ソニーとHondaが正式に合弁契約を締結
2022年3月4日の段階で、ソニーグループ株式会社(ソニー)とホンダ技研工業株式会社(Honda)は、今後のモビリティ分野における戦略的提携に向けた基本合意を発表し、具体的にどのように進めていくかの協議を進めていました。
すでにソニーはVISION-Sという新しいモビリティのコンセプトを発表しており、先進的なドライバー支援やソニーならではのエンターテイメントを搭載した新型EVの姿を公開しています。
SONYが発表したモビリティ「VISION-S 01」「VISION-S 02」は、既に米国テスラや中国Xpeng、NIOのようなEVスタートアップが提供している新しいモビリティという分野での競争に入るものになるでしょう。
従来の自動車が搭載しているメカニカルな部分の制御もすべてコンピュータにより集中的に行い、それらデータをAIにより処理が行われ、環境に合わせた自動運転を提供するようなモビリティとして成長していくものになると予想されています。これらを実現するためのカメラからのイメージング、センサーによるセンシングやネットワーク通信などはソニーが得意とする分野になります。
一方では、長年自動車産業に新しい息吹をもたらしてきたHondaについては、完成度の高い自動車としての質はもちろんの事、フォーミュラなどで培われてきた走りの足回り、車両の安全性、車体製造などの高い技術を有しています。

これらソニー、Honda双方の技術を持ち寄り、既に市場で若年層を中心にファンを集めている新しいモビリティ群に挑戦していくために、2022年中に新会社として「ソニー・ホンダモビリティ株式会社」を設立することになりました。資本金は100億円で、出資比率は双方50%となります。
EVの大きな潮流
世界中の自動車メーカーが取り組む新しいエネルギーでのモビリティ開発は、現在「電気自動車」という1つの方向に向かって舵を切ったといえます。このような流れが急速に進んだ背景にはもちろん「脱炭素」というキーワードがあり、内燃機関車からのリプレイスが進んでいます。
この開発については企業ごとの考え方は大きく違っていますが、大きな3つの潮流に分けられます。
エンジンとモーターをリプレイスしたEV
BMWやメルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェなどはEV化の流れにいち早く対応し、市場へリリースを行いました。これらのEVは基本的には従来の自動車のシャーシに搭載されていたエンジンをモーターにリプレイスしたもので、EV専用プラットフォームなどとなっていないためEVの良さを100%引き出すにはいたっていません。
しかしながら既に完成された自動車としてのシャーシに、エンジン以上のトルクを生み出す高出力モーターを搭載することでその走りの性能は高まり、「自分で運転する車」としての挙動の楽しみなどがあり、高級車セグメントで、このようなカテゴリは今後も存在し続けるでしょう。
エネルギー源としてのモビリティ
国産EVの殆どがこれにあたりますが、自宅で充電する際に、自宅から自動車へ電力を送るだけでなく、その逆に電力を自宅に戻すことができるようなV2H対応車両は、エネルギー需給の問題を抱える我が国には今後必要なモビリティとなるでしょう。現在日本市場では、非常に重要視されているこの機能は、海外の自動車メーカーの殆どは搭載していない機能になっています。

国産だけでなく、日本市場をよく研究している韓国のヒョンデIONIQ5などにも搭載されていて、今後エネルギー問題と共に、日本のEVの1つの特徴として、世界でのニーズが高まっていく事でしょう。
新しい「乗り物」としてのモビリティ
そして、今回ソニーとHonda連合で目指す「新しい乗り物」としてのモビリティの世界が米国テスラや中国NIOなどが目指す新しいモビリティの世界です。自動運転などの高度な情報処理能力を中心としたモビリティであり、移動空間の考え方やモビリティの新しい可能性を追い求めたものになります。
これらモビリティは、現在はたまたま4つのタイヤが付いている形状での走行を行っているだけで、新しい駆動方式や推進力の開発が進めば、いち早くそれらを取り入れるものとなるでしょう。数年前までテスラのModel SやModel Xの隠しモードとして搭載されていた007のような「潜水艦モード」は私たちをワクワクさせてくれました。
日本発の最先端のモビリティへ!
トヨタはスバルと、日産は三菱と、大手自動車メーカー同士がEVの共同開発を行う中、ホンダやソニーという異業種との合弁となっている事が何か新しい事を予感させます。
今年に入り発売が開始された自動車メーカー連合による、国産EVについてはどれも特に従来の技術から目新しいものを搭載しておらず、電気自動車になっただけという感覚です。
ソニー・Honda連合により、先進的なドライバー体験を提供する新しい日本発のEVの誕生を期待したいところです。
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