木曜日 , 4月 25 2024

ホンダはEV先進国中国での電動化が最優先

ホンダが掲げる中国での電動化戦略

2021年10月、ホンダは電気自動車(EV)の先進国である中国で電動化戦略を発表しました。発表会では2022年春、東風Hondaと広汽Hondaから発売されるe:NS1(写真左端)、e:NP1(写真右端)の2車種に加え、コンセプトモデルとしてさらに3車種をお披露目しました。

中国での電動化戦略 ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

上写真中央の3車種がコンセプトモデルで、それらは5年以内の販売を目指して目下開発中という事です。

ホンダはグローバルにおいて、EV・FCVの販売比率を2030年に40%、その5年後の2035年には80%、そして2040年までに100%を達成するというロードマップを発表しています。

中国国内ブランド「e:N」

2022年春にリリースする2車種を皮切りに、ホンダは中国市場でのEVブランドとして「e:N」シリーズで勝負をかけます。

このロゴに込められた意味は、energize(エナジャイズ)のeと、ホンダのカーボンニュートラル実現のために培われてきた電動化技術である「e:Technology」に次世代などの意味を込めたNewやNextの「N」を合わせて「e:N」というブランドにしています。

Honda e:Nシリーズ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

「動」・「智」・「美」ホンダが培った3つのコンセプト

e:Nシリーズ専用のEVプラットフォームとして「e:N Architecture」を開発し、その走りの性能を高めていく「動」のコンセプトと、Honda SENSINGやHonda Connectなどをさらにデベロップさせ、よりインテリジェントなシステム「e:N OS」により、自動車の安全性能を高め、ドライバーアシストなどにより快適な移動空間を提供する「智」のコンセプト、そして次世代のデザインである「e:N Design」で「美」のコンセプトを表現していきます。

ホンダヴェゼルのEV版?「e:NS1」と「e:NP1」

まず直近2022年春に中国で発売する2車種は、従来販売されているHV車「ヴェゼル」と非常に似たタイプのEVです。東風Hondaがe:NS1を、広汽Hondaがe:NP1を発売します。それぞれホンダと東風汽車集団股份有限公司、ホンダと広州汽車集団股份有限公司の合弁会社になっています。

Honda e:Nシリーズ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

どちらの合弁ホンダもEV工場の建設をすすめていて、2024年には工場を稼動させる予定です。東風Hondaの工場は湖北省武漢市になる武漢経済開発区に建設され、63万平米の広さに年間12万台のEVを生産する工場として稼働が予定されています。

東風Honda EV専用新工場俯瞰図 エレクトリックライフ
東風Honda EV専用新工場俯瞰図

自動車のサステナブルな生産を可能にするための取り組みとして、ソーラー発電による自家発電により100%再エネでの稼働を目指し、ウォーターフットプリントの問題を解決する再生水循環利用などにより、その消費量を節約します。

車両生産効率も上げ、組み立て工程は業界トップの自動化と、完成車を一貫して生産するためにプレス、溶接、塗装、組み立てのすべてが行える工場となる予定です。

コンセプト3車種は5年以内にリリース

3つのコンセプトカーは、SUV、GT、クーペの3つのカテゴリの車両が発表されていて、5年以内の販売を目指しています。これらe:Nシリーズについては、2024年に新しく稼働するEVのための新工場で生産されることになり、バッテリー供給についても中国最大手バッテリーメーカーであるCATLとの協業により、安定した供給体制を構築するとしています。

Honda e:Nシリーズ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ

更にここから10年のうちに上記5種類のEVに加え更に5車種を市場に投入する予定で、その販売は、既に国内にあるHonda販売店だけでなく、e:Nシリーズ専売店も開店し、中国国内でのEV戦争に真っ向勝負です。

日本国内でのホンダEVの生産は無い?

ホンダは1964年、埼玉県狭山市に生産工場を稼働させました。以来57年間「アコード」「シビック」などの人気車種の生産を支えてきました。その狭山工場は寄居に建設した次世代自動車の生産に対応するための工場へと集約され、2021年末に生産を終了し、生産工場としての役割を終えました。

ホンダ狭山工場 e:Nシリーズ ELECTRICLIFE.JP エレクトリックライフ
生産終了したホンダ狭山工場(埼玉県狭山市)

日本国内での電動車などの生産は埼玉県の寄居工場が引き継ぐのでしょうが、果たしてEVに関しては日本国内で生産するかどうかは分からなくなってきたといえます。

半導体・電池の材料調達が課題

すでにあらゆる分野で問題となっている部材調達問題が今後様々な分野で生産方法の転換を強いられることになります。

ロックダウンや工場の操業停止などにより、グローバルでの生産の歩調が合わなくなると、物が作れなかったり、流通が止まってしまうという事がわかったわけです。こうなると生産する工場は部材の調達が可能な場所に建て、出来上がった製品を輸出するという方法に切り替えるというアイデアにたどり着くのでしょう。

低コストで安定した部品供給により生産が可能な中国にて完成した「中国製ホンダEV」が海を渡って日本にやってくることでしょう。

日本国内では、すでに生産実績のあるHV(ハイブリット)車だけの生産となり、それもやがてすべてEVにシフトすることで日本国内でのホンダ車生産は無くなっていくかもしれません。

産業がなくなっていけば当然働く場所もなくなります。ホンダブランドの車が日本人にとって高嶺の花となり、日本人は「ホンガンミニ」のような低価格の中国製ミニ電気自動車に乗る日がそこまで迫っているように思います。

ホンダは日本国内でhonda-eしか発売していませんが、e:Nシリーズの日本到来はいつになる事でしょう。

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