英国サンダーランド工場を全面改修でEV生産に注力!
日産自動車は昨年11月、英国サンダーランド工場に20億ポンド(約3,750億円)を投資し、電気自動車(EV)の生産体制を整備すると発表してからおよそ4か月、いよいよその体制作りがスタートしました。2021年に既に10億ポンド投資するとしていましたので、合計30億ポンド(約5600億円)の投資となります。
日産は2023年7月の段階でグローバルで100万台を超えるEVをリリースしていますが、2024年2月現在では、乗用車3車種だけのリリースとなっています。日産の長期ビジョンである「Nissan Ambition 2030」では、2030年までに、EV19車種、電動車27車種(PHV,HVなど)でグローバルの電動車モデルを全体の55%以上にするとしています。アンビション達成まであと6年いよいよ日産が動き始めました。
いよいよ次世代リーフと主力モデルをEV化
現行型の日産リーフは2018年にモデルチェンジを経てサンダーランド工場にて生産がスタートしました。この現行型の生産を間もなく打ち切り、本格的にサンダーランド工場の全面改修に向けた準備に入るようです。工場改修後には、EVのみを生産する工場に生まれ変わり、新たな電池生産工場も建設し、ヨーロッパ向けのEVの生産を全て担う事になります。
もっとも長くEVをけん引していた日産リーフのモデルチェンジがいよいよ行われます。今までの日産リーフはEVといえど、そのシャーシや駆動構造は従来の自動車を踏襲した形になっており、車体中央をドライブシャフトが走る形でリアの足元が隆起していて、モーターを搭載したEVらしいフラットなリアフロアなどは実現されていませんでした。
生産終了となった後、完全なEV専用プラットフォームとして生まれ変わる日産リーフは、ジャパンモビリティーショーで発表されたコンセプトカー「Chill Out」からインスパイアされたものになるようです。
欧州で売れ筋SUVの「キャシュカイ」「ジューク」もEVへ
2024年1月には2022年9月からヨーロッパで販売開始されたe-Powerのキャシュカイが6万5千台を突破、エクストレイルは3万4千台を突破し、e-POWERシリーズが合計10万台を突破したと発表がありました。ヨーロッパではコンパクトSUVとしてキャシュカイ(QASHQAI)やジューク(JUKU)も人気を集めていて、これらハイブリット車が工場の改修により全てEV化します。
サンダーランドにおける「EV36Zero」
日産自動車においてサンダーランド工場はヨーロッパに日産車を供給するための唯一の生産工場で重要拠点です。その生産拠点を中心に2050年に向けたカーボンニュートラルへの取り組みを加速するともしています。そのプロジェクトこそ「EV36Zero」プロジェクトです。電池生産から廃棄、リサイクルなどにおいてのカーボンニュートラルをサプライヤーを含めあらゆる分野でおこなっていく、いわゆる全方位戦略という意味の360°(全方位)ソリューションということです。すでに年間10万台分のEV向けバッテリおよそ9GWh分を生産している電池工場については、今後その生産量が拡大し2030年までには35GWhまで拡張されるとし、同時にカーボンニュートラルも実現していくという事です。
またエネルギー確保も360度ソリューションには欠かせない問題で、サンダーランド市議会ではこの活動と協調して再生可能エネルギーによる発電とその送電網により、100%クリーン電力による生産体制が可能になるような整備も行っています。
これらEV36Zeroのプロジェクトの取組は、サンダーランド工場だけでなく、サプライチェーン全体でも新規雇用は6000名を超えるとしています。
欧州は2030年までに乗用車を全てEV化
日産自動車はヨーロッパでの新型車販売を2030年までに100%EVにするとしています。今回のサンダーランド工場の改修についてはそのスピードで事業を進めていくために今やらなければならない選択の1つだとも言えます。サンダーランド工場は日産車をヨーロッパ市場に供給する唯一の工場であるだけに、EVの生産量を増やすために、その規模の拡張と効率的で無駄のない生産効率が最適化された最新の工場に生まれ変わる必要があるわけです。
そして、この工場でジャパンモビリティーショー2023で発表された、コンセプトカーからインスパイアされたモデルが新しく登場していくという事です。
新しい日産リーフ、楽しみです。