Japan Mobility Show 2023のTokyo Future Tour
※この記事はジャパンモビリティーショー(JMS2023)に行ってきた!(次世代自動車編)からの続きです。
次世代ブースでは、メーカーが考える未来や現在売り出し中のEVなどの展示が楽しめました。西展示場ではその次世代自動車を支える技術や部品メーカーの展示、そして未来のモビリティとの生活を体験するブースになっていました。西展示場1Fでは「Tokyo Future Tour」と題して、近未来の東京エリアで活躍するモビリティの展示を行っています。近未来は陸だけでなく空や海へと世界がひろがります。
限定されたエリアを走るモビリティの体験
Tokyo Future Tourでは、テーマパーク内やショッピングセンター内、観光地などの限られたエリアの中で活躍するユニークな形状のモビリティに体験試乗できるコーナーがありました。まずはあのロボがお出迎え。まだいたんですねこのロボたち。モビリティショーなので、自在に動けるようになったかと思ったらまだ動けないようです。
テーマパークや観光地でこういったモビリティがあったらさぞかし便利でしょう。短い距離を移動し、人や物を自動運転で運んでいきます。テーブルがついていれば、食事をしながらテーマパーク内を移動も可能です。久留米工業大学のPERSOLは、縁台のような形をしたモビリティで、AIが対話に応じて、観光ガイドも行うという未来のモビリティです。これらが体験できるブースがありました。
空を飛ぶタクシー
そして、陸から空へ、エアリアル・ライドシェアの「JOBY」は混雑する首都圏で利用される「空のタクシー」として渋滞エリアを短時間で移動するソリューションとしての活用が期待されているようです。JOBYは滑走路がいらない垂直離陸が可能であるため、ビルの屋上や公園などから離陸し目的地まで人を運びます。
人類の新しい舞台「月」
そして、いよいよ人類が本格的な開発を始めた「月」に関する展示です。JAXAが日本企業と開発を進めている月面探査車に関する展示では、ブリジストンが開発している全て金属でできている実物大のタイヤが展示されています。
そして、2023年4月26日、月面に到達するも、その後消息を絶ったispace社のHAKUTO-Rのモックも展示されていました。このプロジェクトは2010年に設立された「ホワイトレーベルスペースジャパン」の頃から応援しています。4月に着陸成功していれば、今頃月面をローバーが探査し、様々な情報を送って来ていたに違いありません。
災害時に活躍するモビリティ
災害が多い我が国日本では、災害支援のためのモビリティの開発も進んでいます。災害時には情報共有が非常に重要になります。そのため、けん引してどこでも情報発信ができる移動式ラジオステーションや、ドローン、ローバーによる物資の輸送やがれきの撤去などのデモが行われていました。
西展示場4Fの企業ブースで勉強
次世代モビリティのテクノロジーを支える様々な部品やソリューションを展示する企業ブースは、技術スタッフによるコア技術に関しての説明を受けたり、子供向けの体験・ゲームコーナーなども用意されていました。
バッテリ戦争
水素エネルギーや藻類によるエネルギーなど、新しい燃料によるモビリティのエネルギーはいろいろ開発されていますが、2050年のカーボンニュートラルに向けての主役はやはり電気自動車という事になります。それに欠かせないのがバッテリですが、このバッテリの主権はすでに中国メーカーに移動してしまっています。
日本企業は、このバッテリ周辺の制御系回路やDC-DCコンバーターなどを出品している企業は見ることができましたが、やはりバッテリ自体は中国からという形です。SEVBのバッテリは超急速充電を実現し、10分で80%まで充電可能なEV用リチウムイオンバッテリを開発しています。
ノベリティがもらえるゲームや体験ブースは人気
企業展の中でも、ノベリティがもらえる体験コーナーや、ゲームを用意している企業は人気で、中でもオイルシールやフレキシブル基板を製造している企業「NOK」のブースはゲームを通じて企業PRを行い、クリアすると景品がもらえるガチャにチャレンジできるとあって、子どもから大人まで大人気でした。
他にも、ショックアブソーバーの「カヤバ」コーナーも人気で、コア技術である油圧の技術を体験し、ショックアブソーバーを組み立てるワークショップなども用意されていました。
部品メーカーからもモビリティがリリースされる?
