2026年2月5日、スバルは群馬県の矢島工場にて、同社初となる自社工場でのEV生産を開始しました。
これまでの「ソルテラ(Solterra)」はトヨタの工場で生産されていましたが、今回の新型車は正真正銘の「Made by SUBARU」。

この記事では、新たにラインオフされた新型EV「Trailseeker(トレイルシーカー)」の詳細と、それが私たち日本のユーザーにとって何を意味するのかを徹底解説します。
スバル魂が宿る場所。矢島工場で何が起きたのか?
これまでスバルのBEV(バッテリーEV)戦略は、トヨタとの強力なアライアンスのもと進められてきました。その象徴が「ソルテラ」です。しかし、多くのスバリスト心のどこかでこう思っていたはずです。
「スバルの工場で作られたEVに乗りたい」と。
混流生産が生む「柔軟性」という武器
2026年2月、その願いが現実のものとなりました。スバルは2025年8月から2026年1月まで矢島工場の生産ラインを止め改修を行い、その改修工事が完了し、ガソリン車・ハイブリッド車・そしてBEVを同じラインで流す「混流生産(Mixed-model production)」を開始しました。
これは単に「EVを作れるようになった」以上の意味を持ちます。市場の需要に合わせて、ガソリン車とEVの生産比率を柔軟に変えられる体制が整ったのです。これは、EVシフトの過渡期において、メーカーのリスクを最小限に抑えつつ、安定した供給を約束する「スバルのモノづくり(Monozukuri)」の真骨頂と言えるでしょう。
従来のラインを使うデメリットも
EVが揶揄されがちなのは、「EVはバッテリーがあるためバッテリー生産・処分まで考えるとライフサイクルでCO2削減になっていない」という事です。EVは部品点数も圧倒的に少なくなるため、サプライチェーンまで含めると、ガソリン車と比べて格段にCO2排出量は抑えられており、またバッテリーメーカーの選択によっては、生産においてカーボンニュートラルを達成している工場もあます。しかし旧来のラインを改良して、生産設備を共有していると、時代にあった生産体制になっているか、2050年のカーボンニュートラルに対応できているかというイメージとしての懸念も残ります。
新型EV「Trailseeker(トレイルシーカー)」の全貌
今回、矢島工場から送り出された最初のモデルは、「Trailseeker(トレイルシーカー)」と名付けられた新型電動SUVです。(※欧州市場では「e-Outback」の名称で展開される可能性があります)
公式発表から判明している主なスペックは以下の通りです。
1. ボディサイズ:ソルテラより一回り大きい「本命」サイズ
トレイルシーカーは、既存のソルテラよりも大型化されています。
| 項目 | Trailseeker (概算) | Solterra | 差分 |
| 全長 | 4,845mm | 4,690mm | +151mm |
| 全幅 | 1,860mm | 1,860mm | ±0mm |
| 全高 | 1,675mm | 1,650mm | +25mm |
全長が約4.8mを超えており、これはまさに「レガシィ アウトバック」のEV版といえる堂々たるサイズ感。北米や日本のファミリー層が求めていた「荷物がしっかり積める本格SUV」のど真ん中です。
2. 充電性能:NACS採用で利便性が劇的向上
注目すべきは充電ポートです。
- 規格: NACS(North American Charging Standard)ポートを標準装備
- 充電速度: 最大150kW
- 充電時間: 80%まで約28分
北米では、テスラのスーパーチャージャーネットワーク(NACS)にネイティブ対応することで、長距離移動の不安が解消されています。日本国内仕様でのCHAdeMO対応やアダプター対応については続報を待つ必要がありますが、グローバル基準での使い勝手は大きく向上しています。
ELECTRICLIFE編集部としては、ソニー・ホンダモビリティのように日本国内では、CHAdeMOやNACSの両方に対応してくれると、非常に使いやすくなるのですが、今の所そのニュースは入ってきていません。しかし北米で実現するという事は、そのノウハウは持ち合わせているという事になります。将来に期待したいところです。
3. デザインと機能
公開された情報によると、ブラックアクセントのフードやパノラマガラスルーフ(電動シェード付き)、そしてEVならではの「輻射熱レッグウォーマー」などの快適装備も採用されているようです。
なぜ「自社生産」がこれほど重要なのか?
「トヨタ製でもスバル製でも同じでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、以下の点で決定的な違いがあります。
独自の品質基準「スバルクオリティ」の直結
矢島工場は、レガシィやフォレスターなど、スバルの屋台骨を支える名車を生み出してきたマザー工場です。ここの熟練工(匠)たちが直接EVの組立に関わることで、建付け精度や塗装品質、そして最終的な「走りの味付け」において、より濃厚なスバル味が反映されることが期待できます。

e-TNGAプラットフォームの進化
トレイルシーカーは引き続きトヨタと共同開発した「e-TNGA」プラットフォームを使用していますが、生産プロセスがスバル主導になることで、サスペンションのセッティングやボディ剛性の強化など、スバル独自の哲学がより色濃く反映される可能性があります。
今後の展開と日本発売への期待
2026年春、北米からデリバリー開始
報道によると、米国では2026年春(まもなく!)にディーラーへの到着が始まるとのこと。価格帯は46,555ドル(約680万円※レート換算)前後からと予想されています。
もう一つの隠し玉「Uncharted」
さらに興味深いことに、2026年春には「Uncharted(アンチャーテッド)」と呼ばれる別の電動モデル(おそらくコンパクトSUV)の登場も示唆されています。スバルのEVラインナップは今年、一気に拡充することになります。

名前の由来は「チャート(地図)に載っていない」という意味で、あたらしい冒険へいざなう名称になっています。電池と航続性能では、74.7kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを採用し、FWDモデルでは約300マイル以上、AWDモデルは約280マイル以上の航続距離を確保しています。
スバルの本気はここから始まる
スバルが長年培ってきた「安心と愉しさ」が、ついに純度100%の自社製EVとして結実しました。スバルはEV戦略が遅れていると言われていましたが、国内メーカーが新型車両のリリースに足踏みをしている中、意外と早い段階でキャッチアップし、スバルのやりたい事を表現できるEVをリリースしてきました。「EV性能で他社に劣るソルテラには魅力を感じなかった」「もっとスバルらしい無骨なEVが欲しかった」という方にとって、このトレイルシーカーは間違いなく「待っていた一台」になるはずです。
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