今年分は売り切れ、納車は2027年へ
2026年5月にホンダが発売した小型EV「Super-ONE(スーパーワン)」は、先行予約が殺到し、すでに納期が半年以上先になるディーラーも出るほどの好調ぶりを見せています。
この記事では、日本国内で一般に販売されているほとんどのEVに試乗している私たち「ELECTRICLIFE」のスタッフが、スーパーワンがこれほどまでに売れている本当の理由を解き明かします。さらに、私たちが常日頃からEV普及のために伝えてきている「EV購入で失敗しないための流儀」をわかりやすく解説します。

この記事を読めば、あなたがスーパーワンを買うべきかどうかの判断基準が明確になり、自信を持って新しいEVライフへ踏み出すことができるはずです。
なぜホンダ「スーパーワン」は爆発的に売れているのか?
スーパーワンがこれほど多くのドライバーの心を掴んでいる理由は、単なる「エコカー」の枠に収まらない、クルマとしての本質的な魅力にあります。なぜこんなに人気なのかを検証するため、実際に試乗を行ってみました。
今回はホンダカーズ埼玉西さんの協力により、試乗車をお借りしてテストドライブにでかけました。

「走りの楽しさ」を最優先にしたコンセプトがはっきりしたEV
電気自動車(EV)がいつも言われるのが、走りの楽しさが失われるのではないか?という事です。これは筆者が30年前に電気自動車のシンポジウムに出たときからずっと言われ続けていることです。「走りの楽しさ」というのは人それぞれ違いますが、走りの楽しみといえば、マニュアル車特有の操作感などを想像するかもしれません。しかし、EVであるスーパーワンには、それらとは全く異なる新しい次元の楽しさがあります。
現代のEVは操作性が高く、誰でも快適に運転できます。しかし、スーパーワンの真骨頂は峠やワインディングロードでの走りにあります。EVならではの鋭い加速感により、まるで自分の運転スキルが向上したかのような痛快なドライバー体験を味わえます。
最大の特徴であるこの「ドライバー体験」の具体例が以下の3点です。
1.ドライバーが走りたくなるモード選択と演出
普段の町乗りは、「CITYモード」で、走りを楽しみたいときには「SPORTS」モードでステアリングのパドルシフトでモーターの回生ブレーキの強度を調整する事で仮想セミオートマでの運転を楽しむことが可能です。

ドライブモードは4種類変更可能

パドルシフトでセミオートマ走行
そして、SPORTSモードからは、加速性能が高まるだけでなく、エンジン音の演出が加わり、走りに高揚感や加速感とスピード感が加わり、耳からも現在のスピード感を感じることができます。通常のEVは「音がしない」ため、スーっと加速し高速に到達しますが、この部分を耳で感じることで、よりスピード感を体感できるのが魅力であり、実は安全性にもつながっています。
2.クラス最軽量1090kgと「BOOSTモード」がもたらす熱狂
ステアリングの「BOOST」スイッチを押した瞬間です。システムの出力制限が解除され、最高出力が70kW(約95PS)まで一気に跳ね上がります。更にSPORTSモードよりもターボ感あふれるエンジンサウンドがスペックの高い車を運転している感覚にさせます。
小型EVクラス最軽量となる1090kgという驚異的な軽さと相まって、その加速はかつての往年のホットハッチ「シティターボII」を彷彿とさせる痛快さでした。ワイドトレッド化された15インチタイヤが路面をガッチリと掴み、コーナーを「クイっ」と曲がる感覚は、ドライバーとしての技量が上がった感覚すら覚えます。
3.CITYモードだけでも搭載されたシングルペダルコントロール
これも、当サイトで再三申し上げている、EV体験として最高のドライブ体験の1つである「シングルペダルコントロール」がスーパーワンには搭載されています。普段乗りの際に、非常に効果を発揮します。

町乗りでは、アクセルとブレーキの踏みかえが頻繁に行われますが、CITYモードの際には、ステアリングの左パドルで減速セレクターを最大まで活用する事で、ペダルを離した際に強い減速がかかるため、徐々にアクセルをリリースしていく事で、ブレーキペダルを使わない運転が可能になります。踏みかえが無いこの乗り方は長時間の運転などにも非常に効果的です。
実質軽自動車程度の価格?驚きのコストパフォーマンス
もう一つの大ヒットの理由は、圧倒的な価格競争力です。
スーパーワンの全国メーカー希望小売価格は3,390,200円ですが、ここから手厚い補助金が適用されます。 ※令和7年度補正予算および地方自治体の制度に基づく(2026年6月現在)
- 国のCEV補助金: 1,300,000円
これらをフルに活用すると、諸経費などを入れても、実質約230万円程度で購入できる計算になります。東京都の場合は更に60万円の補助金が用意されているため、なんと170万円程度での購入が可能になります。最近補正予算で、東京都はV2Hなどと絡めて更に補助金を出す事が決定しているため、東京都で購入の場合、乗り出しが実質120万円程度になる可能性もあります。
最新の運転支援システム「Honda SENSING」やBOSEプレミアムサウンドシステムを搭載してこの価格は、ガソリン車の軽自動車やコンパクトカーと比較しても十分に競争力があります。
スーパーワン購入で後悔しないための3つの注意点
すでに、多くの受注が入っていて、納車待ちの方も多いでしょう。魅力あふれるスーパーワンですが、「とりあえず安いから」「デザインが良いから」と勢いだけでEVを購入すると、後悔する可能性があります。EVにはEVの「流儀」があります。以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。
【最重要】その1:自宅充電の環境づくりを最優先にする
EV運用で失敗しない最大の秘訣は「基礎充電(自宅での充電)」を確保することです。これは絶対です!
電気自動車を購入して1年位で乗り換えてしまう人も少なくありません。この一番の理由が毎日の事を怠った人、いわゆる「200V普通充電スタンド」を自宅につけなかった人です。これは、200Vのコンセントを付けただけでなく、きちんとスタンドを付けて、ケーブルも設置するという事が重要です。(写真のように壁やスタンドにして直ぐに充電器にさせるようにする)

