蓄電池やV2Hでおなじみの「nichicon(ニチコン)」の新製品
nichicon(ニチコン)は、家庭用、産業用の蓄電池や充電器、電源などを製造販売する会社です。近年EVやその充電スタンドへの手厚い補助金の影響もあり、同社が提供しているV2Hの認知度やその導入も増えています。
V2Hとは、ビークル・トゥー・ホーム(Vechicle to Home)の略で、電気自動車(EV)の大容量バッテリーから自宅に電力を供給できるシステムです。
通常EVを所有する人は自宅で200Vコンセントなどから充電を行いますが、このV2Hという装置を設置することで、充電はもちろんの事、充電した電力を自宅に戻すこともできます。充電の場合も通常コンセントよりも多く電力を供給でき、最大で6kW(実用5.9kW)程度の出力が可能です。
自宅に電力を戻す際にも最大で6kW(実用5.9kW)の電力を戻せるため、一般家庭の同時使用電力としては十分すぎる出力を持っています。
新しいV2Hは充電ポットが本体から独立!より使いやすく!
そのニチコンから新しいトライブリッド蓄電システムが発表され、東京ビックサイトで1月に行われたFCVの技術展にて展示されていました。ここで使われているV2Hが大幅に進化し、従来のV2Hは本体と一体型になっていて、ケーブルも標準で7mと長く、およそ30Aも電流を流すために必要な太いケーブルは、毎回充電の度に出したり、収納したりが大変でした。使いやすいところに置こうとすると本体が非常に邪魔になります。
しかし、新しいV2Hの充電ポット部分は標準では3mのケーブルで、車両近くに設置しても邪魔にならない大きさになっていて、本体部分からは独立しています。本体は自宅の壁際などの目立たないところに設置しておくことが可能です。従来のものはCHAdeMOコネクタを本体横のホルダーに刺すだけでしたが、今回のものは、横から指す形になっていて、コネクタ部分が濡れにくくもなっています。反対側にも同様に穴が開いているため、どちら側からも差し込んでおけます。
nichiconが提唱するトライブリッド蓄電システムにも対応
ニチコンは一般家庭での電力自給自足を実現するための電力システムとして「トライブリッドシステム」を提唱しています。これは、日中は戸建て住宅の屋根に設置されている太陽光パネルで発電した電力を蓄電池に充電し、EVが自宅に戻ってきた際にその電力をEVへ充電し、電気料金が高い時間や電力消費が激しい時間、停電など有事の際にはEVや蓄電池からの電力を自宅に戻すという方法です。自宅と電気自動車間で自在に電力を行き来させることをニチコンさんでは「エレムーブ」と呼んでいます。
このシステムが、他社の太陽光発電や蓄電池で構成された電力システムにV2Hを設置した場合と何が違うかというと、パワーコンディショナーの部分にあります。通常は太陽光から蓄電池にためて電力を消費するという形になり、蓄電池から見ればEVも1つの電化製品と同じ扱いになります。しかしV2H対応のEVは蓄電池でもあるわけです。
つまり蓄電池が2つあることになるわけですから、双方向インバータを1つにまとめることで、太陽光で発電した電力をどちらに充電するか、自宅へはどのように給電するかを効率よくコントロールすることができます。
今回新しく発表されたV2Hは消費者からの声も反映されこのような形になったという事です。実際、必要十分なボタンだけが設置されてコンパクトになった充電ポットは、カーポートのすぐ横に設置しても邪魔にならず、かさばる本体部分は邪魔にならないところに放して設置することができます。
日産リーフなどをイメージすれば、前後どちら向きにも駐車する場合でも、駐車位置の中央に設置しておくことで、3mのケーブで十分届く範囲となります。これにより車を駐車する向きによっては重いケーブルを長い距離取り廻すようなことも回避出来るようにでき、V2Hを設置する場所の選択肢が増えることになります。
EVは従来の自動車を購入する場合とは違い、自宅の電気の契約から始まり、充電設備、住宅の電力システムを整えることで電費を限りなく抑えていく事ができます。それだけでなく、外部給電機能が搭載されたEVなどでは効率的な電力利用や停電や災害時の電力供給にも利用できます。
ニチコンは蓄電池やV2Hで多くの実績を残している企業であるため、このようなシステム導入の際には必ず出会う企業でしょう。今回紹介したV2Hの新商品が市場にリリースされるのは春~夏くらいとのことでした。