中国版テスラ争いに携帯電話「シャオミ(Xiaomi)」が新型EVで参戦
日本でもスマートフォンやタブレット、スマートウォッチなどウェアラブルデバイスでおなじみの「シャオミ(Xiaomi)」がついに先進的な機能を搭載した電気自動車(EV)を発表しました。2024年3月28日に行われた発表会で5万人以上の予約を取り付けたXiaomi SU7はどのようなEVなのでしょうか。
今まで中国版テスラと言われてきた自動車メーカーの1つが、そのリリースするEVの先進性から「NIO(上海蔚来汽車)」です。NOMIと呼ばれるAIアシスタントがドライバーをサポートし、更に進化していくというユニークなシステムを搭載し、2023年には人気セダンET5をヨーロッパでリリースし、市場を拡大しています。
そこに割って入るような形で登場したシャオミ(Xiaomi)は、TESLAモデル3を彷彿とさせるようなデザインで、その性能は更にゴージャスなものになっています。そして、価格は日本円でおよそ460万円(21万5,900人民元)からのスタートとモデル3を比較しても日本円換算で60万円以上も安い価格で発売されます。
シャオミ(Xiaomi) SU7のスペック
発表されたXiaomi SU7は3種類で、大きく分けるとシステム電源電圧が400Vと800Vのものがあり、800V対応がデュアルモーター搭載の4輪駆動モデルになります。
TESLAモデル3よりも20㎝長い車体
TESLAモデル3は全長4,720mm、ホイールベース2,875㎜、全高1,440㎜、全幅(ミラー含む)2,089㎜となっていて、全長が20㎝長くなっている以外は全幅、車高はほぼ同じサイズになっています。
全長が20㎝長くなっている分、ホイールベースもモデル3よりも広くとられていて、リアシートはモデル3よりも居住性が高くなっています。
フランクもテスラモデル3にかなり似た形になっていて、十分なスペースが確保されています。トランクはモデル3と比較してやや狭くなっています。
進化を続けるCTBバッテリー搭載
EVのバッテリーは日々進化を続けていて、報道では全個体電池の実用化が近づいていると言われていますが、現時点から見ると未知の話題でもあります。世界で販売台数を伸ばしているバッテリーの会社であるBYDが自動車分野に参入し研究を進めているCTB(Cell to Body)ブレードバッテリーを採用しています。CTBはバッテリーをボディーの一部として収容し、車両のスペースをしっかり確保します。
電圧400Vアーキテクチャでは、5分間で138km分の走行距離を充電できるのに対し、最上位モデルの電圧800Vアーキテクチャでは5分間で220km分の充電が可能になります。
バッテリ容量は3つのモデルそれぞれで異なっていて、スタンダードモデルは400v、73.6kWhのバッテリー容量で、BYD製のブレードバッテリを使用していますが、プロモデルは400V、94.3kWh、CATL社製Shenxing、マックスモデルは800V、101kWh CATL社製Qilinとなっています。
航続距離は最大830km(516miles)
Xiaomi SU7はプロモデルの830km(バッテリ容量94.3kWh)が最長で、デュアルモーターになるマックスモデルについては800km(バッテリ容量101kWh)と航続距離は少し下がります。
0-100km/hまでの時間は、スタンダードが5.28秒、プロモデルが5.70秒、マックスモデルが2.78秒で、トップスピードはスタンダードとプロが210km/hに対してマックスモデルは265km/hです。加速性能やトップスピードについてもTESLAモデル3を上回るスペックとなっています。
EVとしての走りの性能も非常に高く、居住性も高くなっていますが、更にXiaomiが手掛けた車としてインフォテイメントシステムの凄さがあります。
アクティブサスペンション搭載で車高も変更可能
更にテスラなどではフラグシップモデルにしか搭載されていないアクティブサスペンションも搭載していて、安定した、乗り心地の良いドライビングエクスペリエンスを提供しています。路面に合わせて車高を変更することも可能になっています。
携帯電話会社が作ったインフォテイメントシステム
スマートフォンやタブレットをリリースしてきたXiaomiだからこそ、車内インフォテイメントシステムは充実しています。フロントのドライバー用スクリーンはアプリケーションのウインドウレイアウトが自由になるため、車両のコントロール画面やナビの位置なども変更が可能となっています。
ドライバーには専用のモニタと、フロントガラスに映るヘッドアップディスプレイによって目線を移動せずにナビを確認できます。
自動運転を目指す「Xiaomi Pilot」
更に自動運転技術を目指す取り組みとして、テスラ同様にカメラベースでの視覚的な認識システムに加え、それと連携したLiDARセンサーを使った先進運転支援システム(ADAS)の両面から開発を行っています。これらのソフトウェアの開発も全て自社で行えるため、ソフトウェアを無償で提供することも可能としています。
自動運転については日本同様、中国国内ではまだ利用できない状態ですが、米国内でのテスラFSD(Full Self Driveing :完全自動運転)などかなり完成形に近づいている中で、Xiaomiの技術がどれだけ成長していくかによっては中国国内でも特区などを定めて自動運転が開始される可能性があります。
中国には多くのEVベンチャーがあり、ヨーロッパやアジアへの進出も進めています。携帯電話会社が作ったEVがどれだけこのEV競争に食い込んでいくか、今後も目が離せません。