「充電は近くのイオンとかで十分ですよ」などと言う人もいますが、おそらく自分でEVを乗っていない人です。ここはEVに載るなら絶対です。少しでも安く売りたいという販売スタッフの気持ちはわかりますが、ここがEVの最も肝とも言うべきところで、絶対に妥協してはいけないところです。
充電設備はV2Hが最高。最低でも壁に充電ケーブル付のものを
よく、建売などについているEVコンセントも不十分です。これは、かなり古いソリューションです。また、EVの充電ケーブルは意外と重たいモノです。
疲れて帰って来た時に、トランクを開けていちいちこのケーブルを袋から出して、家側と車側に繋ぐのもかなりのストレスになりますので、この運用もお勧めできません。このような運用をしていると「EVは不便なもの」という印象になってしまいます。
ホンダからはHonda EV Chargerというものが出ていますので、これを使うか、または社外品のものでも安価で高性能なものがいくつも出ていますので、必ず200Vの充電スタンドを付けるようにしましょう。



EVで帰宅後には、充電ポートの近くに充電プラグが用意されていて、そこから充電プラグを刺すだけで、充電が始まらなくてはなりません。
スーパーワンをスマートフォンのように「帰宅したらプラグを刺して、朝には満充電になっている」という使い方にすれば、ガソリンスタンドへ行く手間から完全に解放されます。
(当サイトではマンションなどの集合住宅に住まいの方の場合、共同利用の充電スタンドでは無く、自身が契約した駐車場に充電スタンドが自分専用として設置されているという人以外にはお勧めしていません。)
その2:航続距離(274km)とバッテリー容量(29.6kWh)の「リアル」を把握する
スーパーワンの一充電走行距離(WLTCモード)は274kmです。ここで重要なのは、「カタログ値通りに走るわけではない」という事実を受け入れることです。これは、ガソリン車も一緒だと思います。
エアコンを多用する真夏や真冬、あるいは高速道路での連続走行では、実質の航続距離はカタログ値の7割〜8割程度(約160km〜200km)と予想されます。 ご自身の「1日の平均走行距離」を計算してみてください。例えば、年間12000kmほど乗る人は1日平均33km程度です。約30kWhのバッテリーで、200km程度の航続距離で、30km程度の距離分の充電を200Vの普通充電で行う場合、1時間〜1.5時間程度(6kWh出力の場合)を目安にすれば良いため、毎日の充電時間もその程度です。
「EVは航続距離を気にしながら走らなければならない」という人がいますが、ガソリン車で航続距離を気にしながら走っている人はあまりいないのではないでしょうか。ガソリンが無くなってきたら給油する。これとEVも一緒で、電池が無くなってきたら充電するという事です。
長距離を乗る場合は、今ではガソリンスタンドよりも多くなった充電スポット(※gogoEVを参照)で休憩中に充電しながら遠出します。
EVの場合は遠出した時には「ながら充電」するという事です。休憩しながら、買い物しながら、「ながら充電」するため、途中の経路充電はガソリンスタンドのようにエネルギーを補充する為だけに行くという事はしないという点で、運用方法が全く違うと言えます。
その3:リセールバリューと補助金の関係を知る
スーパーワンを購入する際、多額の補助金を受け取ると「保有義務期間(通常は3〜4年)」が発生します。この期間内に車両を売却・処分する場合、原則として補助金の一部を返納しなければなりません。
EVは技術の進化が早いため、数年後の下取り価格(リセールバリュー)がガソリン車よりも不透明な部分があります。スーパーワンを購入する場合は、「数年で乗り換える」のではなく、「セカンドカーとして長く愛用する」という前提で所有プランを立てるのが賢明です。
スーパーワンは「セカンドカー」や「趣味グルマ」に最適
結論として、ホンダ「スーパーワン」は、以下のような方に自信を持っておすすめできる1台です。
- 毎日の通勤や買い物に使う、軽快な足車が欲しい方
- 自宅に充電器を設置できる環境がある方
- 環境に配慮しつつも、車の「運転する楽しさ」を妥協したくない方
軽量コンパクトなボディは狭い日本の道路事情にベストマッチし、V2H(Vehicle to Home)などの外部給電機能を使えば、災害時の「走る蓄電池」としても活躍します。
スーパーワンで新しいカーライフを始めよう
ホンダ・スーパーワンは、EVという新しい駆動系で走りを楽しむ車です。新しい時代の「電気」というエネルギーでのモビリティライフと、昔からある「車」の楽しみを兼ね備えた温故知新な車とも言えます。
EVは、正しい知識と付き合い方さえ知っていれば、ガソリン車にはない静粛性、経済性、そして圧倒的な利便性をもたらしてくれます。スーパーワンは、そんな「初めてのEV」として選ぶのに最もふさわしい名車になるポテンシャルを秘めています。