電気自動車化が進むことで、モビリティの構造はシンプルになって、モジュール化された部品を組み合わせることで新しいモビリティの製造が可能になることから、素材や部品のメーカーが、それら部品・素材を使ったモビリティを発売する日も近いのかもしれない・・・。
豊田合成は合成ゴムや樹脂の会社ですが、今回「Flesby BEV」というコンセプトカーを展示し、2030年ごろを目標に、日常生活を支えるモビリティに自社技術を搭載し、このモビリティ自体のリリースにも挑戦するのかもしれません。
このように、小型の街乗りモビリティを開発する企業は沢山現れてくるのだろうと思わせる展示が多かったと思います。
南展示場は子供向けかと思ったら・・・
モーターショーと言えば限定トミカということで、これを狙っている人も多くいるのでしょう。さっそくメルカリなんかにも沢山出てます!倍くらいの価格で・・・。
南展示場に入ると、まずは東京オートサロンで最優秀ドレスアップカー賞を獲得した車両が展示されています。
トミカコーナーはパパも楽しむ!
さて、トミカコーナーでもきれいなお姉さんが待ち構えています。家族で訪問したパパもすかさず撮影しておりましたが、大丈夫ですか?(笑)
そして、往年のトミカが飾られているトミカピラミッドの横には、JAPAN MOBILITY SHOW限定トミカの購入ブースが用意されていました。プレビューデーではさすがに売り切れているトミカは無かったですが、一般公開された今、クラウンあたりは売り切れでしょうか・・・
トミカコーナーの先には自動車関連の職業体験ができる「東京キッザニア」ブースがあって、車のボディーデザインを作る体験や自動車整備などの体験コーナーがありました。キッザニアは今世の中にあるリアルな職業体験ができる場として保護者に人気ですが、もうちょっと夢ある仕事が多くあったほうがいいんじゃないかな・・・F1レーサーでレースに勝利してインタビューを受けるとか・・・。
日本スーパーカー協会ブースに気になるEV
日本スーパーカー協会のブースの中に丸紅オートモーティブのブースがあったのですが、ここに京都の会社が中国で製造する「folofly」という商用バンEVが展示されていました。このサイズの商用バンは日産が少し前までNV200eというのを販売していましたが、現在は皆無。ガソリン車と同じ価格での商用バンEVを実現したとして展示してありました。ネットでは見たことありましたが、既に発売されているとは驚きです。
V2H機能は搭載しておらず、最低限のEVとしての機能を備えた商用バンです。価格も気になりますが、アフターサポートを気にする日本で普及するかと考えると難しそうな気もします。日本では自動車ディーラー網があってそれを気にして買うユーザーが多いため、提携した整備工場ネットワークが構築されないと、いくらEVがシンプルにできているといっても、購入する法人は少ないのではないかと思う。逆に言えば、今後はこういった従来の大手メーカーでないEVが沢山リリースされてくるのだから、地域の修理工場は、リリースされてくるあらゆるEVの情報に目を貼って、対応車種リストに入れていく事で、新しいビジネスが開かれていくような気もします。
日も暮れてきたのであのロボを見て帰ります
そして、今回の話題ロボ、ツバメインダストリの「アーカックス」。国産初の量産型ロボットを目指しているようです。開発者は下の写真にも写っている吉田社長、なんと25歳。夢とロマンがあってこういうの大好きです。頑張って是非量産化してください!今は4億5千万円くらいと話しておりましたが、もうちょっと安くなったら私も買いたいです!
Japan Mobility Show 2023はどうだったか?
久々の開催となった東京モーターショー改め、ジャパンモビリティーショーは、陸上だけでなく、空からその先の宇宙などの展示も行われた新時代の幕開け的なモビリティーショーだったと思います。陸上では、歩行支援や身近な移動に対するモビリティも、HondaやSuzukiを筆頭に、間もなく販売されるであろう現実的なものが多数展示され、そのメーカーの数も増えていました。そして、脱炭素に向け、いよいよ本格的にEV化が行われることで、ライフスタイルが変わり、モビリティで過ごす時間が増えることを予感させる展示が沢山あったと思います。
構造が簡単なEVはパーツがモジュール化され、近距離用のモビリティは様々なメーカーから発売されてくることも予想されます。昔日本にバイクメーカーが沢山あったように、EVベンチャーが沢山現れてくると、それら町乗りの手頃なモビリティがたくさん登場します。そして、それをサポートするための新しい産業、自動車修理工場が進化を遂げ、それらEVモビリティの情報をもつメンテナンス工場が誕生していく未来が見えました。
ガソリン車が少なくなるとガソリンスタンドや修理工場が減り、ディーラー直接の対応になってくる反面、それら産業を担っていた人たちこそ、新しいビジネスモデルへと変化していく時代に突入するのだろうと感じるモビリティーショーでした。