load)電気自動車から直接家電品やバッテリーパックなどへ電力供給
- V2H(Vehicle to Home)電気自動車から自宅へ電力を供給する
- V2B(Vehicle to Building)電気自動車からオフィスやビルへ電力供給
- V2G(Vehicle to Grid)電気自動車からグリッド(系統)へ電力供給
V2Lで大電力の家電品を動かす
V2Lは、先に説明したV2Hが家自体に電力を供給するため、自宅に置いてあるすべての電化製品や電気設備を日常と同様に稼働できるのに対して、V2LはEVの100Vコンセントなどに直接家電製品を接続したりして利用します。キャンプや災害時の避難所などでも大電力の家電品を稼働させることができます。
V2Bで大規模な建物へ電力供給
V2Bは車からビルへ(Vehicle to Building)電力を戻す仕組みです。V2Hよりも更に大規模な建物であるオフィスビルなどに複数台のEVから電力を供給する必要があります。企業などでは社用車を複数台持っているケースがありますので、このような事が可能になります。
V2Gでグリッド自体の電力を安定させる
V2Gは、V2Xの中でももっとも大規模なエナジー・シェアの仕組みで複数台の車両や共同の駐車場などを利用して、より多数のEVからグリッドに電力を戻すことで、グリッド内の電力を安定させる仕組みです。停電時や再生可能エネルギーによる発電が不安定な場合に電力の補完などを行います。
ニッサン・エナジー・シェアの取り組み
現在日産では、このニッサン・エナジー・シェアのソリューションを活用して、全国の様々な地方自治体と災害時の協定を結び、有事の際の電力協定だけでなく、2050年のゼロカーボンシティーに向けた取り組みを行っています。
V2Lに関する取り組み
V2Hに関する取り組み
V2Bに関する取り組み
V2Gに関する取り組み
- 大規模V2G実装から得られるベネフィット検証(米国2014年2018年)
- デンマークで世界初の商用V2Gを展開(デンマーク2016年)
- EV活用によるVPP構築に向けたV2G実証プロジェクト(日本2019年)