期限前に終了となった充電インフラ導入事業
一社)次世代自動車振興センターは、2022年9月21日、令和3年度補正「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」事業のうち、V2H等の充電インフラ導入事業について、用意されていた補助金予算額を全て使い切ったため9月20日分をもって受付を終了したと発表しました。
9月21日に到着した申請分で予算額をオーバーしたために、9月20日の受付をもって終了、9月21日に届いた申請分は無効となり、これ以降届いた令和3年度補正予算への申請についても全て無効になります。
この充電インフラ導入事業の申請期間は9月30日が申請期限であったため10日早い終了となりました。経産省が9月15日の段階で予算残高がおよそ12億円となった事を事前に告知し、9月19日の段階の発表では予算残高がおよそ2.5億円と急激に消費されている事を見ると、かなり駆け込みの申請が増えたことが予想されます。
車両についての導入補助金も終了間近
現在EVを発注し、この秋に納車を控えている人にとって気になる令和3年度補正・令和4年度予算で行われているEV、PHEV、FCVなどのクリーンエネルギー車両の導入促進補助金の導入補助金についても同様に予算枯渇の時期が近づいています。9月16日に発表された9月12日現在での予算残高はおよそ105億円となっていて、終了時期を10月下旬ごろと予想しています。
V2H導入が進んだ充電インフラ導入事業
今回の充電インフラ導入事業では、電気自動車(EV)側から自宅へと電気を戻すことができるV2H(Vechicle to Home)の受注が急増しています。当サイト独自の聞き取り調査では、とある販売業者が8月上旬に抱えていたV2H充放電設備のバックオーダーが全国で7000件を超えていて、「昨年から比べると考えられない数値になっている」と担当者が驚きを隠せない様子でした。
それだけ、この補助金は補助率も高く人気のものであると言えます。たとえば、ニチコンのV2H充放電設備の導入例で言えば、本体が798,000円で自宅の状況にもよりますが、設置工事費はおよそ30万円〜40万円程度です。本体と合わせて総額でおよそ120万円程度になり、V2Hを個人で導入するは、かなり敷居が高いと感じます。しかし、この補助金では本体に対しては1/2補助され、工事費は100%定額(個人は最大で40万円)補助されるため、総額で80万円近い補助が受けられます。(工事費についてはかなり細かく対象経費の規定があるため完全に満額補助されるわけではありません、詳しくはページ末尾にある関連リンクをご覧ください。)
交付申請を受けても補助金を受けられない可能性が
たくさんの受注があるV2H充放電設備ですが、昨今の半導体不足やサプライチェーンと物流の乱れはここにも影響を及ぼしています。車両の補助金と違い、V2Hの場合は工事内容の確定と受注により補助金申請が可能です。そのため、手元に交付決定通知が届けば、とりあえず補助金は確保ができて一安心です。通常であればこのあと工事が開始されるわけですが、部品調達が困難な状況により生産の遅れが発生している中、大量の受注が入ったため、本体が手に入らないという状況が続いています。
これは交付申請を受けた人にとっては深刻な問題で、万が一この工事が2023年の1月31日までに完了し、今年度中に報告書があげられない場合には、設置工事が終了しても補助金を受けられない場合があります。
今回は大量のバックオーダーがあるにも関わらず、2022年9月の段階でも全く生産が間に合わず、工事日が確定できない案件が沢山残っているため、事業完了できるかも大きな問題となっています。
来年度V2H充放電設備についての補助金は用意されているか?
今年V2H充放電設備の受注が増えたのは、日産サクラやeKクロスEVなど、V2H対応の軽EVが発売され、多くの注文数を獲得していることと、EVへの理解が深まり、それらEVとV2Hとの相乗効果への認知度が広まったことが大きな理由であると考えられます。そしてなによりこれだけ多くの補助が受けられることでこの機会に導入したいと考える個人が増えるのは当然です。
こうなると、申請に間に合わなかった人やこれから導入を行おうと考えている人が気になるのが来年度の予算です。当サイトでも以前取り上げましたが、まだ未確定ではあるものの、経済産業省としては現在の状況を鑑みれば、概算要求を出さないわけには行かず、すでに8月31日の段階で来年度の予算要求を提出している模様です。
いずれにせよ、これらが確定するのは11月末から12月上旬くらいの閣議決定を受けてということになりますので、現在はその決定をただ待つのみということになります。